ソロスの戦略
F/1999-10-13
金融・投資動向の予測をしようとすると、どうしてもソロス研究
をせざるを得なくなる。今回はソロスを取り上げる。
1992年秋、イングランド銀行のボンド防衛を打ち破り、英国
をERM(欧州通貨相場メカニズム)から離脱させて、一躍有名に
なった。この攻防だけで、彼は210億ドルもの利益をあげたとい
われている。1990年の日本株大暴落でソロモン・ブラザースが
裁定取引により荒稼ぎした時も、ソロスもからんでいたとのこと。
このソロスの生い立ちは、1930年ハンガリーのブダプストに
生まれ、1947年英国に移住、大学時代に哲学者ポッパーの影響
を受けた。1956年米国移住、投資ファンドを設立。1979年
にオープン・ソサエティ・ファンドを設立。1985年には利益が
122%と脅威的な成長を遂げた。86年も43%程度の好成績、
1997年には、アジア危機を引き起こしたとマハティールに指弾
されている。
ソロスの考え方は、ポッパーの不確実性・再帰性という生物学的
なアプローチをベースにしている。人間の行動で市場がだんだん理
論的な計算値に近づいてくるという考え方。このため、金融工学が
有効になるとしている。もうすこしわかりやすく言うと、信用力の
膨張・収縮の回帰論となる。
もう1つ、ソロスの行動を見ていると市場を味方につけるように
心がけている。市場動向と国家金融担当者の行動が違う時に勝負し
ている。
今まで国家が民間の市場に負けるという経験がないため、官僚達が
市場を軽く見る傾向にある。このギャップを利用している。このた
め、ソロスの戦略は、未経験な官僚達を狙う戦略である。
しかし、ロシアでは逆に市場動向の方が先を行き、ソロスは20
億ドルの損をだしている。今年のクオンタム・ファンドも成績はよ
くないようだ。これは、やっとソロス対策を各国の金融官僚が意識
し始めたためであろう。
このソロスは、東欧諸国の自由化を援助する目的で、オープン・
ソサエティを創設している。この援助金は、米国の援助金より多い。
このため、東欧の開放ができ、ユーゴ紛争が起きるのだ。
この金は、アジアにも来ていて、ビルマのサンスーチンが援助を受
けている。東ティモールも受けている可能性がある。何せ中級国家
より、年度予算が多いのであるから、世界の大部分の国にとって十
分大きいので、影響が大になる。米国内でも、麻薬賛成キャンペー
ンをして問題を起こしている。
今後、ソロスの行動はどうなるか?今までのコラムを読んでいた
だければわかると思う。この準備をする必要がある。
ソロスが儲けられないようにすることだ。これは、市場を国家が
どう味方につけるかである。ギャップを作らないことだ。
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(読者からのメール)
ブラック=ジョールズ公式ではなく、ブラック=ショールズ(濁点
はいらない。)公式ですよ。
ブラックさん&ショールズさんの公式です。
1970年代のものなので、この数式をそのまま実務に使っている
ような金融機関は多分ないと思います。あくまでも基礎になる公式
です。
また、この公式は裁定取引のために理論価格を出すためのものなの
で、記述されているような用途ではないような気もします。
ではまた。
沖元さん
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(Fのコメント)
沖元さんありがとうございます。
私Fは、金融の専門家ではないので沖元さんの言う通りでなのでし
ょう。金融工学の利用としておけば良かったと反省しています。
公式の名前はその通りショールズです。この部分は公式が予測です
のではなく、人間が予測するのだ。と言いたかったのです。
全体の主旨は変化ありません。今後も変であれば、ご指摘ください。
もし、違う見解であれば、ご意見をくださいお待ちしています。
F