669−1.テロと米国の行動



Re: 国際戦略コラムno.664-1欧州大陸の動き??
いつも楽しく読ませていただいております。
投稿をさせていただきますのでよろしくお願いいたします。
シンガポール在住  中山 広
同時多発テロで思うこと 2001,9,24

 世界が揺れている。ニューヨーク、ワシントンなどでの同時多発
テロは、経済にも多大な影響を持つだけに、これまで世界各地に起
こった多くのテロとは性格が違うだろう。それにしても、ハイジャ
ックされた旅客機に乗っていた方々も、世界貿易センター(WTC)に
いた人たちにとっても、あまりにも気の毒な結末である。このよう
な残虐で悲惨なテロ行為は許してはならないし、このような行為に
対して強い怒りと悲しみを抱いているのは、わたしも多くの方々と
同じである。
 アメリカがこのたびのテロに対して報復行動の準備を進めている
。毎日着々と進められている報復のための周辺国への働きかけを見
ていると、第2次世界戦争前の欧米の動きや湾岸戦争時を思い起こし
、アメリカを中心とした欧米各国のこの種のやり方のえげつなさと
、世界戦略の巧妙さにいささか腹立たしい思いがする。その効あっ
てか世界の主要国が競うように報復へのバックアップを誓っている。
調子に乗ったブッシュ大統領は「世界はアメリカ側につくのか、
テロ側につくかのいずれか」だと叫び、なんと支持率が歴代大統領
最高の90%を超えた。

ここでわたしたちは今、冷静になって考えなくてはならないのでは
ないか。テロが憎い、残虐だ、だから報復するという図式に単純に
加担していいものはどうかが問われるべきではないだろうか? 
どうしてこのようなテロが行われたのかも考えなくてはならない。
死を賭して特攻テロを行うにはそれなりの背景がある。イスラエル
問題もそのひとつであろうが、これまでの世界の歴史と無関係でな
いことは明らかである。
報復を重ねていては、いつまで経っても人類の平和はないのではな
いか。

ブッシュ大統領は、テロは憎くべきものだと声を張り上げている。
しかし、冷静に考えて見ると、アメリカの諜報機関CIAも、これまで
多くの国々でテロ行為を行ってきたのは多くの人の知るところであ
る。世界のさまざまな国で内戦を煽ったのはアメリカではなかった
のか。これらの国に武器を与えたのは誰なのか?後進国といわれる
国々では、武器を作る技術も資金もない。彼らに武器を与えて戦わ
せているのは誰なのか?もともとタリバンに武器を与え軍事教育し
たのもアメリカだということを忘れてはいないだろうか?そして
今度は同じ民族の北部同盟に武器を与えて同士討ちを狙っている。
いつの場合にも、さまざまな国において、その内紛につけいり、
その一方あるいは双方に武器を与え、世界中を我がもの顔で振舞っ
てきたのはアメリカではなかったのか。「アメリカにつくか、テロ
側につくか、世界はそのどちらかを選ぶべきだ」というブッシュの
言葉にはそのアメリカの傲慢さが表れている。
世界戦略の中でアメリカが過去に行ってきた多くの行為は果たして
「正義」だと許されていいものだろうか?

「エシュロン」という言葉がある。今回のテロが発生する10日ほ
ど前にNHKでも報道していていたので知っている方もあるだろう。
アメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリア、ニュージランドが
加盟して作っている諜報機関である。恐ろしいことに、信じられな
いほどにこの組織は巨大且つ暗黒である。
世界中の、あらゆる通信が傍受されている。あなたの電話も、イン
ターネットも、eメールもすべてがこの機関によって傍受され、その
すべての情報がコンピューターにかけられふるいわけられている。
欧州議会がこれを問題にし、欧州議会によって行われた調査が先日
議会に報告された。日本の三沢基地もアメリカの傍受基地のひとつ
になっているらしい。
もともとソビエトに対する戦略的な諜報であったものが、その後は
多方面に活用され、日本に対する経済的な諜報にも使われたのでは
ないかと疑われている。すべての商社の情報も、外務省の情報も傍
受されてきたことは明らかである。このたびの多発テロ発生後の摘
発などが素早いのもエシュロンで得た情報をもとにしているからで
ある。

21世紀は、ユダヤ教、キリスト教とイスラム教の対立になるだろう
と考えているが、今のようにアメリカが、世界を我が物顔にコント
ロールしようとすると、さまざまな軋轢を生じさせ、弱者の側に立
たされる方のテロ行為はなくなることはないだろう。
もしいまブッシュが「このようなテロは憎むべき行為であり、決し
て許してはならない、しかし、我々も過去を振り返り謙虚に反省す
べきことがある」と言えば世界はもう少し平和に向かうのではない
か期待しているがどうだろう。アメリカにつくか、テロ側につくか
などと二者択一を迫るような狭隘な心の大統領であって欲しくない
と願っている。

また、こんなことも考えられる。景気下降気味だったアメリカは、
この機会を100%利用して景気の回復を狙っているとすればどうだろ
うか?ブッシュは軍需産業と堅い結びつきのある人である。大声で
テロ撲滅を叫ぶブッシュの本音はこの辺りにあると思うのが、世界
戦略が分かる人たちの共通した認識である。ここでもまた、一般民
衆はババを引かされる。山本七平さんの本に「空気の研究」(文春
文庫)と言うのがある。靖国神社問題、教科書問題など日本人は
自分の意見を構築せずに、その時の空気に流されやすい。このよう
な全体主義的な精神構造が多くの間違いを起こしてきたといえるだ
ろう。今、アメリカも全体主義に向かっているのだろうか?
今この時、世界をしっかりと見つめたい。自分の目で見、自分の頭
で考えなければ、世界は見えてこないだろう。世界の3大配信元も、
このたびの映像を流したCNNも同じ立場の資本である。テロに歓喜す
るアラブの少年たちの映像は10年前のものではないかとの報道もあ
る。送られてくる情報を、自分の感性でしっかり受け止めていかな
いと、個性も自由も奪われていくことになるだろう。
ロスチャイルド、ロックフェラーの両財閥、これらと関係の深いア
メリカ、フランス、イギリス政府にアラブの油田の利権、ユダヤ教
、キリスト教、イスラム教などが、さまざまな形で利害が交錯して
いく21世紀である。日本人は、もっと世界を知り、国際戦略に目を
向け賢くならなければならないだろう。
アメリカ経済は、ブッシュの目論見通り経済復興を果たし、日本も
おこぼれをもらう形で回復に向かうだろう。人の不幸の上にたって
幸せを得る。恐ろしいことではある。
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(Fのコメント)
中山さん、ありがとうございます。米国の世論操作が厳しい時は、
あまり米国の行動を批判しない方がいいと、友人から注意をされま
す。

しかし、モルガン・スタンレーの会長がJPモルガン系からロック
フェラー系になったのは、この時期に変だと思いませんか??
米国国家の指示のような気がしますし、英国のBBCも会長が交代
しています。戦時統制経済になってきた。国家意志と同調する人が
なっている。日本はどうするのか??米国に付くのか、欧州に付く
のか??
私は米国でいいと思いますが。欧州は貴族社会ですから、息苦しい
。米国の方が水に合う。


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