652−1.国家のアイデンテティー =産業通商政策



国家のアイデンテティー =産業通商政策

日本の国は加工貿易で成り立ってきました。
Made in Japan は安くて良い商品の代名詞のような時代がありま
した。そういう産業通商政策で日本の国が成り立ってきました。
スイスは永世中立国として、世界のお金を集める政策がとられて発
展してきました。
香港は、関税のかからない自由貿易を旗印に発展しました。
 
国家が発展するためには、バックボーンとなるべき産業通商政策が
必要なのではないでしょうか?日本中の工業団地がスラム街のよう
になっています。加工貿易というインフラがこわれてしまった日本
は、これから世界の中でどんな役割を果たすべきなのか、どのよう
な内容で産業立国をすべきなのか、それが問題ではないでしょうか!

この問題が全然議論されないまま、「構造改革」という抽象的な言
葉が一人歩きして、枝葉末節の構造改革議論だけが前面に押し出さ
れています。財政構造改革、外務省の汚職究明、不良債権の整理が
新しい日本を生みだす原動力になるのでしょうか?
 
インフレ待望論が前面に出てきています。
桝添さんの日銀法改正論が新しい日本を生み出すのでしょうか?
新しい日本には、どのような産業通商政策が必要なのでしょうか?
本コラムが、新しい日本を創る戦略的なプログラムを発信できるよ
うに、皆様の英知を結集されますことを願って止みません。
tanaka
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 国家のアイデンテティー =産業通商政策
コスモス 
 ここのところしばらく、ちょっと忙しくて、tanakaさんの
問題提起にお答えする事が出来ないでいました。すみません。
 
 経済の衰退に当たって、国家が採るべき道は「新しい中枢産業を
興す」「もはや利益を生み出さない産業を思いきって潰す」ことに
あると思うのです。
 
 で、小泉内閣のやるべき仕事は、利益を生み出さない外郭団体の
廃止と産業復興に役立つ規制緩和で十分なのであって、「新たな中
枢産業を企画し、実行する」ことは必要無いと思うのです。
 
 それこそが、我々国民のやらねばならない仕事であり、その明確
なプランも出来ていないのに公共投資を、それに伴う景気浮揚を、
と望むのは順序が違うと思うのです(当たり前ですが、公共投資を
望むのは間違いではない)。
 
 「構造改革」は、十分検討された内容であり、抽象的だという
tanakaさんの御指摘には同意できないところがあります。
 本当の意味で、十分利益を生み出すはずなのに改革で潰されそう
な団体というものは、民間に移行した方が自由度も高く、理不尽な
謗りも受けることなく活動して、利益を生み出してくれるはずです
。赤字覚悟で国が手助けしていかなければならない産業は・・・・
少し疲れていて頭が回りません。どなたか御指摘頂けますか?
 
 さて、新たな国家産業についてなのですが、私は以前、『アメリ
カ政治情報メモ』で『日本列島保養地化計画』というのを冗談半分
で書きこみました。
 戦前、中国にいた欧米の高官が、休暇にわざわざ日本までやって
きていた、というレスにインスパイアされたものなのですが、手前
味噌ながらこれは結構うまくいく産業なのでは? と思っているの
です。
 
 なるべく英国風をベースに(模倣するのではなく)観光地やリゾ
ート地をアレンジして、これから発展するであろう(持論と矛盾し
てますが)中国から、欧米の駐在ビジネスマンを休暇に誘う。定年
退職されたバイリンガルの方々も、彼らの通訳・案内役として活躍
できると思います。
 関西国際空港が巨額の負債にあえいでいる今、着工した中部国際
空港がそれ以上の苦難に直面するのは目に見えています。あれだけ
大規模で有効性のあるように見えた関空がこのていたらくでは、国
が主体となって行う景気浮揚策というものが信頼されないのも当然
と思うのです。
 そしてなにより、欧米の知識人がいっそう来日する事で、日本へ
の無知から来る誤解を解く事が出来るのではないでしょうか。
 
 まだまだ目を通していない重要な情報が手元にたくさんあり、今
なんとか述べられる意見はこれが精一杯です。これを叩き台にして
下さってかまいません。どんどん私の意見を批判して、新たな産業
を、未来の日本の夢を語って頂けませんか。
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(F、Tのコメント)
日本の産業界をあまり知らない私ですが、T君は大阪・日本橋の連
中とも付き合い、その面で知っているので、議論した。

製品は1個作るより、100個、1000個、1万個、10万個では
値段が大幅に違う。常識だそうだ。その値段差は10倍程度違う。
このため、太陽光電池でも新型機械でも最初は高い。この値段が高
いと需要の増加が起こらない。この部分で、最初のトリガーとして
補助金等の政府の施策が必要になる。

村田製作所のコンデンサー1本1円以下、高周波フィルターも
2000円と安いとのこと。これは大量生産しているためで、かつ
アセンブリラインはほとんどないことによる。

産業通商政策としては、大量生産では日本より中国の方が安い。
しかし、その生産ラインにするまでは日本の方が小回りがきく分、
いいものができるので必要である。そのため、アイワの開発部隊も
今までシンガポールにいたが、日本に戻ってきた。

日本が新製品を生み出し続けないと、日本は中国の製品に飲み込ま
れることになる。アセンブリラインは特にそうであるから、日本で
大量生産はしないこと。新製品のみ日本になるでしょうね。それと
トヨタのレクサスも全量日本で生産している。こちらは品質の面で
日本でしかできないようだ。

このように、新製品を生み出すこと。品質面で日本しかできないと
言うものを生産するしかない。これは、国民や社員を常に理系教育
する教育国家、教育企業になるしかない。トヨタはいつも、原価低
減の方策を生み出す。工程管理に対してきびしい。このようなきび
しい面を持たないと世界に勝てない。そして、トヨタは考える人の
養成が一番重要と言っている。そのとおりだと思う。

ソニーの失敗は、新製品がないことだと思う。ウオークマンのよう
な新しい機能の提供が井深さんがいなくなってから、ないように思
う。松下も同様に新機能の家電がない。最初に開発したカシオの追
従であるデジタルカメラしか売れていない。しかし、高級カメラは
やはり、ニコン、ミノルター、キャノンなどのメーカが技術力が
あり、今後出てくるように思う。このような新しい民生品を生み出
すことでしか日本の産業は持たないと思うが。

何を生み出せばいいか、または何を技術的に追及するのがいいかの
私的会議が各所にできるといいと思う。建築や土木も同じ。何を作
るかが重要になっているのです。国家はその支援をするべきだ。

国家が重要なのは、研究開発費負担の大きな研究テーマに対して、
研究開発費を補助することである。日本国家の威信からの研究は
失敗していることも、知って欲しい。宇宙開発、高速増殖原子炉な
ど、そして失敗しても特殊法人のため止めない。その点、半導体研
究組合のような民間主体の組織は、研究が終了した途端解散してい
る。どちらが効率的かが、歴史的に実証されている。


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