イスラム世界の研究(1)



 イスラム世界の理解なしには、今後の世界紛争が読めないため、
研究を開始した所です。この検討を、皆様と一緒にしていきたいと
思います。イスラム研究におつき合いほど、お願いします。
 また、推測や記述に誤りがあれば、ご指摘ください。また、有効
な情報があれば、ご紹介ください。お願いします。
それでは、開始します。

 イスラム世界は人種と宗教の2つの区分で多種であり、その掛合
せで勢力を競っているため、いろいろな内部での抗争の形態がある
ようです。このため、外部から見るとよく分からないことになるの
です。

 まず、宗教の区分は、アラブの中核部を占めるスンニ派とイラン
のシーア派、サウジアラビアのワッハーブ派という原理主義的イス
ラムがある。
 人種的には、中核部はアラブ人、トルコと中央アジア全般に
トルコ人、イランのペルシャ人、イラン・イラク・トルコ3国に
またがって居住するクルド人、アフガンのパシュトン族と多様で
す。

 しかし、アラブの中心はサウジです。これは、アラビックニュー
ス(リンク集・地域研究サイトにある。)を継続して見ていると、
ほとんどのアラブ政府首脳がサウジの皇太子に電話して、意見調整
しているのでわかります。これは、サウジが各国に金をばらまいて
いるからでしょう。しかし、電話してこない国があります。イラン
とイラク、それとトルコです。この3ケ国はアラブ中核国とは異質
のようです。それとこの3ケ国はサウジと対抗しているようです。

 今回は、サウジとイランの2者に焦点を当てて、なぜ、アフガン
のタリバンをサウジが支援するか、考察したいと思います。

米国が、イラン包囲網形成のためと、ソ連崩壊促進のために、アフ
ガンゲリラに支援したことは有名です。この支援したのは、アフガン
のパシュトン族のヘクマチアルでしたが、その後この種族の中心が
タリバンとなるのです。タリバンは厳格な原理主義者ですので、タ
リバン支配地は治安がいいため、民衆の支持を得たのです。

 パシュトン人はスンニ派正統派を信仰しているし、ぺルシャ系のタ
ジク人はシーア派です。このため、イランはタジク人シーア派を支援
したのです。これに対抗するように、米国やパキスタン・サウジはパ
シュトン人スンニ派を支援したのですが、タリバンになり、原理主義
の信仰集団となって、またソ連も崩壊したので、米国は支援を中止し
たのです。が、原理主義の戦士を大量に作る上げることになってしま
ったのです。それが反米の戦士になるのですから、米国は大変な怒り
でしょうね。その感覚は、ラディンの追求に現れています。

 もう1つの要素として、中央アジアから海への物資の出口をイラン
とパキスタンがねらっていて、このため、パキスタンもイランも、ア
フガニスタンが必要なのです。しかし、アフガン支援をパキスタンだ
けでは経済的に負担できず、米国やサウジと組んで行っているのです。

 なぜ、サウジが支援するのか?これはイラン・シーア派原理主義と
スンニ派原理主義の戦いが背後にあるようです。サウジは、スンニ派
原理主義ですので、イランとは違うのです。が、サウジは対内的原理
主義、対外柔軟の路線ですので、米国とはうまくいっています。

 しかし、ラディンやイラン等ほとんどの原理主義は反西欧=反米
ですので、原理主義は反米であると考えられているが、それは違うの
です。サウジのような生き方もあるのです。しかし、サウジには
米国軍の基地まであるのですから、サウジ以外の原理主義者は余計に
反米となるみたいです。

 アラブ各地で西欧人に対するテロが横行しているのも、このためで
しょう。まだ、日本人はイスラム原理主義者のテロの対象にはなって
いないようですが、今回のキルギスでの日本人拉致事件が起りえるの
です。

コラム目次に戻る
トップページに戻る