米国流ビジネス・スタイルの導入


   F/1999-10-21

 弁護士の佐藤欣子先生のセミナーで先生の講演に共感しました ので、本コラムでも私F流解釈を述べることにします。

 今、日本では米国流のビジネス導入が盛んである。
これは、日本が金融戦争に負け、その原因がビジネスの迅速性・ 柔軟性で我が国が米国より、劣っていたからと判断したためです。

 これは正しいと認定されたので、米国かぶれの評論家がカサに かかって、米国流ビジネス・スタイル全てを導入する必要があると 騒いでいるのです。が待ってほしい。それは違うでしょう。

 ちゃんと分析して、フィルタリングしないといけないはずだ。
今までの日本の歴史を見ると中国文明も日本にとって良い所だけ を導入したのです。なぜ今回の米国導入だけは全てを導入する必要 があるのか理解に苦しむのです。お願いします米国かぶれの評論家 さん、米国の悪い所は導入阻止してください。

 日本は戦前のいい所を戦後捨ててしまったのです。この最大のもの は内務省の存在です。これを言うと、戦時中この内務省特高警察が 如何に悪いことをやったかを言い立てる人達がいますが、これは戦争 直前と中の話で軍・官僚統制経済体制になる前は違って、内務省の役割は 消費者保護・弱者保護をその存立基盤としていたのです。これに対して 産業省等の役所が産業育成をするように、バランスを取っていたのです。
 戦後この消費者保護行政を行う役所がなくなり、産業促進の行政しか なくなってしまったのです。

 この状況で、米国流のビジネス・スタイルを導入すると、勝者が益々 強くなり、反対に弱者は益々弱くなってしまいます。弱者保護を行う 行政機関がないことが、大きな問題になるはずです。
 今、産業促進機関が消費者保護も行うこととしているがうまくいく はずがない。これは別立てにするべきです。

 佐藤先生の弁護士としてその例を1つ、
 今までは借家人の権利は認められていたが、抵当権行使を優先する 方向で裁判所は判決することが多くなって、借家人保護をしなくなって いる。悪徳業者を排除するために本当の弱い借家人も追い出される事態 になっている。

 所得権絶対の原則がある米国の法体系を導入すると、弱者は非常に 益々弱い立場になってしまう。「弱肉強食」の経済となり、一部の 金持ち、宗教組織の歯止めが無くなる可能性がある。

 この強者を押さえるのは、国家権力しかできない。国家は警察・法等 弱者保護の機能・装置を持っている。この機能で弱者の保護をしないと 片手落ちであろう。戦後国家権力を悪との見方で、左翼は国民を指導して いたが、その見方は強者保護になり、国民全般を弱者の立場に追いやる ことになってしまうのです。

勿論、国家は暴力装置である面を有している。これを押さえるのは国民 の支持と政府の民主的運営であろう。それと信頼感だ。神奈川県警の ように警察犯罪が多発すると信頼感を失うことになる。
これは、警察官が使命感を持てない状況になって、志気が緩んでいる 証拠だと思う。警察の使命は弱者を保護する役割と規定して、使命感と 持ってもらう必要があるはず。

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