米国の大統領選挙の動向



 2000年の大統領選挙はブッシュJrに決まりと、このコラム でも、何回か記述してきた。
 民主党のゴアの目はないとも記述してきたが、ここへ来て攪乱 要素が出てきたので、それを検討したい。

アメリカではほとんどの州において、投票しようとする市民は、 事前に有権者登録を済ませなければならない。我が国のように、 投票年齢に達すると、自治体の選挙管理委員会により、自動的に 選挙人名簿に市民が投票資格を得る自動登録制度と区別して、 自発的登録制度という。ちなみに、1968年から92年までの大統領 選挙年に有権者登録をしたのは、18歳以上の市民の平均67.3%で あった。

 しかし、参加のパラドックスがあって、自発的登録者制度は、 時間的・労力的コストを伴うものであるので、強い意志と関心を 持ったもののみが、投票する傾向にある。これらに加え、所得水準 が高く、学歴が高い有権者ほど投票率が高い。したがって、生活 扶助や失業手当などの形で、政治により多くの救済を求めなけれ ばならない学歴・所得の低い階層ほど投票率が低い結果になって いる。

 この状況を変えるために有権者登録を簡単にする方向で、改善 しているが、まだ低所得者層の選挙率は低い。

 この米国では、中間階層の人たちも年々所得が低くなってきて いるため、平和の配当を期待している。軍事費の削減だ。
 何遍も繰り返しているが、年60兆円の軍事費を使っているの ですよ。日本の一般会計が80兆円程度ですから、バカでかい。
この軍事費を半額ににして、税金を低くしてくれというのが平和 の配当の意味です。

米国は金持ちに優しい国家で、税金はフラットですから、中間層 や貧乏人には厳しい。消費税が10%以上で国の健康保険はなく、 厚生年金もない。自分で年金を貯める必要があるのです。弱者を 保護するのは政府ではなく、教会や金持ちの財団です。

このため、平和の配当の運動の中心的人物がブキャナンなどの アンチ・グローバリストなのですが、共和党の中核は軍などの グローバリストなので、このグループは共和党でも反主流です。 また、大統領予備選の最初の予備選ぐらいまでは選挙資金があって、 なんとかなるが、その後の10州の予備選の資金が調達できずに、 大統領選の候補にもなれない状況が続いていた。

 この状況を崩したのがロス・ペローで第3の改革党を作り、 草の根で運動し一定の効果があった??
 この改革党に、ブキャナンが移籍することになったために、 共和党右派(アンチ・グローバリスト)の票がどう選挙に影響す るかが問題となる。

 民主党のブラッドレー・ゴアのどちらかが、民主の大統領候補と なるはずであるが、今まで、完全にブッシュと思われた大統領への 道に少し明かりが出てきた可能性もある??

 今回の大統領選で、第3党改革党が選挙を征する可能性はほとん どないが、アンチ・グローバリストがどこまで民衆の支持を取るか が、今後の世界動向を占う鍵になる。要注目!!!

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