725−1.反護憲(非武装)論



秋好です。
715-1の阿部さんの護憲(非武装)論を読んでの、反論です。

 その骨子は、703-2の岸塚さんの「第9条は致命的な欠陥---」に
、反論して---
 1. 第9条あればこそ、日本は半世紀、平和を謳歌できた。
 2. 最強の軍隊を持つ米国でさえ、安全でないのだから、軍隊は
  確実な安全装置ではない。
---という、2点に安部さんの非武装論があります。
 
 1.については、日本の憲法や第9条に遠慮して、旧ソや中共、朝
鮮が対日侵攻を諦めた、とはとても思えないのです。
 
1 旧ソは何百回も日本の防空体制を偵察に領空を侵犯し、航空自衛
隊は何百回もスクランブルで、対応したのは事実なのです。

2 朝鮮は韓国から49年に米軍が引き揚げたので、50年に南侵しまし
た。ただちに米軍が戻ってきて、北進したら、中共軍が国境を越え
て半島へ侵入---中鮮軍が米韓軍を38度線まで押し返して、53年に休
戦。

3 中共は49年6月に半島から米軍が撤退した途端に、国府軍の守る
金門島へ侵攻。死者8千、捕虜7千を出して降伏。2次攻撃を準備して
いるうちに朝鮮戦争が始まって、台湾攻撃は休止。
58年、朝鮮から駐留させていた義勇軍を引き揚げてから、今度は正
攻法で金門島を猛砲撃。制空権を奪おうとして、MIG-19などを繰り
出したが、国府軍のF-86にコテンパテンにやられた---撃墜比率15:1
の惨敗だった。

4 国府が総選挙で「中共からの独立派」を脅迫しようと、海峡で大
演習---ただちに、米:第7艦隊が駆けつける---。 
 
---結局、「力による平衡」でしか、事は落ち着かないのが現実でし
ょう。日本の平和はこれまでのところ、韓国の防波堤効果と航空自
衛隊と第7艦隊の活躍による、といえるのではないでしょうか?
 
2 の、「軍隊は安全装置として、不完全」といわれるのは、そのと
うりでしょう。軍備は常に相対的なものですから---敵がミサイルを
持てば、わが方も、ということです。あの、非暴力主義:非同盟の
インドでさえ、中共の核武装に対抗して、核を手にしました。 
この「ヒンズーの核」に対抗して、パキスタンまでが核武装---「イ
スラムの核」と言うわけです。

 永世中立を世界に認めさせているスイスは針鼠のように、武装し
て、市民を一定期間,軍事教練していることは阿部さんご存知でしょ
うか?
 
共産勢力の侵略に驚いたトルーマンが吉田首相に、自分が押し付け
た憲法に違反する再軍備を頼んだので、非武装の国論を宥めるため
、首相は「あれは戦力なき軍隊じゃよ」とうそぶいた。嘘と承知で
、国民の多数は「米国の要請なら、仕方があるめいな」と、吉田と
彼に続く保守党に政権をとらせ続け、非武装中立を叫ぶ社共に天下
を渡さなかった半世紀でした。
 
 だが、自衛隊という戦力が憲法違反であることは、小学生でもわ
かること。専守防衛では済まなくなった湾岸戦争以降の派兵を
「国際貢献」と見るなら、そろそろ改憲してもいい時期でしょう。
 もともと、占領軍の理想主義者が現実を無視してでっち上げ、
日本人を腰抜けにする狙いもあった空文---といえば、いいすぎだろ
うか?
 
 ロシア人はスターリニズムという赤い帝国主義から、目がさめた
けれども、まだ目がさめないで、折りあらば!と、牙を研いでいる
国々があるので、非武装中立の絶対平和主義はしばらく見合わせる
べきではないでしょうか。    2001.11.19 


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