イスラム世界の研究(3):サウジ王家



 サウジアラビアは、サウジのアラビアでサウド家が支配している。
このサウド家は、原理主義ワハーフ運動の中心として、聖戦を戦い
サウジアラビアを建国する。このため、最初から原理主義の神政国家
という宿命を追っている。この国に石油が発見され高福祉、高収入、
自国民の特権階級化が確立したのです。
 サウジには、国軍と国家防衛隊という2つの軍事組織があり、
前者はファハド国王、スルターン国防航空相が、後者はアブドラー
皇太子がそれぞれ統括している。普通、ファハド国王、スルターン
国防相を親米派で、アブドラー皇太子を反米派、保守派と分類して
いる。イスラム・部族制と近代化のバランスをとるため、こうして
いるとも見ることができる。しかし、現在イスラムや部族制が近代化
に屈しているように見えるため、イスラムが危機感を募らせている
ようだ。

 しかし、サウジはもともとのでき方が神政国家であるので、この
まま近代化だけが進展することはない。イスラム的価値観を持ちつ
づけるはず。そして、その石油から産みだされる冨を、イスラム勢力
に支援して、影響力をこのイスラム世界に行使しつづけるはず。

 その証拠に、アブドラー皇太子にイスラム各国首脳からの電話が
ある。シリアのアサド大統領、エジプトのムバラク大統領、ヨルダン
国王、PLOのアラファト議長等で、これら諸国に支援している姿
が分かる。

 反対に、米国のオルブライト国務長官が電話するのがスルターン
国防相。オルブライトは、スルターンにタリバン支援やラディンへ
の支援を抗議している。

 イスラム支援ルートはサウジ国の政府からだけではない。いろい
ろなルートからだ。サウジはパレスチナやイエメン等からの出稼ぎ
も多く、この人たちからハマスなどへの支援もある。富豪たちから
ラディンへの支援もある。

 この状況で、米国はチェチェン紛争にどのように関わるかが問題
になっている。ロシアを取るかイスラムを取るかである。

このリトマス試験紙がロシアの戦費である。IMFが出すことにな
ると、米国は支離滅裂な外交を行うことになるが。オルブライトは、
サマーズがIMFのロシア不支援と言ったことを否定した。

 国務長官が財務長官発言を否定したため、米国外交戦略が分から
ないことになっている。このままであると、イスラム社会を敵にす
る可能性もある。チェチェン紛争で米国の人権発言は何であったか
が分からないことになる???

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