平等性の確保と陪審制



(読者からの質問)
いつも楽しく読ませていただいております。
No.29の記事についてよく分からないところがあったので
教えてください。

日本の平等性の確保を政府機関の事前審査でチェックしていたが、
インターネット社会のスピードに合わないので、事後審査で
チェックするとはどういうことですか?

事前審査を通ってはじめて何かができるよりも、何かを始めてから
事後審査でチェックする方がスピードが確保されるということは
理解できます。現に規制緩和はこのような審査方法の転換で行われ
ている場合もあります。No.28の中でもインターネット社会では
「いらない官庁の審査はやめる」とあります。

それは理解できますが、それじゃあ日本の平等性の確保のためにす
る審査って何ですか?そして、それを今までは事前審査でチェック
していたとのことですが、我々は何かされていたの?

それともこの部分は「日本の平等性の確保」のために何か具体的
な審査があるという意味ではなくて、一般的にある基準に基づい
て審査が行われるために平等性が確保されているという意味なの
でしょうか?
だとすれば、それを天皇陛下以外は全員平等という考えと結びつ
けるのは無理があるというか、次元の違う話だという気がするん
ですが・・・・・・。
アメリカだって、天皇はいなくても、ある基準に基づいた審査は
あって(日本ほどの規制の強いものではないであろうが)その
範囲内での平等性は確保されているだろうし。

 takiyaさん
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(著者Fの回答)
 日本の法体系は、天皇家以外の人間にしか適用されていません。
天皇家は、日本国籍での国民登録もしていない。もちろん別のリスト
はあるが。選挙権もなしです。この発想自体がもう「一君万民制」と
理解してください。米国大統領は米国国籍がありますし、選挙権も
当然あります。
 天皇家以外の平等性と審査は、言われているように直接には結びつ
きません。しかし、その一君万民の概念の延長上にあると記述したか
ったのです。

 日本の審査は、起業時や事業開始時に事前審査という形でおこなわ
れています。この審査は、非常に細かく大変です。規定も細かい。
この審査のポイントが国民の健康・平等性に重大な障害がないかどう
かのチェックです。

 事例としては、所有権の制限です。ある土地にビルが立たない。
なぜか?地域住民の反対があるため。というようなことです。

 日本の民法体系として、借家人や地域住民の権利が大家や所有者の
権利より重要視されているためで、米国の所有権の絶対性とは違って
、所有権の制限が強いものになっている。

 これは、金持ちの所有権を制限し、貧乏人の権利を最大限確保して
いる法体系になっているとも言えるのです。この法体系の見直しで、
米国と同様な所有権の絶対性を導入すると、結果としての平等性を大
幅に崩すことになると思う。

 金持ちの天下。今までの平等性の崩壊でしょう。事後審査となると
、ビルが立ち、その後の賠償請求となるため、ビルはあり続ける状態
になるのです。賠償請求は、民事裁判ですので、当然裁判費用が発生
します。貧乏人は金がないので、違う所に引っ越すしかないでしょう
ね。このような社会に日本もなるのです。

もう少し危機感を持って、米国法体系導入を見る必要があると思いま
す。

 この機会ですので、陪審制導入を検討してみましょう。現在、この
導入を法務委員会で審議しているが、これほどの悪はないですよ。

 確実に犯罪を犯したO.J.シンプソンが無罪になるし、東芝が
HDDの過酷な使用時しか起こらないエラーのPL法でテキサス州の
裁判に訴えられた。この請求額が1兆円ですよ。それが米国陪審制の
ため、初めから勝てないと分かるのです。感情の問題を一般国民は持
っていて、公正な裁判なぞはできない。このため、和解1000億円
ですよ。どうですか。この事態は。皆がNOと言わないと、今の政治
は米国かぶれの評論家の言いなりですから、とんでもないことになる
ように思います。

日本の法体系の中に、すでに陪審制はあり、この運用を停止している
だけの状態です。この停止を解くと、直ぐに陪審制は復活できるので
す。しかし、この復活は阻止する必要があると思います。

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