覇権と日本


    F/1990-9-22

歴史から見て、覇権を考える上で参考になるのは中国の南宋帝国とイギリスから 覇権を譲られた時期のアメリカであります。

1.覇権とは
  1970年代当初まで、アメリカが世界のGNPの60%を占めていました。 そして、今までその時代の体制で物事を考えていましたが、アメリカが世界最大の 債務国という観点から物事を見直しする必要に迫られているように思うのですが、 どうでしょうか?
 現在も、アメリカは世界の警察官を勤めるために、アメリカのGNPの10%を 軍事費に費やしています。また、世界の各地で警察官として行動しています。

  そして、何を守っているのでしょうか?
  この状況はイギリスの衰退期にもあった。イギリスが7つの海に大海軍を 有したのは、自国の製品の貿易を守るためでしたが、産業分野でアメリカが優位に 立つとイギリスの貿易を守るより、アメリカの貿易を守る方が大きくなってし まったのです。今、東南アジアに展開しているアメリカ軍はアメリカの権益を守る より日本の権益を守ることの方が大きいのです。それは、東南アジア地域での 企業進出は100倍以上日本のほうが多いからです。これはアメリカの企業活動が 欧米アフリカ地域のリージョナル・エコノミーであるにもかかわらず軍事力はグローバル ・パワーを維持し、日本は世界的に企業活動しているグローバル・エコノミーで あるのにパワーをほとんど維持しないために起こっているのであります。
 あれだけ、文化人の支持を得ていた共産主義でも、経済原理に合致しないことは、 長続きできなかった。
 アメリカの軍事体制は共産主義より経済合理性がとれないのです。よって、 アメリカの軍事力の余命はあといくばかりか。
このため、米国はアジアに進出するためにアジア危機を起こしました。その狙いは 一部成功しましたが、日本を抜かすほどでわなかったのです。

  この先どうなるのでしょうか?
  イギリスの衰退期では、モンロー主義のアメリカがいろいろ紆余曲折はあり ましたが肩代りしました。
 今回、肩代りできるのは、世界的に企業進出しているグローバル・エコノミー の日本と欧州連合しかないのです。しかし、ECは統一問題で難しいし、日本では 憲法問題で自衛隊の海外派兵できないなどモンロー主義を取っているため、両国が 肩代りできないのです。このため選択子がないことになってしまったのでです。
 このため、再度米国は経済を復活させようと努力し、かつ日本を没落させようと したのです。一部成功しました。

  我々は、戦後40年 吉田茂が構築した経済中心主義・軍事小国主義を何の 疑問もなく追求してきました。 しかし、現在この体制を再検討する必要が出て きたのです。
 世界のGNPの15%以上を占め、なおかつ毎年率を上げている大国日本は2つ のオプションがあります。

 T.中国の南宋帝国のように、軍事面を今後も軽視して金を配ることで解決する 方法で、在日駐留米軍の全経費を日本が負担しているのですが、これを押し進め、 全アジアの米軍経費の全てを日本が負担することです。
 本方法でも、南宋が滅亡したように相手まかせの面があり、アメリカ軍が本当に 大丈夫かどうかはわからないので、その場しのぎの解決でしかないと思われると いうことであります。

 U.軍事面を強化して、東南アジア圏の集団安保体制を引き、 リージョナル・パワーとなる方法で、タイ軍とオーストラリア軍の共同演習が数年毎 あり、その時日本の自衛隊の参加を要請されますが、日本政府は断わっています。 ソ連もアジア集団安保を提言しています。なぜこの様な事が起こるかと言うと今後 アメリカの力が弱くなるとヨーロッパより先にアジアから引き上げるためであります。
 アメリカのアジア撤退後の体制を早急に整備する必要があります。日本は、 GNPの1.3%でも世界第2位の軍事費となっています。この軍事費を一部海外派兵 用の武器に回すことによって装備を揃えることができるのです。

 以上、私の意見とすれば、Uのように日本の戦略を変更して軍事面の自由度を 増す必要があるいうことですがどうでしょうか?

2.進路の変更方法について
  我々日本人は、保守的な民族であり、かつ安全について危機意識が薄いため、 明治維新で見られるように黒船3隻が来るまで維新の機運が盛り上がらなかった のです。
 今回は、北朝鮮のミサイルが一発飛んできて、機運が高まってきています。
このため、進路の変更も国民に納得してもらういいチャンスです。
 今後、日本が世界の大国として見られるため、責任が重くなることが多くなる と思いますが、1つ1つ乗り切って、日本の自主性を高めていく必要があります。


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