パキスタン軍事クーデタの裏側


   F/1999-10-25

 今回は、パキスタン軍事クーデタについて検討したいと思い ます。軍事クーデタの発生した原因がだんだん判明し、評論可能に なってきました。この問題を追求するとイスラム全体が見えるので す。
「 携帯電話が危機救う墜落寸前だった参謀長機」

ムシャラフ陸軍参謀長の解任を図るシャリフ・パキスタン前首相が 着陸拒否を指示、燃料切れで墜落寸前だった参謀長ら約二百人の乗 ったパキスタン航空機が十二日夜、無事カラチ空港に着陸できたの は、参謀長が携帯電話で軍に指示を出せたためだった。
 スリランカからカラチに向かっていた同機の機長は、カラチ空港 まで約百三十キロの地点で管制官に着陸許可を要請。だが、十分後 に管制官から「非常事態が起きた」として、インドの空港など別の 場所に着陸するよう指示があり、そのまま高度約三千メートルで一 時間の待機飛行を強いられた。
 その間、参謀長は携帯電話でカラチ駐在の第五軍団司令官に空港 占拠を指示、管制官室などを軍が支配するのを待って、同機をカラ チ空港に着陸させたという。
 参謀長が乗っていたパキスタン航空機のエアバスは一般運航便で 、イスラマバードにあるアメリカンスクールの教師や生徒も乗って いた。(ここまで共同通信の記事)

アメリカにとっては、パキスタンが社会主義化しないことが重要だ った。1979年にイランでイスラム革命が起きてからは、イスラム化 を防ぐことも重要になった。このためアメリカは1960-80年代の パキスタンが、人権軽視の軍事政権であっても、それはむしろ国家 の安定という点で、望ましいことだと考えていた。1979年、ソ連が 隣国アフガニスタンを侵攻した後、アフガンの反ソ連ゲリラ連合 「ムジャヘディン」は、アメリカの支援を受け、パキスタンで訓練 されていた。

 だがこうした状況は、1990年代に入ってソ連が崩壊し、ソ連撤退 後のアフガニスタンの内戦を収拾するため、パキスタンがイスラム 主義勢力のタリバンを秘密裏に支援するようになって、少しずつ 変質していった。(アフガニスタンでは、1989年にソ連軍が撤退し た後、ソ連軍と戦っていたゲリラ組織連合が内部分裂し、ゲリラ 同士での戦いが続いていた)

 パキスタンがタリバンを支援したのは、アフガニスタンを自国の 影響下に置こうという意図であり、アメリカの意志の反映でもあっ たのだろうが、タリバンは厳格なイスラム教集団であったため、 そのイスラム重視の考え方が、パキスタンの軍や政治組織の中に 逆輸入されるようになった。(ここまで田中宇から引用)

 このクーデタの直接の原因は、シャリフ首相がムシャラフ参謀長 を追放するのに対抗したためですが、真の原因は違うはずです。 ほとんどの評論・新聞はこの真の理由を十分に説明できないのです。

 その原因追求の前に、パキスタン軍備は米国兵器体系で、インド 軍備はロシア兵器体系。この2国がいつ戦争してもおかしくない状 態になっている。ご存じの通り、カシミール紛争です。

 パキスタン軍は軍事の中心は米国製兵器で、その兵器の一部をア フガニスタンのタリバンに渡していました。また、今までは米国支援 の基、積極的に支持してきたのです。
しかし、そのタリバンはウサマ・ディン・ラディンを支持しているが、 ラディンは、米国を憎んで米国大使館の爆破をするのです。
インスラム原理主義は欧米西洋文明を悪魔と規定しているのだ。

 このため、パキスタンに米国は圧力を掛けた。当たり前です。
そして、パキスタンはタリバンに圧力を掛けラディンをチェチェン に追い出したのです。しかし、パキスタンと米国はうまくいかず、 軍備面での増強ができない状態になっていたのです。

 ここでインドと紛争になったらどうなると思います。
インドは年率10%以上の経済成長を遂げ、米国のソフト製造をイ ンドが受けて開発しています。米国はインドなしには、やっていけ ない関係です。が兵器はロシア兵器体系です。対抗するパキスタン は米国兵器体系です。インドはロシアからSU−30を大量に輸入 して軍事大国になっています。空母も一隻保有し、もう一隻建造中 です。

 これでパキスタンとインドが戦争したら、パキスタンの負けです。 インドとの緊張関係は、無理です。タリバンなどのゲリラ支持も 米国との関係を悪くします。この状況で軍の運営ができるのでしょ うか?できません。ムリです。しかし、軍は、ゲリラを支持し シャリフ首相は、米国との関係改善を要望していたのです。

 もう少し変な状況としては、サウジアラビアとUAEとパキスタン しかタリバン政権をアフガニスタンの正当な政府して認めていない のですよ。これで金の流れも見えると思います。

 米国は非常に困った状況にあるのです。どうしてかというと、イス ラム原理主義者を支援しているのがサウジとUAEです。そのサウジ を守っているのが米国です。原理主義者は米国を悪魔としているので す。

 このため、チェチェンで紛争を起こし、原理主義者をロシアの方に 向けさせたのです。米国はコソボでイスラムの味方を演じたのもこの 理由からです。しかし、この変則な関係はどこかで綻びます。
この綻びの1つが、今回のパキスタン軍事クーデターであったと解釈 します。今後のこのような綻びが次々とでてくるのではないでしょうか? 今回は少し長目にしました。ほとんどは引用ですが。(笑)
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(読者からの激励)
kametaです
神戸在住40歳男性です

メルマガすっごく面白いです。
ドキドキして読んでます。

>しかし、危機管理は絶対にすべきです。このため、原子力発電所の
>拡散は止めた方がいいと思います。

本当にそうだと思います。
非核攻撃だけでも、核を落とされたと同様のダメージを受けるわけです から。

反原発、脱原発はこのことをもっとみんなにアピールして 運動を勧めるべきですよネ。

大阪の熊取町にも東海村JCOのような核燃料工場が有るそうです。 非核攻撃で神戸も住めなくなってしまうかも。
(何の科学的データにも基づいていませんが)

以前、NHK(?)で沖縄空軍(?)の司令官の様な人にインタ ビュウしていたのですがその軍人が「九州の原発を守ることが 、 我々の第一の使命だ」と言うようなことを言っていたの思い出しま した。

メルマガ頑張ってください。

kametaさん
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(著者Fからの回答)
激励ありがとうございます。私Fと同年代の人から激励をもらい大変に 光栄です。これからも、理念や道理を追求していく予定です。
しかし、なぜ左翼は原発反対に北朝鮮ミサイルを出さないのですかね?
これって、北朝鮮からお金を貰っているからですか???
    F

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