米中関係と日本


   TT、F/1999-8-14
1.米国、中国、日本の比較
 まず、3国の経済から世界的な位置を見てみよう。
 1996年統計によると、米国GNPは7兆ドル、日本は5兆ドル、 中国は0.9兆ドルである。1人当りのGNPでは、米国は2万8千ドル、 日本は3万6千ドル、これに比べると中国は570ドルと日本・米国との差 は大きい。
 また、国際経常収支では、日本は658億ドルの黒字、中国は72億ドルの 黒字、米国は1487億ドルの大幅赤字。このため、日本と中国は、 米国国債を大量に買っている。

2.中国の現状
 中国の現状は、1人当りGNPが小さいことでもわかるように発展途上国 程度であるが、中国の人口が12億人ということによる市場規模の大きさと、 中国の政治家が自国を大国のように演出していることで、実際より大きく 見えている。
 ここで、中国の軍隊は強いから大国であろうとの疑問に対しては、 中越紛争で中国軍が大敗したことによって明らかであるが、中国軍の近代化 は不十分であり、ベトナムのような近代化軍には勝てなかった。 しかし、現在年率20%以上の勢いで軍事費を膨張させて、近代化も急速に 進めているようですが、まだまだ訓練等が不足して近代化ができた状態では ないのです。

3.米国が中国に近づく理由
それなら、なぜ、米国は中国を重視するのか?
 米国の工業力は、日本の工業力に比べて、見劣りがする。この結果、 米国は世界最大の債務国になっている。これと同様に米国はアジアへの進出も 日本の工業力によって止められていると感じている。この対応策として、 米国の軍事力・政治力が日本以上であることを利用し巻き返しを計り、 中国が法治国家ではなく人治国家であることをいいことに中国の高官に 接近した。中国は、軍の近代化や台湾紛争時米国の対応に歯止めをかけられ ると、この米国の提案に乗ったのです。
 この2国の外交交渉は、米国も中国も、自国の利益がどう向上するかを 十分見ている。この基盤は、中国も米国も中華思想の国家であり、 自国中心の考え方をしているためで、自国の言うことは世界の標準 (スタンダード)であると思っている。この両国の駆け引きを日本は冷静に みているしかない。

4.米国の甘さ
 米国は、中国を知らない。日本の企業は、既に人治国家の怖さを知っている。 ヤオハンを見ればいい。米国は、短期に努力せずに結果を求めるが、 中国人は他民族を信用しないため短期的に結果を出すことはできないはず である。このため、米国も中国でのビジネスに手を焼くと思われる。 しかし、中国も外資導入で経済が成長してきたが、今後国営企業等で 技術開発や効率化などの地道な努力が必要になっている。米国も中国も 政治に頼った経済発展はムリがあると気がつく時がきている。

5.米国の見直し期
このごろ、やっと米国でも中国見直し論が出てきている。
 米国企業で中国に行った企業の利益はどうかを検証すれば、甘い考えは なくなる。このため、共和党は、台湾を含む周辺国重視にすべきである と主張し始めた。

6.日本の位置
 日本は、平安時代まで中国文化を吸収し、戦後からは米国文化を吸収して、 現在でも両国文化の影響下にあり、世界的にも米中より下の国との印象がある。
 ところが、米中2国には残念であるが、現在経済的立場では両国ともに 日本の後塵を配して、中国はODAで、米国は国債で日本に少なからず 負い目がある。米国の行動は、経済的見地と同様に感情的観点からの分析を しないと理解できない。米国が日本より中国を重視するとのクリントンの 発言がわからない。また、日本が少しおかしいと、米国は日本のリーダが 不良債権問題の解決をしないと言って、日本のリーダを無能であると宣伝 して溜飲を下げている。もちろん、日本のリーダも政策的にはおかしいが、 無能呼ばわりする米国に米国の嫌がることをして反撃すればいいのである。
 それと、中国は南京大虐殺を言立て、日本からのお詫びを勝ち取り、 ODAの増額や借款の延期を要求しようとしている。日本には、中国言いなり の新聞があり、ありもしない虐殺を言立ている。この解決も政治リーダが 毅然とした態度を取れば終わりである。

7.日本の対応
  日本は、米中両国に対して、もう少し対等な関係を打ち立てる必要がある。 米中で相互利益を図るのはいいが、日本の利益と反するなら、米中との関係 を見直すと主張することが必要。今後の世界の運営を考えると日本が強くなる 必要がある。

8.米国市場
 今、米国は10年前の日本と同様なバブル景気を膨らませている。 デリバティブのような金融技術を利用したファンドやインターネット企業への 投資バブルで、このバブルが弾けるのは確実のようです。
 この防御は米国しかできないが、その防御ができなかった時、この世界不況を 回復できる経済力を持っているのは、米国ではなく、日本しかない。
 米国は世界最大の債務国で、恐慌になれば米国から資金が逃避して いき、逆に日本は世界最大の債権国で暴落した資金が戻ってくる。

9.日本の今後
 世界不況の時、米国や中国ではなく、日本が自国の不況を克服し、 かつ汎世界思想を持って世界に臨み、日本のやり方(地道な努力と全体調和の運営) が世界標準であると主張し、日本のやり方に共鳴する国に投資すれば いいのです。

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