日本の反撃開始


   F/1999-10-10

 前回の第3の敗戦で日本は米国に負けた。この敗戦の原因を 考察かつ、日本の反撃開始の様子をみてみよう。

1.技術面での敗戦理由
 敗戦の原因は、技術面と制度面の2つがある。
まず、技術面の敗戦をディスク装置の製造を例に見てみたい。
日本は、TQCで装置そのものの信頼性を向上させようとしていた。
信頼性を向上させて、システム障害を減らす方向で研究していた。
しかし、PCのディスク装置は大量生産のために、コストが急激に ダウンしていた。それに比べ日本のディスク装置は高かった。
 このギャップを利用したのが、EMCのディスク装置で、信頼性 の低いPCのディスクを使用し価格を下げ、かつシステム的に2重化 してディスク故障が起きても、即システム故障とせず、起きた故障 は、監視センタでわかるように常時監視していて、故障時すぐに交換 ディスクを持ってユーザ先に行き、故障ディスクと交換する。
 ユーザはシステム上ではトラブルを発見できなく、かつ全体コスト は安い。このために1996年当時はIBMなどのディスク装置を EMCに変えるユーザが急増した。これは、信頼性をシステムトータル で考えるか、個々の部品の信頼性とするかの思想の違いであった。
 このEMCの技術者の多くは元IBMのメンバーであった。

2.技術面での日本反撃
 1997年には富士通がSUN・メインフレーム用にEMC対抗機を 出し、1999年に日立がHP・メインフレーム用にEMC対抗機を出 した。NECはEMCからのOEMのままである。ここにもNECの苦戦 がある。そして、富士通・日立2社のディスク装置をHP、SUNはOEM で世界に売っているため、今後日本製のディスク装置が出ていくことに なると思う。
 こうなると、日本は強い。組織力・総合力は新興メーカより上である。
半導体では、マイクロンの全工程製造によるコストダウンにやられたが、 これも、同じような考えの工場を台湾等に建てている。

 もう1つが、インターネット技術とインフラ整備であったが、ここでも 米国のシスコ、3COMが独占していた市場にアライド・テレシス等の 日本企業が健闘している。ギガビットルータ等にも、大手通信機の日本企業 が参入している。インフラ整備も、CATVのインターネット化が出てき て1歩前進した。このインフラ整備が出来ると日本は、その他のインフラ が整備されているため、急速に米国を仰臥するはずである。

 日本ではメルマガが1万以上出ている。しかし、米国ではこのメルマガ があまりない。どうしてかというと、このメルマガを無料で発行してくれ るサイトがないのだ。このメルマガという日本独自の現象は「まぐまぐ」 の存在があるからである。「まぐまぐ」さんが日本の文化を1つ創った。
そして、この発展系がクイック・インカムで広告収入を期待できるように して、作者のやる気を高めた。

 もう1つはコンビニの普及で、このインフラでECにおける商品引き渡 しや料金精算等のネックを解消できるのだ。
この普及度は米国以上で、このコンビニの情報化レベルが高いために今後 期待できるのである。

 次に携帯電話でのインターネット利用が急激に促進している。これも、 日本の特徴である。電車の中は比較的自由な時間がある。この時間にEC の申し込みができるようになったために、忙しいセールスマン等でも買い たいものがその時間に買うことができるようになった。

 これに引き替え、米国はどうかと言うと、ドル高であったため、イン ターネット装置やEMC以外の機器がすべて負けていたのです。
スーパーコンピュータは、米国のSGIがやっていたが、日本の3社に 負け消滅。画像処理コンピュータ大手のSGI自体も、ソニーの プレステ2のチップを使った画像処理装置が販売開始すてば、アウト。
デルとコンパックのPCの製造はすべて台湾。ソフト製造はインド。と 空洞化してきている。米国はインターネット・サービスが主流。デルも 販売サービス業で、製造は最後のアセンブルだけ。

 携帯電話もモトローラからノキアにシフトし、かつW−CDMAが 主流になると、米国メーカのCDMA−1が負ける可能性もある。
 このため、衛星携帯電話を成功させたかったが、失敗した。これで、 モトローラもダメのようだ。AV系のメーカはすでにない。

 インターネット・サービスのAOL、アマゾン・コムなどの商業 利用分野だけが隆盛を極めている。
 インテルも一時のような利益を期待できない。互換機メーカのAMD がいる。マイクロソフトも、LINAUX等のソフト攻勢を受けている。 日本は、ゲーム機、電話機、携帯装置にインターネットのブラウザを 乗せて対応しようとしている。これはインテルやマイクロソフトは使わ ない。日本オリジナルである。

3.制度分野の敗北
 敗戦のもう1つの分野、マネーの原因をさぐろう。これは日本の金利 を低めに誘導して、米国の金利を高めにすることにより、米国に日本の 金を流し込むことであった。1990年のバブル経済当時でさえ、米国 の金利より低いのである。これはおかしい。その当時米国は、経済が 破綻寸前であったことを考えると、おかしいことが分かる。
これは、日米の金利調整の結果で、この合意がおかしかったのです。

 米国に引きずられて、日本の金利を移動することが多いために、日本 独自の金利政策ができないことになるのです。1990年前後で金利を 上げてバブルの調整を図るべきであった。今後、景気が良くなったら、 日本の金利は5%程度まで上げておくことが必要である。米国は金利を 下げる方向にいくが、日米で金利調整は止めるべきだ。今までのツケを そろそろ米国は支払うべき時である。

 日本の内閣は今まで米国の金融政策に影響されすぎであったが、 日銀の独自性が試される時が近いように思う。市場の動向と合う決断を してほしいものである。

 日本の内閣は記号化した権力であった。官僚は国家目標がある時は 優秀であるが、今のような変革期には、官僚個々の利益しか考えない という性格を持っている。このような時は政治家の指導が重要である。
そして、政治家は日本の目標を確立することである。
このコラムでも、次の日本の目標を検討したが、それを土台として個々 の分野の細目を検討する必要がある。この細目検討は官僚に任せるしか ない。しかし、サボタージュする官僚は首にするぐらいの覚悟がないと 改革はできないぞ。政治家よガンバッテほしい。

 この政治分野も米国はダッチロールするしかない。中国・北朝鮮の 政策は共和党政権になり、揺り戻しになる。中国への投資も日本以外 は引き上げの方向になっている。大きな見直しが必要になる。
大統領もブッシュになると思う。ゴアは企業からの献金が集まらない。
ブラッドレーに献金で負けるとは、大統領になる目はもうないであろう。

 つぎのグローバリスト共和党政権になった時、どうなるかを検討する 必要がある。

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