この10年の回想:日米の政治制度差



 日本政治の仕組みと米国政治の仕組みの違いが明確化した、この
10年であった。

 1992年クリントン大統領になった後の米国の凄さを、我々は
忘れることができない。この時期、米国歴史の偉大な一幕であった
と思う。1980年代、日本は自動車・計算機等の最先端分野で、
米国を抜かし、米国は青息吐息という状態であった。今後は日本の
世紀かと思われた時代であった。

 しかし、クリントン政権のこの8年ぐらいで、米国は復活し、
日本は敗戦と完全に逆転した。この状況の差は大きい。
 この違いの根底に、政治の活力の違いがあると、私Fは思う。
しかし、こう感じるのは、私だけではないはず。

 あのような民間人のルービンや学者のローラ・タイソンやその他
の有能な人々により、政治を行える米国がうらやましい。

 米国大統領が任命する政治的民間人を目指し、民間人がアイデア
を考えつくと、それをクリントンに売り込むのだ。この後、任命さ
れると直ぐに、民間人はそのアイデア政策を実行することになる。

 このため、前政権とはまるで違うことになるのですが、この10年
は米国国内景気を上げ、貧富の差が拡大したデメリットはあるが、
インタネット社会という世界モデルを作り上げ、今後の人類に大きな
貢献をしたのです。

 この米国に比べて、日本は官僚出身の政治家か2世議員が大臣と
なり、民間人はほとんど大臣になれない。それと、官僚が継続的な
政策を作るが、大きな転換期には官僚政治では転換ができずに、日本
官僚政治の限界を露呈した。

 このため、競争力強化の会議を設営したが、日本の政治が良くな
った感じがしない。やはり、民間人がアイデアを売り込み、首相が
民間人の何人かを大臣するようにしないと、政治の活力が出ないよ
うに思う。

 官僚政治を排除すると、政策作成にシンクタンクが必要になるが、
このシンクタンクに有能な人間を引きつけるエサが必要でしょう。
このためにも、政務次官、副大臣を2名枠にして、1人は民間人と
するべきだ。

 有能な人を政治に向かわせる魅力が必要。本当は政治任命制を取り
入れることが必要であろう。大臣の半分は民間人という手もあると思
うがどうか。

 日本の政治制度の硬直化がこの10年、不況を引き延ばした元凶の
ように感じているこの頃です。今後、この硬直を解消することが必要
であろう。政府の官僚構造変革以上に、政治の民間人・学者解放の方
が重要であると考えられるが・・・。
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(読者からのお礼)
 ありがとうございます。
 読者のAdachiです。11月26日国際戦略コラムNo.47での小生の
長い質問への的確なお答え、ありがとうございます。長すぎてご迷惑
をかけました。どうかご寛恕のほど・・。
一介の一市民としてのFさんの幅広い知識・情報にはいつも感心し
ています。
 No.48でのYSさんの「ナショナリズム的傾向の危うさ・・・」の
発言がありましたが、朝日は「台湾地震」の時も、中国首脳の援助
発言は載せながら、クリントンの援助声明は載せていなかったよう
に思います(asahi.comによる)。フェアーではありません。

Adachiさん
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(著者Fの返礼)
 今度は、寄稿にしてください。Adachiさんも、よく朝日の
動向を調査されているので、この偏向性は知っていると思います。
 私は朝日新聞を見ることもしていませんので、分からないのです。

国内問題としての朝日について、寄稿を再度お願いします。ここは、
国際戦略コラムですが、国内問題の比重もだんだん大きくなっていま
す。
 西村先生のことも書いて欲しいとの要請がありますが、控えてい
ます。どちらにしても、日本世論の不可解さは、今後直さないといけ
ないはずです。この中心は朝日です。
        F

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