708−2.対米追随主義について



おくやまさんの板から転載 アルルの男・ヒロシ   
   
岡崎久彦氏が筑紫哲也司会の、BS−iの討論番組に出ていました
。その発言は我々を激しく打ち砕くものでした。岡崎氏は口では言
わないが「属国であることを認めろ、それ以外に道は無いのだ。
アメリカに最後まで付き合うしかないのだ。どうだ参ったか」とい
っているかのようで、またまたアンビバレントな気持ちになってし
まいました。主要部分を人間トランスクリプトで行かせていただき
ます。なお、話題はテロの根源から、アンタイグローバリズムの話
まで、山内昌之氏と一緒にかなり過激な議論を展開していました。
私ではとても岡崎氏のロジックを論破できません。

(はじめ) 
(反グローバリズムについて) 
岡崎:反グローバリズムの話だが、人口の1%に満たない人間は何
らかの形で欲求を発散したいと考えているものだ。それはいろいろ
な形で出ている。ビンラーディンがイスラムを代表しているかと言
われればイスラムは怒る。あさま山荘が左翼を代表して居るかと言
われれば左翼は怒るだろう。だから、それをイスラム社会全体の趨
勢と捕らえるのは間違いである。(アルル注:1%より多いような
気がする…) 

(テロと日本の覇権国アメリカへの支援について) 
筑紫:欧米社会とイスラム社会との関係では日本はある意味アウト
サイダーで、どこまでコミットするかが問われている。日本にとっ
ても大きな踏切かもしれない。わが国はいかに考えるべきか。 
岡崎:それはもう国際政治の問題だから、簡単な話。日本が生き延
びるためには世界の力の状態、覇権国とどう付き合うかということ
だ。戦争も、安保条約も関係無い。16世紀以来、アングロサクソ
ン扱いが間違うと国が滅ぶ。日米同盟を守っていれば、ちゃんと食
っていける。孫の代まで大丈夫だ。同盟をくずしたら何も保証でき
ない。 
山内:確かに、岡崎大使の言うとおりだ。日中安保、非武装中立、
あるいはガンジー的な中程度の繁栄で我慢するのか、いろいろ選択
としてはある。しかし、日米と言う機軸をしっかり見据えておかな
いといけないと今のままの繁栄は出来ない。 
しかし、イスラム研究者としては、歴史的に見ても現代的に見ても
日本のイスラムとの付き合いは負の遺産を持っていないので、アン
グロアメリカンとは違う。そこまでアメリカに重ねていくことはな
い。問題はこの二つをいかに両立させていくかだ。 
筑紫:腹の底では岡崎さんの言っているようなことを感じてはいて
も、厄介なのは、人間にはナショナリズムがあって、自衛隊派遣の
反応を見ていても、それはわかっているのだが、アメリカのいいな
り、極端な人は犬だという言葉を使うが、そう言う形になっている
ことに、自衛隊派遣問題に反対している側じゃなくてやむを得ない
と思っている側の方からもそういう 心理的鬱積がある。 
岡崎:そう言う人も形だけで、実質はアメリカの言いなりだ。この
間のショーザフラッグの議論の、菅直人がたとえばそうだ。 
山内:イスラムの方にもそう言う問題はある。アメリカに留学した
イスラムでもアメリカ的中価値観で教育を受けていても、なんか妙
に反米・嫌米という感情を見せる人が居る。そういう風な考え方は
理解できないと言う気はしなくはない。 
筑紫:心理的なアンビバレントがある。「アメリカは友人だ」とい
う言い方を小泉氏が言っていた。一方が覇権国で一方がそうでない
場合の友人としての関係は成り立ち方がだいぶ違ってくるのでは? 
岡崎:大阪と東京と仲が良いというのと同じことで、東京の人間が
いつも大阪を見ているわけではない。力の関係だ。それは仕方が無
い。自分たちが生き延びるためだ。 
筑紫:いま、アメリカが言っているテロリズムに対する対処方法に
実効性があるのかどうかという問題がある。友人であるとしたら、
どこまでやるべきなのか。 
岡崎:冷戦のとき、危機的な状況に瀕したフランスのジスカールデ
スタンが「ここまできたらアメリカの言うとおりにやるしかない。
たとえ、アメリカの言うことが100%間違っていてもだ」といっ
たことがある。今度のケースもそれに相当する。 
筑紫:ベトナム戦争の時に本当の知米派の人たちが、アメリカ大使
館に言って「アメリカのやり方が間違っている。アメリカは中国と
べトナムはドミノだと言っていたが、昔から両者は仲が悪い」と言
ったら大使が怒り狂って「おまえらはなんてことを言うのだ。こう
いうときにこそおまえらはアメリカの味方をしろ」と言って、その
人たちを大使館出入り禁止にしたことがある。しかし、ベトナム戦
争が終わったとき、アメリカ人は逆のことを言い始めた。おまえら
本当に友達だったら、なぜあのとき苦い忠告をしなかったんだ、と
。友人の作り方は非常に難しい。 
岡崎:ベトナムでは韓国は出兵していろんな意味で得している。産
業の振興やら経済危機のときの融資やらで。今度のテロ対策での派
遣はそういう別格扱いはされなかった。ベトナムのときは「落第生
が、なんとかかかんとか引っかき集めて60点を取っただけ」の話
。NATOのような秀才グループに入れてもらえるはずが無い。 
筑紫:いいかげん、日本はそういう優等生という発想をやめたらど
うなのか? 
岡崎:優等生とかそう言う話ではなく、日米同盟が維持さえ出来れ
ばそれで良い。ひょっとして崩れるようなら日本の存立に問題があ
る。外交で説得なんてことは出来ない。現実の方が強い。 
筑紫:アフガンの問題では日本もいろいろ会議を開こうとかやって
いる。どうせ戦場でもう一つ別の旗が立つよりは、そういう方面で
役に立てると言えはしまいか。 
岡崎:そんなことを言ってもだめだ。言っているだけの話。湾岸の
時、日本人は一人一万円ずつ出費したとアメリカの兵士にある新聞
記者が言ったが、そうしたらその兵士はポケットから100j札を
だして「これやるからおまえ戦争に行け」と言われた。日本が出来
ないことの淵源があまりにくだらない。戦争裁判とか、憲法とかそ
ういうものだから私は怒っている。 
筑紫:それも覇権国家との付き合いじゃないのか? 
(おわり) 
なんていうか岡崎氏はキッシンジャーの「外交」の翻訳者だけあっ
て、パワーポリティークの理論でグイグイ押していきますね。 
結局、「大東亜共栄圏なんてもともと無理だったんだ。おまえらバ
カな夢見たな」と言いたいのでしょうか。とはいえ、力の現実にど
う対抗するか。という問題は避けてはとおれないですね。岡崎氏の
あまりにも突き放した、アメリカ無原則追従主義には反発を覚えま
すが、反論できないため、余計、複雑な感情を呼ぶのでした。 
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Re:おくやまさんの板から転載 名無し   2001/10/29 06:48 
   
 岡崎氏が、我々の知らないアメリカの裏事情にどれだけ精通して
いるか、それを窺い知ることができない以上、氏を論破することは
、あくまでも議論上での論破に過ぎず、反グローバリズムならびに
アメリカへの論破には至らないでしょう。 
 少なくとも岡崎氏は前線に立つにふさわしいものである、と言え
るかもしれない。チャルマーズジョンソンは優れた分析家であるか
もしれないが、政治家にも外交官にも適さないと思う。 

 マスコミが巨大産業に金玉を握られ、教育が左翼的教師たちの
サボタージュと毒電波に冒されている現状では、知性と交友関係と
実行力に長けた岡崎氏ならびに一握りの外交・政治のエリート達に
日本の運命をゆだねるしかない。私たちはその裏に行われている
国際政治の真実に肉薄するために、国際関係のサイトを巡回してい
る。そしておそらく、それ以上のことはできないのかもしれない。

 日本人が、アメリカ人を文化や道徳の面でバックアップすること
は、ひとつの方法であるといえる。しかしそれもマスコミのディス
インフォメーションに耐えられるかどうかが問題だ。そしてマスコ
ミの嘘を見抜ける大衆は、それほど多くない。それこそ一握りだろ
う。

 腐れ左翼の「畜死」が、岡崎氏に一蹴されているのは見物だった
かもしれない。我々も笑っている場合ではないが、自分を知識人だ
と勘違いしている輩が恥をかくところを見るのは愉快だ。 

>岡崎:ベトナムでは韓国は出兵していろんな意味で得している。
産業の振興やら経済危機のときの融資やらで。今度のテロ対策での
派遣はそういう別格扱いはされなかった。ベトナムのときは「落第
生が、なんとかかかんとか引っかき集めて60点を取っただけ」の
話。NATOのような秀才グループに入れてもらえるはずが無い。 

 ここまで言われる韓国って・・・・とりあえず岡崎氏も、「日本
の自衛隊派遣も、得をするところまではやるべきだが、今回は張り
切ってもベトナム時の韓国のようには優遇されない」と考えている
ようだ。 
 そして岡崎氏は、「今回アメリカが大ゴケしても、孫の代まで
日本が生き延びる道はとりあえず存在する」と見ている。日本を
米国に引き込むとしても、ロッキードの戦闘機を買わせるぐらいだ
ろう。 
 岡崎氏の無原則追従主義を覆すオプションがあるとしたら、
まず手始めに、日本の教育再編と自由なネット論争の保護、そして
世界の調停役として目に見える形で活躍することだと思う。それ以
前に無能と機能停止に陥っている外務省を何とかしなければならな
いだろう。 
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Re:おくやまさんの板から転載 馬借   2001/10/30 00:17 
   
 「気に入ってもらえなきゃ生きられない」と言われて、殴られて
も蹴られても縋りつく。 
殴るほうは、面白いから、また殴る。まあ、死なないようにね・・
こういう「奴隷として活かしてもらえる」ってのは、生きてるうち
に入るのだろうか・・・ 
少なくとも「人間」として。そして、全世界の国がアメリカの奴隷
? リビアやイラクが叩かれてるのは「奴隷じゃないから」ではな
いですよね。フィリピンは米軍を追い出したけど、あの国は潰され
るのかな? 
「産業の振興やら融資やら」が必要? 今に至ったみたいに「目障
り」だからって叩かれて押売で絞られたりしなけりゃ、日本として
は満足なのでは? 
アメリカにとって・・・少なくとも普通の国にとって「他国」との
関係が維持されているのは、他国が奴隷だからじゃない。自国が生
きてくために必要だから・・・、 でしょ、本当は。 
「奴隷にならない奴は皆殺し」ってのは、テレビドラマの極悪人の
言う事だけど、本当にこういう発想で生きてるやつは、先は無いと
思う。アングロサクソンが覇権を維持してるのは、結局はそこらへ
んの最低限は抑えてるからじゃないのかな・・・。日本は別だけど
。その「必要」が無い。なんせ奴隷だから・・・ 
押し売り外圧の時は「日本が言う事を聞くから外圧かけてんだ」な
んてヌケヌケと言ったけど、岡崎さんみたいなのが日本のエリート
だから、アメリカには嬉しいだろうけど、「喜ばせてくれる」から
大事に扱われる・・・なんて思ったら大間違い。 
結局は、独立国としてまともに付き合おうという気があるかどうか
の問題。彼みたいなのがアメリカを甘やかして、日本を奴隷状態に
してるんです。 

>そうしたらその兵士はポケットから100j札をだして「これや
るからおまえ戦争に行け」と言われた。 

それは、言い返せない記者が馬鹿。私だったら「アメリカ人が全員
100j出したら戦争に行ってやるよ」と言いますね。 
「日本が出来ないことの淵源があまりにくだらない」って、そのく
だらない事を強いてる中・韓を散々煽ってきたのはアメリカでっせ
! フザケンナってもんです! 

とまあ、岡崎氏の論なんて、こんなもんです。 

マスコミなんかも、情報はアメリカべったりで、根のほうから「外
国語」と言えば=英語だ。大学に入るのに全部英語が必要で、英単
語を憶えるより考えるほうが得意な人にハンディを課して、アメリ
カ以外の国の言葉を学んで、いろんな所からその国の言葉で情報を
仕入れる人が少ない・・・って、そういうのになんで誰も疑問を持
たないかなぁ・・・。 

それと、一番肝心な所だけど、「対米ナショナリズム」ったって、
日本で今のアメリカのやり方に反対してる人・・・筑紫みたいなの
が、本当に日本の立場を主張してる・・・って訳じゃないんですよ
ね。
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(Fのコメント)
米国や欧州との経済関係が他の諸国との関係より数十倍も大きい。
このため、世界の標準語になっている英語を話せないと、仲間に入
れてもらえない。悲しいかな。しかし、英語が話せることは何の
得点にもならずに、当たり前であるとなっている。その感覚が馬借
にはないのが気になる。その上で他の言語をある程度、話す必要が
ある。中国語かアラビア語かな??米国であれば、スペイン語でし
ょうね。

米国が覇権国家であり、それにまともにぶつかれば、排除されるの
は何時の時代でも当たり前である。また、人種や文化が違う相手は
信用されない。エシュロンは米国、英国、豪州、カナダ、ニュージ
ーランドとネイティブな英語圏とその文化圏国家で構成している。
その次は、欧州国家群でしょうね。その次に日本、シンガポールに
なると思う。米国はこの順番で、信用していることを日本人は知っ
ている必要がある。

その上で、どう米国と付き合うかだ。日本は現在時点では世界的な
経済大国であるから、米国との付き合いは、ローマに対するカルタ
ゴにならないようにする必要がある。このためには、非常に気を使
っている必要がある。米国も日本に気を使っている。日本の軍備を
制限したり、嫌軍意識を植え付けたり、していたが、中国という
軍事大国が日本近傍に出てきたために、日本の再軍備増強が必要に
なり、かつ米軍との共同行動が必要になってきていたのです。

その演習と通信リンクのため、今回のアフガン戦争はいい機会にな
ったのです。これは、アフガン戦争の準備ではなく、中国との戦争
に備える日米共同運用のための実戦訓練ですよ。日本の国民は勘違
いしている。米国は今回のアフガン戦争で日本のイージス艦が必要
となるとは思っていない。次の中国との戦いを視野に入れているの
ですよ。

そのことを岡崎さんは知っているはず。それを言えないので、米国
に追従するべき論で押しているのです。責任ある立場の人は辛いで
すね。岡崎さんの意見をまともに聞いてもダメですよ。
米国の国際戦略と今のポジショニングを知ってから、岡崎さんのよ
うな米国のスポークスマンの意見を聞かないといけない。そして、
真に日本はどうするのかを考えることです。


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