715−1.憲法改正は不可能では



Re: 国際戦略コラムno.703-2, 憲法改正は不可能では?
チリ在住の阿部です。

 『憲法改正が必要』という論調が主流な様ですが、現実問題とし
て改正できるのですか?。

 憲法改正の手続き自体は第96条で定められています。しかし、改
正を発議できる国会議員には、第99条で憲法の尊重・擁護が義務づ
けられています。改正の発議は擁護を否定する行動で、論理的に矛
盾しています。この論理矛盾を回避する抜道の提示が無いと有効な
憲法改正論議にならないのではないですか?。

 と言う訳で、日本の安全保障を考えるなら、不毛な憲法改正論で
はなく憲法を遵守した上で何をすべきか、という議論が必要だと思
うのですが、如何?。

 それから。この憲法を遵守して半世紀も平和を謳歌できたのだか
ら、『憲法を遵守しては安全保障が不可能』という議論には説得力
が無いと思います。『安全保障の為には軍隊を持つしかない』とい
う主張は『軍隊無しの安全保障』を本気で考えていないだけでは無
いですか?。戦後の安全保障に日本社会が何を支払って来たのか、
突っ込んだ考察が欲しい処です(個人的な意見を言わせて貰えば、
国内の安全を守る為に支払ったものと同質なものを支払って来たの
だと思いますが)。

 最低限『日米安保条約が破棄されるシナリオ』ないしは『日米安
保条約が日本の安全保障に役立たないシナリオ』を提示しないと、
日本が軍隊を持つ必然性は説得力を持ち得ません。

 大体、軍隊は確実な安全保障装置ではありません。それは、世界
最強の軍隊を持つ米国が、現在どういう状況になっているかを見る
だけでも明らかでしょう(諜報力も同様です。エシュロンやCIA
の暗躍も米国の安全を保障していません)。

 軍隊を必要とする論拠に安全保障論を引き合いに出すのは、思想
の浅さを露呈するようなものだと思うのですが…。

それではまた。                                     阿部 靖志
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(Fのコメント)
戦後の長く続いた憲法改正絶対反対の社会党が居なくなり、憲法の
改正ができるような政治状況にはなったと思う。
しかし、国の安全保障をどうしていくかについては、これからの議
論になるでしょうね。米国との安全保障も、本当に日本が危機の時
、守ってくれるかしらと思うことがある。これは議論が必要でしょ
うね。
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天皇制について
kishizukaです。

まえにも書きましたが、確かに民主主義の「法の下の平等」という
観点から、天皇制をなくすと言う意見には合理性はあります。

しかし、それでも私は天皇制存続には賛成です。
天皇の役割は、関西大震災の際に村山首相が行くと石を投げられて
も、天皇皇后が被災者を見舞って、握手をして、「がんばって下さ
い」というだけで被災者がある程度の秩序の意識を取り戻すとか、
前の戦争の時に内閣がもはや機能しなくなり、終戦の決定を出来な
かったときに天皇が「もう、戦争を止めよう」といって玉音放送を
しただけで全国民がそれに従うとか。
(ちなみに8/15が終戦記念日というのはかなりおかしく、ポツダム
宣言受諾は確か8/13、ミズリー号上での重光の正式な日本の降伏調
印は9/2です。本当なら8/15は玉音放送の日に過ぎず、終戦記念日は
9/2にすべきと思うのですが・・・)

今後も三権が機能しない国家的大混乱のときにのみの50年100年に
一度使う切り札として、天皇制は残して置く価値があると思います。

もう一つは、天皇制を止めるといっても、フランス革命の時のよう
に、天皇皇族の首をはねることは現在では人権上出来ないでしょう。
天皇制をなくして、天皇皇族を日本の一名家として存続しておけば、
戦国時代の信長と同じく、自分の勢力に箔をつけるために、右翼や
ら反政府分子やら、外国勢力に担がれたり、拉致されたりすれば、
関ヶ原後の「豊臣秀頼以上」に正統的な日本の価値観という旗印と
して利用されてしまいます。

例えば天皇をテロリストが監禁して、天皇の声色を使って我々が
正統的な日本の価値観であると「天皇が首相を批判」されては国が
揺らぎかねません。
または高杉新作なみに「玉(天皇)を担いで朝鮮に逃げる」とか。

法の下の平等から天皇貴族を廃止するというのは合理性はあります
が、それだけでは国を統治できないと思います。


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