738−2.事業計画の怪



来年度事業計画を作っている会社が多いと思いますが、この考察。
                  Tより

来年の事業計画を作成していますが、会社全体の目標値は今年度よ
り多く、増収増益になる計画にする。私は、自社の状況は他社に
比較していいので、可能性があると思っていたのですが、どうも、
私が付き合っている会社の人たちも、全員来年度事業計画の目標値
は増収増益なのだそうです。悪くても減収増益の計画にするそうで
す。

この事実から、どうもおかしいと思うのですが、皆さんどう思いま
す。景気動向は、今年より来年の方が厳しいと思いますが、日本企
業のほとんど全社が増収増益に計画するのだそうですよ。達成不可
能な計画になるでしょうね。このような惰性で計画を作ることが、
多いと我々の集まりでは、全員、嘆くのですが、経営企画室から、
そう指示されるために、しょうがないというのです。

そして、1人、その経営企画の人がいるが、経営層から指示されて
いるし、株主が減収減益を許さないと。要するに、実体に沿った
事業計画ではなく、説明がし易い計画を作る方向に日本の会社は向
かっている。ミエで計画を作っているのですよと。
YSさんにも、私が知っている会社以外はどうかと聞いたら、やは
り、知っている全社が増収増益の計画で作成しているようだと。

来年も、事業計画ができて社外に発表した途端に、変更と言う事態
になる会社が多数出るような気がするが。
いろいろな人に聞いても、一部を除いて、受注が減っているようだ
と言っているため、世界の景気は下り坂にあることは明確だ。

YSさんは、もう少し過激で、日本の経営層は今の景気の厳しさを
分からない可能性があると。日本の景気や動向を勉強していないし
、経営者は無知が重要と思っているようだと言う。
日本の企業は昔の陸軍の将校のように、年次でかつ上に楯突かない
可愛い人間が偉くなるのでしょうね。そして、外部情報を無視して
、敗戦まで気が付かないのでしょうが???

しかし、なぜ増収増益の事業計画がいけないのでしょうか??
まず、現在赤字で将来性のない事業からの撤退ができない。
もし、撤退すると、その事業分の収入がなくなるため、増収になら
ない可能性が高い。特に不景気の時は、なおさらそうなる。新規分
野や好調分野もそう大幅に売上が伸びる状況ではないでしょうから
、なおさらです。

赤字部門の撤退には、リストラ経費が必要ですから、減益になる
可能性も高いのです。よって、赤字部門の撤退がないということは
需要より供給が多い状況が来年も続き、過当競争が続き、デフレに
なるのです。そして、赤字部門は益々、赤字幅が増えるのですよ。
オーバーマーケットの状況が続くことになり、企業の再生はない。
利益がない状況が続くことを意味する。

全社、赤字部門撤退が無いということは、社全体を倒産させて潰す
しかないのでしょうかね。そして、倒産まで経営者は気がつかない
のでしょうね。これによって、日本の経営者の質の低下が著しいこ
とがわかるのです。


コラム目次に戻る
トップページに戻る