697−1.アフガン戦争の推移



アフガン戦争の推移を見よう。   Fより

アフガン戦争全体から見ると、米国は苦戦、泥沼に陥る可能性があ
ると見える。米国は3つの戦場で戦っている。1つが、アフガンで
、もう1つが米国で、そして最後に国内、国外の世論動向である。

この観点から戦争を見ると、アフガンの地上戦は特殊部隊中心であ
るが、ビンラディンの居場所を特定できずにいるし、特殊部隊の投
入は1回だけしかしていない。この作戦が成功であれば、続けてや
っているはずであるが、失敗したため再度同じ失敗ができない。
このため、特殊部隊ではなく、陸軍の本格的な投入しかないと言い
直している。それは、当初の計画外であったはずであるから、泥沼
化の第1歩と言ってもいいし、本当の泥沼化になる可能性もある。
ソ連と同じ道を歩む可能性が高いのではないか??

2つ目の米国では炭そ菌テロの犯人が確定できない。意図も分から
ない。これは既にコラムで述べたので、それを参照してほしい。
これも苦戦している。

3つ目の世論であるが、イスラム世界では反米的なファトワ(宗教
的な勤め)が出て、イスラム各所から義勇兵がアフガンに駆けつけ
る事態になっている。アフガン民衆の被害者が多くなると、反米的
な色彩は、より大きくなってくる。そして、親米的なイスラム圏の
政府も、民衆が反米的になり、反米でないと政権が持たなくなる状
況が予想されることになる。親米的なサウジ王家の情勢も、一部反
米的になってきている。

また、ロシアや中国との反イスラム圏形成のために、大きな譲歩を
している。戦後GHQが構築し、日本の教育まで変更して作った
日本の嫌軍意識改革を、ここへ来て変更することが必要になってい
る。このように米国は、今までの敵と味方を逆転することをしてい
る。これは相当にたいへんだ。米国の世界戦略の見直しに繋がる。

イランを味方にして、イラクを敵にすることができるのであろうか
?イランとイラクは反米で裏で共闘している可能性もある。実際に
湾岸戦争ではイラクの戦闘機がイランに退避していた。部分共闘は
現在でもできている。このため、イラク攻撃は、次はイランと思わ
せる可能性が高い。シリアやレバノンのビスボラ攻撃も米国高官は
言及しているため、この諸国、諸団体は共闘することになるでしょ
うね。アフガン、イラン、イラク、シリア、レバノンとなると、
中東の主要国全てと戦争することになる。

本当にそのようなことが米国、英国にできるのであろうか??
米国はジレンマに襲われている。このため、国防総省がアイデアを
公募し始めた。

このコラムでもテロとの戦いは、非対称戦であり、諜報戦の戦いに
なると言っている。通常戦で解決すると考える米国の感覚がおかし
いのだ。日本の公安が行ったオウム真理教への対応が参考になるで
しょうね。テロリストの徹底的なマークと、一般民衆のテロリスト
からの離反しかない。勿論、アンダーカバーも必要であるが。

諜報の長期戦と、イスラム社会改革で貧富の差をなくした政権を作
り、一般民衆もテロリストへの共感を無くすしかない。
==============================
テロと戦う方法教えて!=米国防総省がアイデア公募 

【ワシントン25日時事】米国防総省は25日、テロと戦う方法や
「手ごわい標的を打ち負かす」アイデアを民間から広く募ると発表
した。「1−1年半以内に実践できるアイデア」という条件付き。
アフガニスタンのタリバン政権とテロ組織アルカイダの掃討を目指
す軍事作戦の戦果が芳しくないためか、世界最強の軍隊が一般の助
けを求めることになった。
==============================
地上戦主体に? 属国民   2001/10/27 13:40 
 ★米、作戦転換を示唆…地上戦闘の拡大に含み 
 【ワシントン26日=貞広貴志】米統合参謀本部のスタッフルビ
ーム作戦副部長は26日の記者会見で、エジプトやパキスタンから
軍事行動の終結を急ぐべきとの声が出ていることに関連し、「世界
の支持を失うようなことをするつもりはない。今後の作戦実施に(
関係国の意向を)織り込むかもしれない」と述べ、空爆主体の軍事
作戦を近く転換する可能性を示唆した。 
(略) 
 会見でスタッフルビーム副部長は、「事態がすみやかに進展しな
いことに不満を覚える声が出てきたのは理解できる」と語り、周辺
国や反タリバン勢力「北部同盟」内に米軍のより大規模な軍事行動
を求める意見が広がっていることを認めた。ただ、今月7日の軍事
行動から20日間が経過したのに目立った戦果が上がってない、と
の批判には、「われわれは泥沼にはまりつつあるわけではない」と
反論した。 
http://www.yomiuri.co.jp/00/20011027i205.htm 

いよいよ「泥沼」という言葉が重みを持ってきたようですね。 
==============================
「タリバーンの猛反撃に退却」最初の米地上戦 実は失敗だった?
 英紙報道 

【ロンドン26日=村松泰雄】「アフガニスタンでの米軍の最初の
地上攻撃で、米特殊部隊はタリバーン兵の予想もしない猛反撃に遭
い、大慌てで退却を強いられた」。26日付の英紙インディペンデ
ントは、先週末に行なわれた最初の地上作戦が実はうまくいかず、
米英両軍当局に衝撃を与えたとする軍高官の証言を伝えた。 
 米陸軍のレンジャー部隊は19日夜から20日未明にかけて、
武装ヘリコプターでカンダハル近郊のタリバーン拠点施設を急襲し
た。その模様の一部はビデオで公開され、米国防総省は「完全な成
功」と自賛した。 
 同氏によると、もともとこの作戦は、米国世論向けの狙いもあっ
て実施されたもので、事前に収集した情報をもとに、比較的防備が
手薄な標的が選ばれた。 
 ところが、タリバーン側の反撃は予想を超える激しさで、ヘリは
着陸装置が破損して強行着陸を強いられ、部隊は退却を迫られたと
いう。 
 この事実は、米英軍首脳に衝撃を与え、国防総省が地上作戦を
拡大するよりも、とりあえず空爆を続行するという判断を固めるこ
とにつながったとしている。また、米政府はその直後、英国とオー
ストラリアに対して特殊部隊の応援派遣を要請。このため英軍は
当初の見込みよりも派遣地上部隊の規模を大きくすることになった
という。(10月27日 朝日新聞夕刊)
==============================
分裂工作が行き詰まった 名無しA   

タリバン政権が優位になっている。北部同盟も、米国の爆撃は反感
を買っていると表明している。イスラム諸国も米国に反発している
。どうするかですが、ロシアとの共闘を模索して反イスラム同盟に
いくでしょうね。 

【ワシントン26日=林路郎】26日付米紙ワシントン・ポストは
、米国とパキスタンの情報当局がアフガニスタンのタリバン政権に
対して行っている分裂工作が行き詰まった、と報じた。 

 同紙によると、米国やパキスタン軍統合情報部(ISI)はアフ
ガン東部と南部で、タリバン政権の分裂工作を進めてきた。だが、
パキスタンのムシャラフ大統領が米国の圧力でタリバン不支持へ転
じたため、それまでタリバンに近かったISIの要員がアフガンを
追われ、対タリバン情報収集が不可能になったという。米側が抱き
込みに期待をかけた地方部族の指導者らも、米国に屈したISI指
導部の「裏切り」に激怒し、むしろタリバンとの結束を強めている
という。 
(10月26日19:59) 
==============================
米、ミサイル防衛実験を延期 反テロ協調でロシアに配慮 

 ラムズフェルド米国防長官は25日の会見で、ミサイル防衛(M
D)開発の実験を延期する方針を発表した。米ロ弾道弾迎撃ミサイ
ル(ABM)制限条約に違反する恐れがあるためと説明し、来月に
予定されている米ロ首脳会談で同条約の改廃問題が話し合われると
語った。 

 長官は「いまは、条約違反の非難を招くようなことをするときで
はない」と述べ、実験の「自制」を明らかにした。 
 米政府はあくまでもMD開発を推進する構えだが、当面はMDよ
りもアフガニスタンでの軍事作戦を優先させた形。作戦の進行や反
テロ包囲網の強化などでロシアの理解と協力は不可欠。ABM制限
条約の改廃に消極的なロシアと不要の摩擦は回避すべきだと判断し
たようだ。 

 長官によると、延期された実験は今月24日と来月14日に実施
する予定だった。いずれもイージス艦搭載のレーダーが大陸間弾道
ミサイル(ICBM)に見立てた標的を探知したり、迎撃体を探知
したりする実験に関連しているという。ABM制限条約は、艦船な
どを使った移動式の迎撃関連の実験を禁止している。 

 ブッシュ大統領は11日の記者会見で、同時多発テロでABM制
限条約が「時代遅れになった」との持論が一層説得力を持つように
なったと述べ、テロ支援国による弾道ミサイルの脅威に万全を期す
るため、実験を含むMD開発を継続する方針を表明していた。
(12:53)  
==============================
「日米協力」で日本の受け皿となる部隊・部署 アルルの男・ヒロシ
東京新聞の夕刊に、日米の軍事協力で自衛隊の「受け皿」となる部
署が明らかになっています。共同の配信記事のようです。 
(引用はじめ) 
米政府高官 イージス艦派遣に期待/対テロで自衛隊協力 長期化
の可能性指摘 
【ワシントン24日共同】米国防総省高官は二十四日、共同通信と
のインタビューに応じ、米軍のアフガニスタン攻撃に関連して日本
国内で焦点になっている最新鋭イージス護衛艦の派遣について「日
本自らが決めることだが、自衛隊のイージス艦が使われれば、明ら
かに歓迎する」と述べ、インド洋や周辺海域への派遣に強い期待を
表明した。 
  
米政府高官がイージス艦の出動で見解を明言したのは初めて。 
高官は、自衛隊の協力は主として米太平洋軍司令部(ハワイ)が管
轄すると指摘。 

軍事作戦の連絡・調整要員として自衛官を同司令部へ新たに派遣す
る方向で日米両政府が非公式な協議に入ったことを明らかにした。
同司令部には平時から自衛官三人が連絡士官として常駐している。

同時に、人道支援は中東軍司令部(フロリダ州タンパ)が担当する
との見通しを示し、自衛隊が同司令部の作戦行動に協力する可能性
にも言及した。(後略) 
http://www.tokyo-np.co.jp/00/kok/20011025/eve_____kok_____001.shtml 
 
==============================
湾岸諸国、対米批判強める・米中東外交揺るがす 
 ペルシャ湾岸諸国の間で米国のアフガン攻撃に対する批判が強ま
っている。連日の空爆がタリバン軍だけでなく一般市民を巻き込み
、犠牲者を出しているためだ。米軍駐留を認める親米国家でも「米
国はイスラム社会全体を敵に回す」と警告する声があり、批判がさ
らに強まれば、対テロ作戦を進める米ブッシュ政権の中東外交の足
場が揺らぐ可能性を指摘する声もある。 
 カタールのハマド外相は23日、「罪もないアフガン国民を犠牲に
する米国の空爆は許せない」と発言。実業家として知られるサウジ
アラビアのワリド・ビンタラール王子は「バランスを欠いた米国の
姿勢をアラブ諸国は注視している」と述べるなど湾岸諸国では要人
の対米批判が相次いでいる。ワリド王子が先にニューヨークを訪問
した際、米同時テロ被害者のためジュリアーニ市長に贈った小切手
を、同王子のパレスチナ問題を巡る発言を気にかけた市長が返却。
米・サウジ関係がきしみを増す一因となった。
(バーレーン=小林明) 
==============================
タリバン 反米世論 追い風 
【クエッタ(パキスタン西南部)22日田原拓治】 
タリバン登場前のラバニ暫定政権で治安司令官を務めたアブドル・
ハク氏は「米国が三ヶ月、攻撃を待ってくれたらタリバン政権を打
倒できた。しかし、米軍の介入はアフガン内でタリバンへの同情を
高めている」と攻撃の影響を懸念した。そんな世論に押され、
一九九五年二月にタリバンに敗れ、イランに亡命したイスラム党首
、へクマティアル前首相は二十日、「米国はアフガンにかいらい政
権樹立を狙っている」と述べ、タリバンとの共闘を示唆。タリバン
のハッカーニ国境相も「国内問題を超えて、侵略者とは共に闘える
」とエールを返した。また、クエッタの地元筋の情報では、タリバ
ン指導者オマル師はパキスタン国境沿いに広がる部族地帯(約五十
部族)の指導者らに聖戦への参加を呼び掛け、一部は即座に賛同し
たという。反タリバンの北部同盟でも、ラバニ大統領率いるイスラ
ム協会やビンラディン氏をアフガンに招いたイスラム同盟(サヤフ
代表)が米軍の北部からの介入を事前に通告されなかったと反発。
同盟を離脱し、反米闘争に転換する構えをちらつかせている。反タ
リバン各派の動きの背景には、アフガン国内や難民に広がる反米感
情を無視して「ポスト・タリバン」政権の成功もないという計算が
ある。米国の「反テロ」戦略とアフガン内政の溝が浮き彫りになり
つつある。 


コラム目次に戻る
トップページに戻る