感想とお願い 2001-8-13 国際戦略コラム 御中 川上 貴メルマガは、範囲が広く内容のしっかりした記事が多いので、 大変有意義に読ませて頂いております。 現在は、明治維新や1945年の敗戦時に匹敵する大変革期に当って おり、構造改革に伴う痛みを恐れていては、日本が沈没して行くの ではないか、と心配であります。 『日本再生シリーズ、日本国の将来像および国家戦略、21世紀研究 会の永田通氏』は、思い切った提言で、直ぐに実現が難しい点が 多々ありますが、新しい発想が多く、議論のタタキ台には、非常に 興味深いと存じます。 同シリーズを今後とも掲載されたく、切に希望致します。もし、 同シリーズの『目次』的なものが、手に入りますと、折りをみて 一度載せて頂きますと有難いです。 貴メルマガの一層のご発展を、お祈り申し上げます。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー (Tのコメント) 目次ではないですが、永田通さんのページを設けています。そちら が目次の代わりを果たすと思います。 http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/index-n.htm ============================== 各位 2001-8-17 21世紀研究会 永田通 前回の日本再生、『国家戦略その4―地方併立と知事及び衆院選挙 』に続きまして、『国家戦略その5―首相議員制と参院選挙』を送信 申し上げます。 原文がA4版で、1行40字、1頁40行ところを、送信文に組入れたため 、改行等が少々乱れ、読みにくい箇所があるかと存じますが、ご了 承願い上げます。 ntt007@mx12.freecom.ne.jp ◯ 「日本再生」 『国家戦略』 その5 △△ 首相議員制と参院選挙 △△ ―前回と併せてお読み願います― 1、首相の選出方法について、考え方を整理して見ましょう。 1-1、『首相公選制』 米国の大統領を念頭に置いております。国家 の最高指導者(呼び方首相、総理大臣、大統領)は国会議員以外とな ります。他の大臣は指導者の胸の中ですが、国会議員以外が多くな りそうです。立法と行政が分立されます。国民が直接自分でリーダ ーを選択できる制度となります。 1-2、『議員内閣制』 英国を模範とした日本の現制度であります。 総理を含む殆どの大臣が国会議員となります。立法と行政が混合し ます。 1-3、『首相議員制』 新しい試みで、首相のみは衆院議員から選出、 他の大臣は国会議員以外とするもので、立法と行政を分立峻別しま す。1-1、1-2両者の中間に位置し、21世紀研究会の提言する所であ ります。 2、前項の三つの制度を比較検討します。 2-1、『首相公選制』 直接選べる事は、一見民主主義の理想のよう に思われますが、次に述べる理由により、採用は『不可、no』であ ります。 ア、内閣支持率が1〜2ヶ月の間に8%から80%に急変するような日本 では、選択が正当に行われるかどうか、極めて疑問であります。 イ、大衆迎合主義(popularism)で、人気投票的色彩が強くなり、選 ばれる側も大衆受けする案件は実施するが、そうでない分野や事柄 は先延ばしし、目先重視に傾き、将来に禍根を残す可能性が高いと 考えられます。 ウ、米国のように予備選挙をやりますと、長い日数と膨大な資金が を必要となりまして、スポンサー(資金)のない候補者は、いくら資 質(人格、識見、胆力等)が優れていても、勝ち残れません。因みに 現在の日本で、首相候補が、かかる大きな資金を、個人で負担でき る人は、まず居りません。 エ、たとえ当初の1〜2回は何とか正常でも、その後は、カネ(別の資 金提供スポンサー)とマスメディア(情報)、更に海外圧力の支配す るところとなります。 オ、「アとイ」は、教育等で選挙民の資質を向上させれば、少々改 善可能ですが、「ウとエ」は、殆ど改良不可能であります。『首相 公選制』は、やがて、日本国の実質的崩壊への道となります。 2-2、『議員内閣制』 次のような実状を改革する必要があります。 ア、当該省庁を知らない国会議員が、当選回数によって急に当該大 臣に任命され、内部の恥部や秘密に目をつぶり、突っ込んだ仕事は しない、やっと分かりかけた頃には内閣改造で退任する。これでは 官僚の言いなりとなる外ありません。(過去の歴代外務大臣の多く等 が、その例であります) イ、大臣になっても、当該省庁の内容は分からないから、予算分捕 り等で当該省庁に貢献し、△△族議員への道を邁進する。これは予 算の無駄使い、財政破綻へ繋がります。 ウ、内外ともに、全ての仕事と判断がたった一人の総理大臣に集中 しているため、かなりの歴代総理大臣が健康を害し、任期途中或は 直後に命を落とされました。 エ、三権分立をしっかりさせる為にも、立法府の国会議員が行政府 の長たる大臣に短い期間で出入りする仕組み変え、大臣には、利権 に惑わされない見識、的確な判断と実行力(胆力)を有する人物にす る必要があります。 2-3、『首相議員制』 総理以外の大臣に国会議員を登用せず、立法 と行政を分立する『首相公選制』的要素を取り入れ、前項の『議員 内閣制』の良さを残しつつ、大きく改良を加えたのが、『首相議員 制』であります。 具体的改革の骨子は次の通りとなります。 ア、出席衆院議員150人の中から、思想信条政策の似通った総理大臣 2名(1人は内部省庁と構造改革担当、1人は国家方針、対外的問題と 非常事態担当)を、在郷衆院議員を加えた300人で選出します。国際 会議等と国会における会議の重複によって、政治が停滞するのを防 止します。加えて総理が超多忙のため、健康を害するような国家的 損失を解消します。総理2名の意見不一致は、閣議の決する所としま す。 イ、他の大臣は現職国会議員からは選びません。両総理が推薦し衆 院の承認を得ます。行政、立法の両機関の分離分立を強めると共に 、議員の大臣病(数回当選の暁に大臣になれる?)を当初から払拭し、 加えて族議員の発生を防止します。 ウ、次官等の高級官僚が、そのまま大臣に就任しないよう、歯止め を設けます。つまり、官僚が省庁を退任して5年間(同一省庁の場合 は8年間、例、財務次官や財務審議官が財務大臣になる等)は、大臣 に就任できなくします。 エ、大臣就任資格者は全て、就任前4年以上の期間、国政や国益に関 する提言(レポート)を月1度程度の割合で公表し(約50回となります )、△△大臣として適格と思われるような識見、判断力、胆力を窺い 知れるような活動を継続している事を条件とします。実力見識不明 のタレント等が急遽大臣に就任しないようにします。 3、参議院(以下参院といいます)は、政党や派閥と完全に切り離した 少数精鋭の良識の府、衆院の行き過ぎを監視するチェック機関とし ます。 3-1、任期は4年、スタートを衆院選挙の2年後とし、同時に郷会議員 の選挙を実施して投票率の向上を図ると共に、両議院の同時閉鎖を 防止します。 つまり、2年に1度、衆院+知事か参院+郷会、いずれかの選挙が定 期的に実施され、分かり易くなります。 3-2、総定数を60人とし、内50人を10の道州的大地域(北海道、東北 、関東、東京、北陸信越、中部、近畿、中国、四国、九州)で選出、 残りの10人を全国区で選びます(欠員の補充選挙は無し)。選挙区域 が広いため、次項のようなPR方法を採用します。 3-3、立候補の条件は、大臣の場合と同様に、届出の前4年以上の期 間、国政や国益に関する提言(レポート)を月1度程度の割合で公表 し(約50回となります)、参院議員として適格と思われるような識見 、公平感覚、判断力、を窺い知れるような活動を継続している事を 条件とします。 提言の内容についての判断は、当人及び選挙管理委員会のホームペ ージ、メールマガジンとして希望者に無料配布、公的場所(市役所等 の行政機関、銀行、大郵便局、大書店)に常備、等により選挙民に して頂く外ありますまい。 3-4、政党、派閥、党人(収入か行動の中心が党や派閥活動の人)、 議員(名実共に政党と関係ない人を除く)、政治団体、常時組織の 支援団体(労組、宗教や業界団体、△△会等々)が推薦、応援活動を した場合は、態様と規模に応じ、得票数計算の大幅減数を行います 。(90%減: 100万票取ると10万と計算)政党、派閥、党人、議員、政 治団体は、規模にかかわらず90%減、常時組織の支援団体は規模 に応じ10〜70%減、(1万人、4万人、16万人、32万人、64万人、 128万人、256万人以上の7段階) 3-5、タレントや映像(テレビ、映画)出演者の場合も、3-3の提言を 要請しますが、それでも非常に有利なため、前項のような得票数計 算の減数を行います。届け出前1年以内と1〜4年以内に分けて、出演 、放映時間により10〜60%を減数します。 3-6、参院議員は3人以上の結党を禁止します。参院は終始、大いに 意見を開示して衆院の逸脱を警告、防止する政党抜きの良識の府で あるべきと考えます。 3-7、前項のような理想が、立候補者の減少、投票率の低下、参院議 員自体の質の低下等々により、改善のメドが立ち難い場合は、思い 切って参院制度を廃止し、衆院及び内閣を監視する制度を、ボラン ティア的発想の下に新設する方が良策であります。一院制により立 法府の活動を機動的にし、審理時間と経費(歳出)の大幅節減にも貢 献します。