歴史の繰返し性と今後の日本



F/1998-9-5
1.第一次世界大戦時の状況
 世界史を学ぶと、現在と同じような状況があったことを知ります。
 それは、第一次大戦後の世界で、ドイツは戦争途中で敗戦し、ワイマール
憲法下で大不況になり、ヒットラ−の独裁政治を許してしまいました。
この状況は、今のロシアによく似ていて、冷戦途中で西欧・米国に負け、
現在ワイマール憲法下のドイツと同じような大混乱となっているのです。
 一次大戦で英国は、ドイツと直接戦ったために、国力を消耗し、世界の覇権
を米国に譲るしかなかったのです。米国は、第一次大戦では直接的に戦わな
かったため、欧州戦争・復興の資材を供給して財をなし大好況となりましたが、
欧州の生産が軌道に乗ると一転、米国は大不況となり、米国が世界に投資した
資金を回収したため、全世界を大恐慌に巻き込んだのでした。

2.歴史の繰り返し性
 現在の米国が当時の英国に、当時の米国が現在の日本によく似ていると
思いませんか。
冷戦時、日本は米国に民生資材を提供して、経済大国となったが、米国が
冷戦に勝って、持てる力を民生品にシフトしたため、一時の日本の勢いを失い、
大不況になってしまいました。現在、日本の経常収支は年間1400億ドル
程度の黒字で、黒字でできた資金を世界に投資しているのですが、
もし日本企業が海外投資を引き上げ、かつ日銀や生損保が2000億ドル以上
の米国国債を売ることになれば、確実に米国から資金逃避が起き、米国経済は
崩壊し、世界恐慌に直結するのです。
 現在、金欠米国の覇権国としての力は弱まり、資金の乏しいIMFの政策
も限定的です。覇権は軍事と経済の両方を押さえて成り立つのですが、
この経済覇権に必要な資金を米国は持っていないのです。
 このため、1997年G7で日本がアジア通貨基金の提案をして無視されたが、
1998年G7で、一転して日本がアジア、米国が中南米、欧州がロシアの面倒を
みることになったのです。これは、米国の経済覇権放棄とみることができる
のです。戦後の米国中心経済体制であるプレズンウッド体制の全面見直しに
なったのです。
 当分は、日米欧の3者の分権体制になりますが、米国や欧州には経済覇権
をとる理念もないため、次の世界経済体制を構築することができないのです。

3.今後の世界経済体制
 欧米の金融資本家は、金のためなら何でもやるという金の亡者で、金儲け
のため世界の金融システムを破壊しているのです。
この金融中心のギャンブル資本主義を修正するために、資金の過剰流動性を
監視・規制する仕組みが必要になっています。
この仕組みを日本が中心になって作ることです。
この監視機関の下にIMF、BIS、世銀など現在の世界経済の中枢機構を
配置するのです。
 欧米諸国や90年当時の日本を80年当時の日本のような製造業・商業など
の実業中心の経済スタイルにするために、金融中心の経済活動では大きく
儲からない仕組みを構築するのです。

4.今後の世界平和維持活動
 もう1つ、世界の安定に必要なのが、国連の平和維持活動です。先ほど
述べたように、現在のロシアを第一次大戦後のドイツと見ると今後、ロシアに
対する警戒が必要です。しかし、米国のクリントン大統領は、ロシアに丸で
英国の当時のチェンバレン首相がドイツにしたような大甘さです。
ロシアに対して、警戒心があまり見られないのです。しかし、今度戦争に
なれば米国の資金だけでは不可能になってきて、経済的・軍事的支援を日本が
積極的に行う必要があるのです。
そのためにも日本は早く常任理事国になることです。そして、日本国民の
国連平和維持活動や安保活動に対する感覚を正常にすることです。
有事立法もできないような異常な国民意識を早く脱して行く必要がありますが、
この面では、日本国民の意識改革を推進している漫画家の小林よしのり先生
に期待します。

5.今後の日本進む道
 軍事と経済の2つ面で世界が安定していれば、日本は製造業を益々発展
させていけばいいのです。
日本は米国より情報分野で大幅に負けていると大部分の人が思っているの
ですが、日本メーカが完全に独占している部品が多いのです。
レーザプリンタのエンジンはキャノン・エプソン、HDDのモータ等は
日本電産、LSIの製造装置はニコンなどです。
勿論、部品ではなく完成品でも世界の放送局設備は、松下とソニーの
2社独占です。このため、日本のメーカは表面には出てこないのですが、
日本製品は拡大しているのです。
 日本人は心配症ですから、65才以上の人口が急激に増加し、社会福祉が
たいへんとすぐ悪い面を強調しますが、60才以上でも希望すれば会社勤務
できるようにすればいいのです。
 国内問題より国際問題に目を向けるべき時です。そして日本は、
米国に代わって世界の安定に寄与する必要があるのです。



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