地域紛争の視点


   F/1999-8-25

  冷戦後の地域紛争は、冷戦当時の地域紛争と違う と思いませんか?この紛争の違いを検討しましょう。

1.冷戦当時との比較
  冷戦当時、帝国主義・植民地主義・資本主義の欧米諸国 からの独立を志向した地域紛争が主で、東欧だけがソ連影響 下からの脱出を図る紛争であった。
  しかし、このごろの地域紛争は、ロシアや東欧、アジアで 軍事支配からの脱出を志向した地域紛争になっている。
  冷戦当時は、ソ連が後押ししていることが明確な地域紛争あった が、冷戦後は、米国が後押ししている紛争に変化したようです。

2.アジア民主化の動向
米国の勢力範囲での紛争は政変で独裁国を民主主義国に変化させてきている。
  中国国民党独裁の台湾、マルコス王朝のフィリピン、マレーシア、タイ 、カンボジアなど軍事独裁国のアジア諸国は、すべて民主主義化してきたのです。
この延長でインドネシアの民主化があるのです。
この問題は、前回検討したので詳しくは、前回のインドネシア問題を 参照してください。

3.地域を3区分に
  現在英国と米国の行動は、自由主義陣営と反自由主義陣営、それ 以前の国々と分けているようです。
  アジアはタイまでが自由主義陣営で、反自由主義陣営は中国、 北朝鮮。ビルマは軍事独裁国。
  欧州では、バルト3国、ポーランド、ハンガリまでが自由主義陣営 、反自由主義陣営は旧ソ連とセルビアなどスラブ民族地域。その他が 境界線上にある国。
  それ以前の国々とは、南ア共和国、エジプト以外のアフリカ諸国と 石油地域以外の中東の国々で、ここの民族紛争は介入しない。
これは、ソマリアでのPKFが効果なく、撤退せざるを得なかった ためです。このため、ウルグアイの内戦に米国は国連軍の介入を拒否したのです。

4.各区分毎の行動
  この区分けで、米国と英国は、自由主義陣営内の国々は民主主義化 させ、反自由主義陣営の国々に対しては市場化・自由化を行っていたが、 ユーゴ中国大使館誤爆以後は敵対関係に逆戻りしたようです。その後 中国も台湾に対して恫喝外交に逆戻りで、益々敵対関係が明確化して きているのです。
  反自由主義国との境界線上にある国は自由主義化を進めるように 、米国・英国は指向している。その始めが、ユーゴ内戦であり、 ベトナムであり、ビルマなのです。この自由主義化では戦争もする 方向ですので、アジア・東欧の全面で米国が反自由陣営との戦争を する可能性はあるのです。このため、米国は日本にガイドライン を締結するように圧力を掛け、NATO諸国にも共同行動の圧力を 掛けたのです。

5.米国経済の必要
  もう1つ、米国へ世界からの資金導入がなくなり、今後 実体経済の強化が必要になってきて、米国の一番強い競争力を保持している 軍事兵器産業の活性化をしていく必要に迫られている。
  コンピュータ産業の儲けだけでは、大きい米国経済を維持 できないし、コンピュータ産業には、日本という手強い競争相手 がいるため、利益率が高くない。大きな儲けを手にできないのです。
  この点、軍事産業は、日本という手強い相手もいないため、米国の 独壇場なので利益率が高く、実体経済への影響力は抜群です。

6.今後の日本の行動
  米国と中国の関係変化を見る必要があるのと、中国の軍備増強にも 目を向ける必要があると思います。中国へのODAは高額すぎます。 民衆への厚生医療以外のODAは、止めるべきです。日米関係上整合性 が取れなくなりますよ。外務省さん、政治家の皆さん。
  米国の経済状況が悪くなるということは、米国での売り上げの比率 の大きい企業は、相当の影響が出ることが予想されますので、準備が 必要でしょう。
  米国経済がソフトランディングすることを願い、 それまでに、日本経済の建て直しを完了し、米国が不況になっても 日本が引きずり落とされないようにする必要があります。そして、 米国が不況時、日本、欧州が世界経済を維持する必要があるのです。 もし、維持できないと、世界不況、恐慌へと向かう可能性が出てくる ので要注意です。

7.紛争への対応
  日本は、海外への人的援助を増加するしかない。米国の援助は、 軍事ベースが中心とならざるを得ないため、平和目的の人的援助にまで 資金が回せなくなる。日本はODAの見直しをして、自由主義陣営とその 境界線上の国々に援助すれば、米国の目的と整合性があい、日本も汎日本化 を推進できることになる。紛争地域でもPKO、PKFを派遣すべきで あろう。日本だけが、同盟関係にある米国の意向を無視することは できないはず。

  

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