635−2.日本をあなたのものにするために



「日本という国をあなたのものにするために」ウォルフレン著を読
んだ感想とその発展系を考えよう。   Fより

日本は未完の国家のままである。そして、それを日本人が無自覚な
のです。国民が「市民であること」が重要なのですが気が着いてい
ない。政治意識を持ち、自分には他の市民と手をたずさえて、より
よい社会を築いていく力があるということを理解することが市民の
市民たるゆえんなのですが。

そして、日本では「市民が戦っても、とうてい勝ち目はない」諦め
ることが多いのではないかと思う。そのため、選挙が儀式になって
いる。このため、政治家が統治しなければならない仕事を、官僚に
すっかり任してしまったのです。国の舵取りを政治家がしていない
から、選挙で誰を選んでも一緒の状態になったのです。

そして、官僚の独裁国家になり、首相のまわりに真の統治を阻む
障害物をたくさん置いて、できなくしたのです。このため、世界
の指導者は、日本の首相とマトモに対応しなくなっている。

民主主義社会には、煽動の危険があり、権力を握るためには大衆
の感情をどう煽動すればよいかを知っている頭のいい人間が、大
衆の偏見や恐怖心を利用して独裁者になる可能性がある。しかし
、それが危ういとエリートに国の運営をまかせきりにすると、
国民の利害とは違う方向になることがある。今の日本がまさにそ
の典型である。よって、定期的な選択が必要なのです。市民が政
策を選択する必要があるのです。

この定期的な政策の選択には、市民の代表が官僚にアカウンタビ
リティー(説明責任)を求める必要があるのです。それが権力へ
のチェックになり、官僚の独裁の歯止めになると考えられるので
す。アカウンタビリティーとは政策決定の手順や判断を明確にし
て選択枝を提示させることです。
そして、それを説明する責任が官僚にあるのです。官僚の個人名
まで、明確する必要があるのです。責任の所在を明らかにするの
です。

官僚が大きな権力を持ったのは、山県の遺産です。官僚のコント
ロールされていない権力が、大きな災いを日本に起こしているの
が現状です。製薬会社の利益を優先したエイズ禍を起こした厚生
省、美しい田園風景を醜いコンクリートで覆う建設省、海外に居
る自国民を守らない外務省、学校でのいじめに有効な手段を出さ
ない文部省、国債や財投の不良負債化を知りながら対応しなかっ
た大蔵省と、この現象に対する対応策を国民は説明されたか??
選択枝の提示をされたか??なにもしていないから、日本がおか
しくなっているのです。

それなら、市民と官僚がコミュニケーションして、対応方法を
検討しているかというと違う。国民無視の姿勢。官僚が創造性
豊かで問題解決能力があるかというと、これがまるっきしない。
学者は、官僚の言うことを聞くお抱えしか審議会に呼ばない。
反骨精神のある人は敬遠する。これではどうしようもない。

もう1つ、この官僚たちの各省庁が独立国家になっているため
、日本国家というのがない。各省庁の調整をするのが首相の役目
なのであろうが、全て出した網羅型にする。日本の経済が伸びて
いる間は、予算を増加させればいいので、可能であったが、今後
は政策の調整が必要になり、このような網羅型は無理になり、
一律数%カットとなる。これは過去の失敗と同じになる。
戦前の陸軍と海軍の反発が太平洋戦争を敗戦にした大きな原因と
言われているが、今の日本も同じ状態である。このため首相は
日本ではお飾りでしかない。このことは外国のトップは充分知っ
ている。

このため、通産省が日本でしたいことを、米国政府に話し、米国政府
が日本に要求するという変な交渉も多々ある。日本が一本化してい
ないのは、災害時に分かる。それぞれの省庁がバラバラに行動する。
現場での調整機関がないため、どうしようもない。この例が神戸
地震の被害で明確に外国でわかった。この時、捜索犬を日本に入れ
なかった外務省は、大きな汚点を残したが、本人たちは職務に忠実
であったと今でもいう。国民のために外務省があるのではない。
外務省のために外務省があるのですから。

とうとう、国民にも、日本の構造改革が必要であるとわかったよう
だ。未完のこの日本国家の政治構造も改革するべきなのです。市民
革命を行うしかない。「パブリック・レルム(公共の領域)」とい
う空間は、人々が集い、語り合い、社会的会話ができる所のことで
あるが、この公共領域の確立が重要なのです。今まで、日本人は表
立って、意見の対立、討論をしていなかった。そのため、このよう
な公共領域を持っていない。この公共領域では学位も特別な地位も
要らない。だれもが参加できる。参加して市民になる。次に政治家
が参加すること。市民と候補者のコミュニケーションが大切なので
す。

この公共領域の1つとしてインターネットに注目している。それと
、パンフレットや新聞。その政策議論では、始めに問うことである
。なぜかを、何遍も問う。これが積み上がると本当の政策になるは
ず。

そして、政治家に日本の統治方針をしっかりさせること。また、
官僚も、方針を実務に落とすことを着実にすることが必要。そのた
めには閣議が重要である。本当の議論をその場でするべきであるの
です。そして、国民の声を反映させることです。そのような政治構
造が必要なのです。日本には。


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