664−2.科学の見方について



件名:国際戦略コラム NO.651 -1 に関するコメント。  

9月13日の「ニューロニクスについて」記事のみを読んだ限りに
おいては、センセーショナルな感じを受けます。「SF小説の世界
が現実になりつつあるのか?」と感じる方もいるかも知れませんが
、そこまでは行っていないと思います。

「ニューロニクス」研究会の重要基礎技術の一つは、多分、「パタ
ーン比較/認識技術」でありましょう。松下はニューロチップ(パ
ターンマッチングを通常のCPUよりも2桁以上高速に処理できる
)を開発した技術を持っている。東芝は手書き文字パターンを通常
のCPU上で解析認識するソフト技術を持っており、他分野のパタ
ーン認識にも応用できると思われる。日立も同様である。NTTは
通信分野の他に(意外にも)辞書に関するデーターベース関連技術
を持っている。これら各社の得意分野を組み合わせて、米国で先行
しているニューロニクス技術の可能性を研究しようということかも
しれない(推定です)。ニューロニクスとは視聴覚情報の応用処理
技術であるとするならば、基本原理の一つであるパターン認識を高
速に処理できて、過去に経験したデータの中から瞬時に最適の解を
導き出し、しかもそれを将来の自動判断データにもしなければなら
ない。このために必要な基礎技術を持っていそうな会社を集めたの
かも知れない。(例えば;単に足が早いサッカー選手だけを集めて
も試合には勝てない。ドリブルとシュートがうまいだけでも勝てな
い。戦術面での基礎データを体系的に整理して使いこなすことまで
徹底して、初めて試合に勝てる。)
 通産省が予算削減を防止するためにメーカーへ呼びかけたのか?
あるいはメーカー側が、他の省庁(例えば郵政省や防衛庁)で予算
が取れなくなりつつある分を、別の省庁でカバーしようとしている
のか? はたまた純粋に日本国の将来を憂えて、官民一体となって
取り組みつつあるのか? 当事者ではないので不明。

 たしかにNHKで昔、「米ソ間の諜報技術」に関する放映があり
ました。技術的にもなるほどと思う所が多々あったが、「内部には
一切盗聴用の機器なしで、パソコン上のプライバシーが通りを挟ん
だ外部から盗聴者のモニターに写し出されるというものです」とい
う表現のみでは、不思議に思われる方も多いでしょうから、少々補
足します。(以下の記述は、NO.651-1 関連サイト内容の一部を見た
要約と私の推定です。私はその関係の者ではありません。念のため。)

 盗聴は通信回線から伝送情報をインターセプトする事が基本です
が、物理的接続を伴うと発覚する確率も高くなります。従って、
対象物への接触を伴わずに盗聴できる事が望ましい。これの追求の
結果として、TEMPESTが問題になっているようです。
 TEMPESTとは、[Transient Electromagnetic Pulse Emanation 
Standard]の頭文字を取ったもので、「過渡電磁パルス放射基準」と
でも訳しましょうか、電子機械が本来目的以外に発生する電磁ノイ
ズに関する記述のようです。

 前記NHKのモニター盗聴例の原理は、CRTモニター(ブラウ
ン管)画面から発生する電波ノイズを盗聴者が遠隔受信して、画面
表示状態を再生するというものです。
CRTモニターは構造上、内部に高電圧をかけて電子流を発生させ
、CRT前面の蛍光面に電子流をぶつけて光を発生して、人間の目
に文字や画を認識させています。電子の流れが蛍光面に衝突する時
に、過渡的な電磁現象を発生します。いわゆる電波ノイズです。
この本来意図しない電波雑音を、パソコンを使っている部屋の近く
の道路から指向性アンテナを用いて補足し、当事者に気付かれる事
なく画面を再現しようとするものです。CRTが発生する電波雑音
は特定の周波数帯域であり、しかもCRTモニターのラスター周期
が規格化されている事に気が付いてしまえば、原理はファクシミリ
と類似であり、後は電子回路技術の問題です。しかし、この事例は
もはや過去の部類に属するかもしれません。なぜならば、CRTに
替わる表示装置として液晶モニタが主流になりつつあるので、盗聴
可能条件は難しくなると思われます。
 ただ、関連ドキュメントの中に、「この電磁放射の再生は、コン
ピュータやデジタル機器に限らず、全ての電磁放射を発生する機器
に応用できる」という記述のある事が気にかかるのですが、具体的
に何を意味するのかは、私には分かりません。もしかするとニュー
ロニクスに関係するかも知れません。電子機器は多かれ少なかれ
ノイズを発生します。それの発生パターンと関連事象を蓄積して解
析する技術が進展すれば、しだいに現実的になるかも知れません。
エシュロンが伝送情報解析を主体としたものであるならば、ニュー
ロニクスが汎用パターン認識を目指したものであってもおかしくな
いかもしれません。例えば、ある機器の電磁放射パターンを記憶し
てデータベース化しておき、外部の状況変化との関連を体系づける
事により、次に同じ電磁放射パターンが見つかったならば、再び
特定の状況変化が発生するであろうと推測する事は可能かもしれま
せん。

 脳波指紋の記事は、「100%正確」と書いていますが、「FBI捜
査官であるか否かを判定する実験では100%判別できた」という事な
ようです。
原理としては、人間が脳内に蓄積してある情報を認識する時に、思
わず発生する脳波パターンを検出して、その特徴を分類してある
データと比較判定すれば、最低限、その記憶が在るか否かは判定で
きるということらしい。現在のレベルは、頭に脳波を検知する検出
器をベルトで固定し、質問者が特定の意図を持って質問し、被質問
者の脳波を測定して、波形パターンを見て、反応結果を判断する
状態のようです。とはいえ、先に上げた電子機器の電波雑音と同じ
ように、脳が発生する思わざる反応に万人共通のパターンがあるの
で、「客観的判断の手段たり得る」と言うのが研究者の主張らしい
。研究者は、これを使って「冤罪で服役している人の無罪を法廷で
証明する手段としたい」と言っている。つまり「人間の記憶を解読
できるようになるので・・・」というレベルをどう解釈するかにも
よるが、まだ一字一句解読できるレベルではない。

 なお、1999年6月現在の可能技術(1〜6)について、個別
技術の発展については驚くべきものがあると思いますが、まだ、
その分野単体の技術レベルであると推定します。今後どのように
加速進展するかは、私には予測がつきませんが・・・

(M)
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(Tのコメント)
ニュロニクス研究の実態は下のURLで見ると分かる。
http://unit.aist.go.jp/hlt/Neuro/neuro.htm
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件名:科学が万能と考えられた時代はあっ たのかな?  
wbs71803 
いつの時代にあっても、その当時の大多数の人間にとって、未知の
世界を知ることは驚きであったろうし、ましてや未知の世界への道
筋に科学と呼ばれるものの介在があったとするならば、人々は科学
に対して科学の持つ偉大さに対して驚異の念を抱くことになるよう
に思います。ただその事は科学万能とかいったものでなく、それは
未知の世界に対する恐れとか畏敬とかいったものであるように思い
ますし、さらに言えば便利になるとか


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