631.米国の戦略について



      ミサイル防衛計画と世界の安全保障 
        (「冷戦思考からの脱却」)
                      Domoto
 8月13日、訪ロ中のアメリカのラムズフェルド国防長官と会談
したロシアのイワノフ国防相は、会談後のコメントの中で次のよう
に述べました。「相互確証破壊理論から、コントロールされた抑止
理論へと移行すべき時期になった」

 相互確証破壊理論というのは、互いに大量の核兵器を保有し制御
方法を持たないことが核戦争を抑止するという理論です。改廃が問
題になっている弾道弾迎撃ミサイル(ABM)制限条約は、核ミサ
イルに対する防御手段を制限することで核戦争の発生を抑止しよう
とするもので、同じ理論の上に成り立っています。

 1983年にレーガン大統領が発表した戦略防衛構想(SDI)
は、10年後、当時破綻に瀕していたアメリカ経済のなか1993
年に誕生したクリントン政権で、開発は実質的にストップしました。

 アメリカの進めているミサイル防衛計画という新しい核戦略構想
は、現在のミサイル技術など大量破壊兵器の関連技術の拡散に対応
するもので、重要な構想だと思います。核軍拡の心配などがあがっ
ていますが、旧システムで世界の平和と安全保障が維持できるわけ
はなく、現在、新しい安全保障システム構築への理解を呼びかけて
いるブッシュ大統領は、その政治手法に問題があるとしても、高い
評価を受けてもよいと思います。
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(Fのコメント)
その通り、米国は自国の防衛を中心に考え、NMDを作っている。
この計画は、中国ミサイル防衛のためで、ロシア向けでないことは
明確。ロシアはNMDに対抗できる金を持っていない。対抗できる
金と技術を持っているのは、中国しかない。米国は世界の次期体制
を読んでいる。NMDよりTMDの防御力は弱い。

米国は軍事費の配分を、地上兵力、海軍兵力から宇宙にシフトする
方向でしょう。どうしてか??
それは、中国のロシア製ミサイル艦就航により、空母が中国海岸に
近づけないため、空母戦略見直しが必要なためです。中国が米国の
仮想敵国ですから、米国は最大の注意を中国に向けています。

このため、二正面戦略も破棄した。当面、イスラエルの動向、イラ
クの動向が重要です。このため、パウエルが中国に行って、北朝鮮
の暴発を押さえて欲しいと頼んでいる。その代わり、米国は中国と
当面平和と中国のWTO加盟支援をすることにした。日本の国粋主
義防止も決めたようですね。中国の自制も促したようです。

どちらにしても、米国は1ケ所の戦争がしたいのですから、いろい
ろなオプションを持っている。しかし、米国国民が納得する理由付
きの戦争しかできない。それがハールパーバーを必要とした理由で
もあるが、この理由が成立するのは、米国とては、イスラエル支援
と麻薬撲滅である。
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    自動車部品・板ガラス・紙製品で外圧要求    馬借
 アメリカ上院財政委員会のボーカス・グラスリーの新旧委員長が
、アメリカ押売外圧継続のために無理矢理設置した「日米新経済協
議」で自動車部品・板ガラス・紙製品で対日圧力をかけるよう、
大統領に要求。 

 彼らは「反競争慣行を一掃する構造改革」とか言ってるが、自動
車部品ではジョブジョブブッシュ1世時代にせしめた露骨な押し売
り協定の復活を狙ったのが、そもそものこの「新経済協議」のアメ
リカ側の目的。紙と板ガラスも同様の押し売り外圧がずっと続いて
きた代物で、言わば「反競争慣行を一掃」どころかその圧力の中身
は「アメリカ製品を無理矢理買わせるための反競争協定」に過ぎな
い事は明白。 

 アメリカ政治語での「日本の構造改革推進」を訳すと「日本の自
由市場化改革への妨害」となり、「反競争」を訳すと「自由競争」
になることは、ここ10数年来の言わば「常識」。 

 こういう結果主義的ゴリ押し要求で散々痛い目を見て、「失われ
た10年」の原因の何割かを確実につむぎ出したというのに、まだ
日本の新聞は、こういうアメリカ政治家の「自由競争要求」だの
「改革推進」だのという嘘八百看板をそのまんまの言葉で報道して
る・・・。どこまで馬鹿なんだろうね。結局、アメリカの押し売り
でどれだけ経済が歪もうと「どうせそれで損するのは一部の企業じ
ゃないか。自分達には関係無い」とでも、思ってるんだろうね。 
 別に「企業優遇しろ」なんて言わないけど、せめておかしな外圧
に対して「おかしいものはおかしい」って、まともな感覚の切れ端
くらい持てないのかねぇ。これから「起業を盛んにする」のが必要
だって時に「実際に商売してる人達」に対して「一部の企業の損は
自分達には関係無い」なんて発想が続いているようじゃ、日本経済
の夜明けは遠いねぇ・・・。 
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(Fのコメント)
ITの輸出力が落ち、次の対日輸出品を米国は検討している。
しかし、この分野では日本は、中国やアジアから購入するほうが、
安い。このため、完全自由化にしているのでどうぞ。でしょうね。
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二方面作戦、改めて放棄を示唆 米国防長官
      産経新聞社  8月18日(土) 15時20分 
 【ワシントン17日=前田徹】ラムズフェルド米国防長官は十七日
、現在、見直しを進めている米国防新戦略について触れ、「これま
で米軍が採用してきた二正面作戦は非現実的という見方を強めてい
る」として、改めて二正面作戦の放棄を示唆した。 
 同時に二つの戦争を勝ち抜くことを目指す米軍の二正面作戦は、
中東での戦争に加え、北朝鮮と戦うという可能性を前提に米軍
百四十万体制の基礎になっている。しかし、同国防長官は冷戦後十
年の現在では「そうした状況が起きる可能性は極めて低い」として
おり、さらに平和維持活動などに米軍が常時、従事している現状で
は、物理的にも二正面作戦に必要な兵力を維持するのは困難との
見方を披露している。

 また、放棄後の体制については「世界のどこであっても完全に
勝利でき、しかも同時に別の攻撃を撃退するだけの余力を持った
体制は維持するつもりだ」と説明した。

 国防総省は現在、二十一世紀の新国防戦略の柱としてミサイル防
衛推進に全力をあげており、巨額の開発費捻出(ねんしゅつ)のため
にも米軍のスリム化が不可避とみている。二正面作戦放棄もその一
環とみられる。
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米財務長官、「ドル政策は不変」強調   日経
 【ワシントン15日=吉次弘志】オニール米財務長官は15日、米
CNBCのインタビューで円高・ドル安が進んでいることに関連し
て、「米国のドル政策は変わっていない」と述べ、強いドル政策に
変更がないことを強調した。米政府は「強いドルは米国の利益にか
なう」というクリントン政権以来の為替政策の継続を表明しており
、今回も同じ内容を改めて強調した。 
 長官は「(財務長官という)仕事の中で学んだのは、ドルについ
て政策を継続しているということ以外に何も言わないことだ」と言
明。強いドル政策を継続する考えを改めて示した。 

 為替政策に関連し、ホワイトハウスや財務省のスポークスマンも
変更がないことを強調した。米政府関係者が相次いで為替政策につ
いて発言した背景には、長官のテレビ出演が「ドル高政策の変更」
との市場の思惑を呼んだことがある。こうした市場の思惑を封じ込
める狙いを込めたとみられる。 
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米株式、「勝ち組」苦戦を嫌気
 【ニューヨーク18日=越中秀史】米株式相場の下落基調が強まっ
ている。米店頭株式市場(ナスダック)総合指数は17日、4月11日以
来ほぼ4カ月ぶりに1900台割れとなり、ダウ工業株30種平均も1万200
ドル台にまで下落した。デルコンピュータなど「勝ち組」の苦戦が
浮き彫りとなり、企業収益の回復が遅れるとの懸念が広がってきた
ためだ。個人マネーの「株式離れ」も鮮明になりつつあり、市場で
は先安観が強まっている。 
 17日の急落を先導したのは前日夕に5-7月期決算を発表したデル。
パソコンのシェアを伸ばしているにもかかわらず減収となり、今後
の業績予想を下方修正したのが嫌気された。16日には売上高、利益
が倍々ゲームで伸びている光通信ネットワーク機器大手のシエナが
決算発表で収益予想を引き下げたのを受けて3割も急落。「勝ち組の
苦戦の表面化で年内は企業収益が回復しないことがはっきりした」
(米国株トレーダー)と市場は受け止めた。 
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ベトナム戦争を指導したマクナマラ米元国防長官に聞く
 米「単独でパワー行使するな」/日「歴史問題隣国と和解を」 
 ミサイル防衛や地球温暖化問題などをめぐり、ブッシュ米政権の
単独行動主義が目立つ。ケネディ、ジョンソン両政権の国防長官と
してベトナム戦争を指導したロバート・マクナマラ氏(85)は、
朝日新聞記者とのインタビューで、自らの苦い経験を踏まえて「米
国は単独でパワーを行使すべきでない」と強調。日本についても、
歴史問題で隣国との和解が必要だと指摘した。
(ワシントン=三浦俊章) 

「冷戦後、米国は経済的、政治的、軍事的に最強の国家になった。
今後少なくとも数十年間、この状態が続くだろう。米国民は自分た
ちが何が正しいか分かっていると常に思っていて、単独行動主義に
陥りやすい傾向がある。しかし、米国は自らのパワーを単独で行使
してはならない」 

 「京都議定書には欠点はあるが、温室効果ガスの問題は現実に存
在しており、多国間の協調なしには解決できない。京都議定書は少
なくとも、その方向に向けての一歩だ。米国はその枠組みの中にと
どまって、改正を求めるべきだった」 

 「60年代に国防長官を務めた当時は、パートナーと協力すべき
だと考えていた。だから、北大西洋条約機構(NATO)や日米安
保を重んじた」 

 「しかし、ベトナム戦争では単独行動主義の過ちを犯した。南ベ
トナムが陥落すれば周辺諸国も次々と共産化されるというドミノ理
論があり、それをくい止めるため介入したのだ。軍事行動で問題を
解決できる、と誤ってしまった」 

 「米国は全知全能ではない。日本や欧州のような似た価値観や
利害を持つ国々を説得できなければ、たぶん我々の方が間違ってい
ると考えるべきだろう。行動するときも我々だけではなく、価値観
や利益を共有する国とコストを分かち合うべきだ」 

 「国際社会では、意思決定、軍事力の行使のいずれの点でも、
多国間の枠組みが必要だ。国連の安全保障理事会を再構成し、強化
すべきだ。常任理事国を増やすとともに、拒否権の制度を廃止すべ
きだ」 

 「日本も常任理事国になるべきだ。しかし、そのためには、教科
書問題など歴史問題での隣国との和解に取り組み、自らの過去を受
け入れるべきだ。それが実現するまで中国との関係は極めて難しい」 


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