685−1.アルジャジーラの影響



カタールの衛星TVのアルジャジーラの影響が大きい。この影響を
検討しよう。        Fより

アラブ世界のCNNと言われるほどで、民衆やそこの指導者に影響
を与える。それもアラビア語であるから、イスラム教を志す者は
すべての人が分かる。この知識人階層に、イスラムサイドから見た
世界観を提供しているのですから、影響力は大きい。世界は今まで
CNNなど、ユダヤ系欧米報道機関が押さえていたため、ユダヤ的
欧米的な善悪観念を世界にアピールしてきた。この善悪概念がイス
ラム的な観点になる。このインパクトはイスラム地域には絶大でし
ょうね。

そのTVでビンラディンが演説しているとすると、これはイスラム
社会での英雄になるでしょうね。ビンラディンが米国軍を長期に
アフガンに釘付けさせたら、その英雄度は増して、イスラムでの
テロの賛美は大変なものになる可能性があると思う。それだけ、恐
い感じがする。

米国のパウエル国務長官が、欧米的な見方とは違うイスラム的な見
方になるビンラディン氏のビデオ報道を止めるように言うのも、
影響度が高いことによる。勿論、カタールのハマド首長は言論の自
由を楯に拒否している。この報道機関は、今後の欧米対イスラムの
構図になるキー・ファクターになりそうな予感がする。

欧米思想から抜け出すイスラム的な思想が出てきたら、米国の脅威
でしょうね。報道機関の重要性は、各国政府ともに知っていること
であるが、国という概念に縛られていた。もう1つが、世界的規模
での報道で欧米思想で固まっていた。この2つしかなかった。

ところが、衛星TVのアルジャジーラは明確に第3の道である地域
を代表した報道機関になる。勿論、中国語圏での試みは今までにも
あったが、明確に地域の思想の代表として、欧米に恐がられる存在
ではなかった。このアルジャジーラは違う。明確に今までと違う。

この影響は、だんだんイスラム全体を1つにする効果を発揮するは
ずで、イスラム原理主義の大きなウネリをこの放送機関の後ろに感
じる。その影響がインドネシアに出てきたように思う。メガワディ
大統領の反米的演説は、イスラム教の自国民向けではあるが、イス
ラム社会を代表するこの報道機関の影響が大きいようだ。今後の展
開に一抹の心配が出てきている。
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『東京新聞』10月10日朝刊 テレビ&芸能面

アフガン情勢で特ダネ連発 「アルジャジーラ」とは?
 ペルシャ湾に突き出した半島に位置するカタールの首都・ドーハ
に本社がある二四時間のニュース専門衛星テレビ。「アルジャジー
ラ」とは「半島」の意。
中東情勢に詳しい拓殖大の佐々木良昭教授は、「アラブ版CNN的
放送局」と言う。中東全域に取材網を持ち、アラブ問題を得意にし
ている。取材陣にレバノン、シリア、エジプトなどの腕利きのジャ
ーナリストを引き抜き、英国BBCで経験を積んだスタッフもいる
という。

カタールでは一九九五年の宮廷クーデター後、新しく就任したハマ
ド首長が民主化と報道の自由を進める路線を敷いた。同局はハマド
首長から融資を受け、九六年に設立された。佐々木教授は「あらゆ
るタブーをなくし、是々非々で、ストレートに報道する。イラクの
フセイン大統領、リビアのカダフィ大佐、エジプトのムバラク大統
領なども容赦なく批判。歯に衣着せぬ姿勢が受け入れられ、アラブ
世界では人気の放送局です」と語る。それだけに、摩擦も起きやす
く、報道や番組に不快感を示してカタールから大使を召還したアラ
ブ諸国や、同局特派員を退去させる国も現れた。

それでも受け入れられているのは、中東周辺諸国のメディア事情も
関係しているようだ。中東調査会の中島勇研究員は、「独裁体制の
国が多い中東では、メディアにも制約がある。中東の人にとって自
前のテレビや新聞は“ご用メディア”との不満があり、欧米メディ
アは“敵方”。これに対し、アルジャジーラは政治的な配慮をせず
、比較的自由に報道しており、国際基準に近く、しかもアラブ・イ
スラムの放送局。メディアの情報に敏感な中東の人たちには選択肢
が増えたことにもなった」と指摘する。

これまでも同局は、ビンラディン氏の単独インタビューや、息子の
結婚式に出席した映像を放送。今年三月にはバーミヤン石窟群の大
仏像がタリバンによって爆破された映像も初めて伝えた。同時テロ
後もカブールの旧米大使館がデモ隊に焼き打ちされた模様を放送す
るなど、タリバン政権への食い込みも明らかで、一連の報道には米
国からクレームが付いたほど。それだけに、利用される恐れもあり
そうだが、中島氏は「湾岸戦争でイラクが米CNNを重用したよう
に、特ダネと(政権との)駆け引きはメディアの宿命では」とみる
。佐々木教授は「アラブ世界ではビンラディン氏の人気は高く、ア
ラブの人に主張を訴えるためにアルジャジーラを利用していると思
う。逆にアルジャジーラもタリバンを利用して独占取材を続けてい
ると思うが、アフガンに残る記者にとっては命懸けの取材に違いな
い」と分析する。アフガン内部の映像を伝える数少ないメディアだ
けに、当分、目が離せそうにない。
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カタール衛星TVが奮闘      属国民
 ★「中東のCNN」にいら立つ米国 
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20011011-00000820-jij-soci 
【カイロ11日時事】米軍のアフガニスタン攻撃が続く中、カター
ルの衛星テレビ局アルジャジーラが外国テレビとして唯一、アフガ
ン国内からの現地報道に奮闘。米同時テロの首謀者とされるウサマ
・ビンラディン氏も同局を通じてジハード(聖戦)を呼び掛けるな
ど米政府をいら立たせている。 
 アラビア語メディアのアルジャジーラ(島の意味)は現在、アフ
ガンの首都カブールとタリバンの本拠地カンダハルにスタッフを配
置する。同局がとらえたアフガン攻撃の模様は米CNNなどを通じ
て世界中に配信された。 
 同局は1996年、カタールのハマド首長の肝いりで設立された
。退屈な“官製報道”がほとんどのアラブ圏で、独立した「事実報
道」を行い、「中東のCNN」の異名をとる。アラブ諸国の政府を
辛らつに批判するため、特派員が国外追放されることも多い。
 (時事通信) 

米政府は「ビン・ラディンのVTRはテロ組織への暗号が含まれてるか
も知れないから放送するな」等々、圧力をしきりと掛けているよう
ですが、この放送局にとっては向こう傷というところでしょうか? 


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