698−3.「浜辺のゴミに学ぶこと」への感想



得丸です。「浜辺のゴミに学ぶこと」への感想をいただきましたの
で、ご紹介します。

ー1ー 韓国でごいっしょした大学の先生
韓国では大変お世話になりました。得丸さんの発表は大変興味深か
ったですよ。
私の研究室では、湘南海岸や東京湾三番瀬を対象に打ち上げゴミに
ついて調査を行ってきました。

海洋の浮遊ゴミや海岸への打ち上げゴミは決してなくならないのと
のご意見、同感です。

我々は今、東京湾の環境教育についても研究を進めていますが、
漁民にも参加してもらい子供たちを海へ誘い、青潮問題やゴミ問題
を教育課題として、プログラムを作成していこうとしています。
一方では、NPOを立ち上げて、市民こぞって参加する環境を醸成
しつつあります。
また、今度これらについても報告したいと思っております。

来年の夏には、子供たちを対象に、三番瀬に打ち上げられたゴミを
対象に「誰が、どうして、いつ、どのように流れてきたのか」に
ついてその流れ着く過程を作文で書いてもらう試みをしようと計画
しています。
また、一つの試みとして、ゴミや様々な材料を組み合わせて環境楽
器を製作しようとも思っています。
この試みについては、大学生の課題として実験済みですが結構興味
深い作品が提案されています。昨年度の作品のCDロムがあります
のでコピーしてお送りします。

−2− 外資系企業法務部社員
ごみ調査についての報告を拝見させていただきました。共感しまし
た。私はあまり海へ行くことはありませんが、ときどき登山をして
おりまして、今では低い山はもちろん、日本アルプスの三千メート
ル超の山でもごみのないところはありません。小さいころに山へ行
ったときは、川の水や湧き水をおいしく飲んでましたが、最近では
、飲まない人がけっこういます。見た目はもちろんきれいなのです
が・・・。

海は雄大であるといいますが、同時になんでも受け入れざるを得な
い、汚物の最後の墓場でもあるということも忘れてはならないと感
じました。

ー3ー 原子物理学者
なかなか興味深い取り組みをなさっているようで、敬意を表します。

> 結末が少し暗いですが、どうかご容赦願います。
私自身も得丸さんと同じシナリオしか描けません。
そして、人間以外の生物から見れば、人間の絶滅こそ福音となるの
でしょうから、願わくば道連れにする生物種ができるだけ少ない方
がいいと思います。

しかし、「先進国」の浪費による環境破壊を黙して座しているわけ
にもいきませんので、自分にできることだけはやりたいと思ってい
ます。

ー4ー ご近所さん
我が家もダイビングをする関係で沖縄に通い始めて10年以上がた
ちます。
座間味島というところに仲間がいて、今年は娘が一人で旅をしてき
ました。
ボクも若い頃に無関心だった反動か、非常に環境問題には興味があ
り(もちろん専門的ではありませんが)よく行く湘南ビーチのゴミ
拾いにもタイミングが合えば参加していますし、今年の夏の小学校
の海の家でも役場に協力していただき、せめて自分たちで使ったビ
ーチぐらいはキレイにして帰ろうと、小3の子供たちと一緒に千倉
のビーチの掃除をしてきました。

エコロジーを考え始めると、自分たちの存在自体を否定しないとい
けなくなってしまいますが、人が社会という枠の中で、人たちと共
に生活していく以上自分たちのしなくてはいけないこと、してはな
らないことがあるのだということを様々な形で子供たちに伝えてい
ければ・・・と思っています。

−5− 人工衛星製造技術者
いつも貴重なご意見、ご見識をご披露いただき有り難うございます。
結末が暗いとの声があるようですが、私は現状認識として真摯に受
け止める必要があると思います。ただし、その上で自然界の問題解
決に少しでも人間共が賢く、謙虚に振る舞うことが出来るかと云う
ことではないでしょうか。

−6− 広島で海洋コンサルをしている友人
全然暗いとは思いませんでした、本当の事だと思いました。

−7−
かつては椰子の実が流れ着くようなのんきな話だったが、現在の海
岸はひどい。
特に冬に訪れるとゴミだらけで、何が能登の豊穣な海と思ってしま
います。

多くの人が冬の海を訪れてその汚さを見たら、まともな人は誰しも
考えるところがあると思います。

今年の初めに日本の最西端である沖縄の与那国島に行きましたが、
そのときもテトラポッドの陰は発泡スチロールだらけ。
牛に肉骨紛を食べさせたら、結局狂牛病。牛の能力の限界に挑戦し
ている篤農家はいいと思うことは何でもします。一つの通知での
アリバイ作りの結果です。
牛にしか出ないというが、それは牛が家畜の中では長生きだからで
しょう。

一方で漁業も、放置された網にかかる魚の量は実際の漁獲高に匹敵
するとは言わないまでも、何割かになると言われていますよね。
放置される浮き球、魚網、すべての産業が海を汚染しています。
有効な手は無いにしても、少しでもできることはなんでもするしか
ないんでしょうか。

−8− 海洋関連技術者
海洋浮遊ゴミの問題がきわめて深刻であることは、その認識のレベ
ルこそ幅があれ、ほとんどの人が懸念しているに違いないと思いま
す。しかし、ことの重大さと海洋という壮大なスケールに対して、
個人レベルの余りの無力さに、恐ろしくて声も行動も出せないとい
うのが実態ではないかと思うのです。
ある意味では自動車による交通事故の問題と似たようなところもあ
るように感じます。
(得丸注:つまり、人口や経済活動に見合っただけのゴミが必然的
に排出されるということか)

−9− 薬品会社の開発担当技術者
私は最近海辺に行ったことがなくそこのゴミについても、人の話や
テレビで見るだけで実体験はありません。

だから偉そうなことはいえませんが、貴方がおっしゃるように”
異常繁殖した人”がゴミをだし海洋汚染する事になることは確かで
す。

「人間が環境を破壊するインパクト(I)は、 I = P x A x T という
式によっておおよそ表すことができるという。Pとは、人口
(Population)、AとはAffluence(生活の豊かさ)、TとはTechnology
(技術、たとえば耐水性の石油化学製品を作り出す技術)をいう。
環境破壊インパクトは、人口と、豊かさと、技術の相乗効果によっ
て増大するというのだ。簡単な式であるだけに、説得力をもつ。」

たしかに説得力があります。私は特にTの因子が重大ではないかと
思います。自然環境にはない石油化学製品は分解しないためゴミと
して蓄積するばかりとなります。

とはいえ一旦それらの製品を使い始めた我々にとっては逆戻りする
ことは困難です。野焼きしたそれらからダイオキシンやPCBがで
てきて海洋を汚染するのは確かです。

これらの環境ホルモンによって人類の繁殖が異常になり繁殖が止ま
るところまで行かなければ、人々は真剣に考えることはしないでし
ょう。たしかに暗い未来となります。

しかしいろんな手段を使ってこれを訴えなければますます暗くなり
ます。聞く耳を持つ人たちもじょじょにではありますが増えてきて
いることも確かです。そこに一縷の希望を期待しましょう。

−10− 海洋調査会社勤務(女性)
浪費生活に慣れてしまった私に何ができるのか?環境破壊をしてし
まったこの償いをどのように子供たちにつたえていけばいいのかと
考えさせられます。参加した子供たちの意見はどうだったのでしょ
うか?

先日、ジュール・ヴェルヌ作「海底二万里」を読みました。やはり
、子供の時に読んでいた印象というか感想とはまったく違いますね
。子供の時は、冒険、夢物語として読んでいましたが今読み返すと
、やはりネモ船長の文明社会からの逃避を興味深く読みました。「
偉大なる海からの恵みによって食べ物はもちろん、衣類、電力まで
もが。。。。」本当、母なる海を感じました。

私が学校で教わったことといえば「海はひろいな大きいな〜」の歌
詞ぐらい。海の知識は乏しいかった。
だからこそ、私がこれからやらなくてはいけないのは、子供たちに
海について関心を持ってもらい海をもっと知ってもらうこと。

海はひろくて大きい。でも無限大ではないということを認識しない
限りゴミはなくならないことでしょう。

−11− 
私自身、業務上でゴミ問題に関わったことがあり、関心を持って読
ませて頂きました。

ゴミは日本だけの問題ではありません。例えば、私はトルコで調査
してあるのですが、ある地方の河川の両サイドの護岸沿いに何キロ
にもわったって大量にゴミがたまっているのをみたことがあります。
ショックでした。

ひとりひとり、特に権力者が自覚を持たない限り、この問題の解決
は難しいでしょうね。環境は守らねばならないという自覚を。

−12− 
過日,ウラジオストクに行ってきましたが,下水処理せずに海に垂
れ流しの状態が続いているため,ウラジオストクの海水浴場は泳ぐ
と病気にかかるそうです。
ウラジオストクに流れ出た汚水やゴミはどの程度日本海全体に影響
をあたえるだろうかと,素人ながら心配になりました。

−13−
ゴミの問題は本当に大変だと感じました。
今の後進国が米国、日本並みの生活をしだしたら世界は一体どうな
るのでしょうか?
中国の15億人が全員ハンドルを握る姿を想像するだけで暗い結末
が待っている気がするのは私だけでしょうか。

−14− 
得丸さんのレポートを読ませていただき、私が環境部時代にアセス
や温暖化の研究、リサイクル法施行前に農水省の方と仕事をした
LCA問題等々の頃を思い出しました。
振り返るとあの頃は、本当に環境問題を身近に感じ、地球の自然に
対する危機感を敏感に感じていたと思うのですが、現在は日々の業
務にばかり目を奪われ、環境問題から一歩距離をおいた傍観者的な
自分であることを、このレポートは思い出させてくれました。

−15− 富山の友人1
小生は海ではなく川ですが、淡水魚の調査で潜ったり、手網や投網
で川底を浚えることをやっていてゴミについては閉口しているので
よくわかります。
海のゴミも基本的には川から海に流れ込んでいるわけだから、川を
きれいにすることが大切と思います。
日本の様に水田耕作が主体の国土では用排水路まで記入されている
地図を見ると川や水路が陸のすべての地点から海に向かって水を流
していることがわかりますが、このことは陸上のすべての地点から
ゴミを集めているのと同じです。

海はなにぶん大きくてとらえようが無いところがありますが、身近
な水路にゴミを流さない事から始めるのが一番でしょう。

先週の土曜日も一日庄川の合口用水系の水路12カ所で淡水魚の調
査をしました。
伏流水が湧き出し、とてもきれいな水路もごく一部に残っています
が、ほとんどの水路には悲しいほどゴミが多いのでいやになりまし
た。むろん水質にも問題があります。
目に見えるゴミは空き缶を筆頭に自転車のような粗大ゴミまで多様
です。直接見えない水質は水草や生物の生息状況からわかります。
見た目できれいでも屎尿浄化槽の排水や家庭の雑排水が流入してい
る用水はどうしてもどぶ川に近いにおいになります。

富岩運河のダイオキシン問題は別にすると、水質汚濁防止法の施行
以前の高度成長期の工場排水による化学的汚染はさすがにすくなく
なっていますが、まだまだ清流にはほど遠いのが実体です。
このような調査をしていると川は人間の生活や社会の廃棄物を抽出
して海に運んでいることを実感します。

得丸さんの言っているように人類が増殖しすぎて環境への負荷が
過大になっているこが根本的問題ですが、個人の意識改革により
負荷を減らして行くことはそこそこ可能と思います。地道な教育や
廃棄物処理法の罰則強化などの制度改革もキチンとやっていかない
とマズイ。
また、どぶ川の中でもいろんな生物が必死に生きています。
生物による浄化作用もけっこう大きいものです。
なんとか彼らの力を借りて水質を改善していく努力は必要でしょう。

−16− 日本を代表する重工メーカーで働く友人
石油もそのうち無くなります。あまり深刻にならないで。
日本人も生活を変える必要があります。
ペットボトルなど止めて瓶にすればよい。
夏パリに行きました、石油製品が無い訳でないですが、
人々は生活を楽しみ、自分達の街を愛している様に見えました。
古い家を保存し、生活様式を守り。CARNAVIなど誰も持ちません。
如何にして若い人に愛郷心をもたせるか?
それが最大の問題です。
地方からの発想がKEYです、もう手遅れと言わず頑張るべし。

−17− テレビ局で働く友人
我々には、本当に暗い未来しかないのでしょうか? そして、
世界中をテロとそれに対する報復という果てることのない憎し
みが覆い、環境は破壊されつつある現状をどう考えていけば良
いのでしょうか?

この6月に初めての子供(娘)を授かったのですが、これから
娘が生きて行く世の中は、いったいどうなるんだろうかと考え
ると明るい希望が見えなくて、不安でいっぱいです。

せめて自分にできることは何かないのか、考えていきたいと思
っています。

−18− 富山の友人2
韓国のご発表お疲れ様でした。また、ホームページにに掲載さ
れましたら、拝見させていただきます。

夏に家族で海水浴に行くと、ゴミの多さに閉口してしまいます
が、海岸のゴミは、海洋汚染というか地球環境問題の縮図のよ
うに思います。ハワイのビーチとか、きれいなのは観光地とし
て努力しているのでしょうね。

生命は海から上がってきましたが、人が作り出したもの(廃棄
物)は海に帰っていくのですね。また、いろいろとご教示よろ
しくお願いします。

−19− 大学の先輩(銀行員)
読ませていただきました。妥当な結末だと思います。
食べ物にバイキンが繁殖して腐ってゆくように
地球も人間が繁殖して汚れていく。
食べ物が腐るとバイキンには住み良くなるのなら
地球が汚れると人間には住み良くなっているのか、
とふと思う。
ならば炭そ菌は地球の救世主か。
がんばってください。

−20− 地質学を学び、衛星地球観測の解析をしている友人
興味深く拝見させて頂きました。
塵も積もれば環境破壊と言うお話ですね。
この種のゴミ捨ては個人の意識の低さから生じているので,
ある意味ではCO2を減らすことより難しい問題と思います。

−21− 環境教育の専門家(韓国の会議でいっしょだった)
浜辺のゴミ拾いのお話、とてもいい勉強になりました。
人口増加が一番の問題。
どんな解決方法があるのでしょうか。
何を努力すれば・・・。
まだまだ勉強しなくてはいけないことがいっぱいです。

22 映画プロデューサ
たまたま、昨晩の深夜、大阪NHK教育テレビで昔のNHKス
ペシャルの短縮版をやっていました。’99.2.21放送の
「世紀を超えて」シリーズで、「それはDDTから始まった」
という番組でした。人間が人工化学物質を作った為に、環境破
壊が急ピッチで進み、もう止められなくなったという話でした
。1950年代にアメリカの女性科学者が書いた「SILENT SPRING」
という著書が紹介されていました。
人工化学物質(DDT、PCB等)が生物連鎖の中で濃縮され
ていく映像と、得丸さんが話している海岸のゴミの映像が頭の
中で音もなくピタッとくっついてしまいました。
NHKのシリーズではその後に、アメリカ穀物メジャーが中国
に仕掛けている穀物飼料→牛肉戦略をやっていました。人間と
いう欲望剥き出しの生物がこの惑星でやることは、昔のSF小
説と同じで、この星を自分たちが住めないくらいに痛めるまで
続くのだと思います。行き付くところまで行かないと変わらな
い、のだと思います。
日本経済も、アメリカの世界戦略も同じだと思います。

こんな現実の中で、ライトコメディーの映画の企画を練ってい
るのも少々辛いものがあります。
==============================
浜辺のゴミの意味とメカニズムを仮にホームページにしてみました。
ご意見を賜れば幸いです。
得丸久文

http://www.geocities.co.jp/Technopolis/4025/tokumaru15.html

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