この10年の回想:中ロ比較



 年の瀬、20世紀の最後、ここで、激動の10年を回想し、その
中から次の目を探っていこうと思う。まずは、1990年の最初に
きた社会主義の崩壊とその後の旧社会主義国を見てみよう。

 1989年にベルリンの壁が崩壊し、その後1991年ソ連の
崩壊が起こった。これにより、資本主義の勝利が確定したと、
フランシス・フクヤマが「歴史の終わり」を書いた。

 しかし、旧社会主義の2ヶ国の行動が違っていた。この2国とは、
中国とロシアだ。が、結果はロシアは大混乱、中国は大発展となっ
た。この中に、国家発展の鉄則を見ることができるのです。

 ロシアは、市場主義と政治的自由主義を同時に実行した。また、
国営企業の民間払い下げを行った。それと選挙資金をIMFから借
りた。この時、IMFは条件をつけた。当たり前です。
 この条件が金融引き締めです。日本のドッチラインと同じ。これ
では不況になりますよね。それと、政権中核が腐敗して、国営企業
の払い下げで、マフィア化してしまった。このため、秩序が乱れ、
大混乱となってしまったのです。

 一方、中国は、政治的自由を制限したまま、市場経済化をして、
IMFの資金を借りなかった。その変わり、外資の導入を積極的
に行い、国営企業の民間への払い下げもしなかった。ほとんど、
ロシアと180度違っていた。

 この結果は、御覧の通りです。中国は大発展、ロシアは大混乱
で、中国の方がロシアより、大国になってしまったのです。

 歴史の法則として、まず発展途上国は政治的安定が最優先で、
この確保を行うことが最重要。これが第1段階。

 次に、国が工場等を建てるか外国資本と提携して工場を建てるか
する。この工場から、低価格の製品を大量に輸出して国民経済を
豊かにする。これが第2段階。

 この後、第3段階として、国民経済があるレベル以上になった
時点で、政治の民主化を行い、選挙による政府を作り、国民の意見
を聞く。

 この順番を変えて、実験したのがロシアでした。いい実験をして
いただいた。結果は大失敗。米国は最初から知っていた可能性も
ある。軍事政策学??IMF資金を使って、超大国を二流国にする
方法でしょうか。

 この発展順番をほとんど間違いなく日本の明治時代はやっている
のです。おみごと。と言いたいですね。

 この体験から、アジア諸国も同じような順番で実行し、現在の
繁栄があるようです。本当によかったですね。

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