623−1.コロンビアの悲劇



中南米の歴史でもコロンビアの現状が、一番悲劇的です。その状況
を見ましょう。      Fより

アルゼンチンを調べている間に、コロンビアの方がもっと大変な
事態であることに、気が着いた。このコロンビアについて、見てみ
よう。

コロンビアは、面積1、139百万km2で、日本の3倍。人口は
4080万人。人種は混血75%、欧州系20%、アフリカ系4%
先住民1%。言語はスペイン語。宗教はカトリック。典型的な中南
米国家である。
GDPは847億ドル、一人当たりのGDPは2250ドル。
輸出は石油、コーヒ、石炭、バナナであるが、本当は非合法なコカ
インであろう。

ここは、スペイン支配時代はヌエバ・グラナダ副王領で、1810
年に独立宣言をする。1819年グラン・コロンビア共和国成立、
1885年コロンビア共和国になり、1903年パナマが分離独立
現在はパストラーナ大統領。

コロンビアは、世界のコカインの80%を生産し、ペロインも生産
する世界最大の麻薬の産地である。ここに、2つの左翼ゲリラ:
コロンビア革命軍(FARC):16000名、民族解放軍
(ELN):6000名と1つの右派武装組織AUC:8000名
が存在する。それと、武装した麻薬の密売組織。それと政府軍が
三つ巴、四つ巴の内戦をしている。合従連合もさかんである。

それもこの40年間続いている。すでに10万人以上の人が土地を
捨て、そして、それ以上のコロンビア人が祖国を離れている。政府
軍は弱体で、北部数都市にしか軍を常駐させていない。ほとんどの
地域がゲリラ側である。そのゲリラも3つに割れているため、ゲリ
ラ地域の支配も変化が大きい。昼は政府、夜はゲリラが支配すると
いう地域は、もっと多い。政府軍は点と線しか押さえていない。
昔のベトナム戦争当時の南ベトナム政府・米国軍と同様な感じがす
る。

首都のボコタでさえ、ゲリラの誘拐事件が起こる。ボコタにある
日本企業がゲリラに平和税を支払わないとして、日本人を誘拐する。
そして、ゲリラは現地の子供をも誘拐していて、毎年500件以上
の誘拐が発生している。そのため、ゲリラ兵力の主力はティーンエ
イジである。年端もいかない子供が、カラコルムのライフルを扱っ
ている。ゲリラの資金源はやはり麻薬であるため、資金は潤沢であ
る。

そこに、米国の支援がクリントン前大統領により確定した。13億
ドルの援助の中身が問題で、Glyphosateというモンサン
ト製の除草剤をコカイン栽培地に撒くことが含まれていた。しかし
、この巻き方は高い高度から撒くため、南部ジャングル地域全体に
影響を及ぼしている。

南部ジャングル地域の4/5がコカインの産地であるためであるが
、この6ケ月間に4万人の南部土着農民が生まれ故郷から北部に移
動した。またベトナムで使用した枯葉剤と同じような障害を人間に
与えると言う。リンパ腺異常である。奇形児も心配されている。
生物連鎖のため、その地域全体の動植物が大きなダメージを受ける
ことも確実である。

このモンサント製除草剤は、種類を選ばない枯葉剤であるため、
コカインだけでなく、パイナップルやココア、バナナなどの作物も
ダメにする。しかし、その果樹のダメージよりコカインのダメージ
の方が軽いため、今までのココア農家が立ち行かなくなって、コカ
インを生産するようになると、コロンビアの農事関係者は発言して
いる。

 もう1つ、米国の援助には米国軍事顧問団を政府軍指導のために
派遣する。ブラック・ホーク戦闘ヘリも援助する。これって、ベト
ナム戦の初期と同じ感じだとは思いませんか??

ジャングル戦の訓練基地として沖縄があるが、この重要性を認識し
ている日本人は少ない。このため、なぜ沖縄で訓練するのか分から
ないはずだ。ヨーロッパ戦線、中東戦線ではジャングルは関係ない
。米国のアジア仮想敵国メインは中国であるが、中国もジャングル
は多くない。沖縄には10万人規模のジャングル戦専用の訓練施設
がある。この訓練はコロンビアのジャングル戦に備えるためであろ
うと思う。中東戦争がないと、米国は本気でコロンビアの麻薬地帯
の一掃をするため、ジャングル戦を仕掛ける可能性がある。

どうしてか、在日米軍の動きとプエルトリコでの軍事演習中止の意
味を問う必要がある。
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コロンビア:政府軍と左翼ゲリラが軍事衝突 105人が死亡 
2001.08.02 
 【メキシコ市・吉田弘之】南米コロンビアからの報道によると、
同国の北部、南部で政府軍と左翼ゲリラ「コロンビア革命軍」
(FARC)の大規模な軍事衝突があり、過去2日間に少なくとも
105人が死亡した。今年に入り最大級の戦闘で、政府とゲリラの
和平交渉に暗雲がかかっている。
 軍当局が1日、発表したところでは、死者はFARC側が84人
で政府軍側が21人。最大の戦闘地は北部コルドバ州で、ゲリラ側
が60人と、政府軍兵士6人が死亡した。政府軍は西部ジャングル
地区でも攻勢をかけており、戦闘による死者数はさらに増える可能
性が強い。軍当局者は「ゲリラの攻撃から町を守るため、速やかに
対応する」と述べ、戦闘の拡大が懸念されている。

 政府とFARCは今年2月、和平交渉の再開で合意。大規模な捕
虜交換が行われたが、両者の主張に隔たりがあるうえ、戦闘や
FARC側による度重なる民間人の誘拐などで交渉は行き詰まって
いる。
[毎日新聞8月2日] ( 2001-08-02-11:06 )
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コロンビア:約92人が誘拐される 左翼ゲリラの犯行か 
2001.04.17 
 【メキシコ市17日吉田弘之】南米・コロンビアからの報道によ
ると16日午後6時ごろ(日本時間17日朝)、同国北東部アラウ
カ地方のカニョリモン油田で、米オクシデンタル石油の現地従業員
が乗ったバスなどが、左翼ゲリラとみられる集団に襲われ、約92
人が誘拐された。うち、約80人は数時間後に解放されたが、残り
は拘束されている模様だ。
 AFP通信などによると、従業員らはバスなど18台に分乗し、
作業現場から帰宅する途中だった。警官を装った武装集団が車両を
止め、誘拐したらしい。犯行声明は出ていないが、同国軍当局は、
「コロンビア革命軍」(FARC)か第2のゲリラ組織「民族解放
軍」(ELN)の犯行との見方を強めている。
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コロンビア誘拐:国家警察が捜査していると公式に認める 
2001.03.16 
【ボゴタ15日中井良則】コロンビアのジリベル国家警察長官は
15日の記者会見で、矢崎総業の合弁企業副社長、村松治夫さん
(54)が誘拐された事件について「慎重に捜査している。あらゆ
る可能性を調べている」と述べ、国家警察が捜査に当たっているこ
とを初めて公式に認めた。しかし、捜査の内容については答えなか
った。日本大使館の報道担当者は同日、「コロンビア政府には村松
さんの安全確保を最優先するよう求めているが、発表することはな
い」と述べた。
 コロンビアのエルティエンポ紙は、誘拐時に村松さんの車にほか
に日本人社員3人も乗っていたが解放されたと報じた。また、エル
エスペクタドル紙は誘拐を実行したのは一般犯罪集団ではなく、
左翼ゲリラ「コロンビア革命軍」(FARC)のボゴタで活動する
都市組織だと指摘。村松さんの身柄はFARC第22戦線から
FARC第42戦線に移されたと伝え、情報が錯そうしている。

 両紙の報道について、警察の広報担当者は「確認できない」と述
べた。
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コロンビア:大統領が革命軍最高司令官と会談 和平問題で 
2001.02.09 
【メキシコ市8日吉田弘之】コロンビア政府と左翼ゲリラの和平問
題で、パストラナ大統領は8日、「コロンビア革命軍」(FARC)
のマヌエル・マルランダ最高司令官と会談した。9日も引き続き話
し合う。両者の主張には隔たりがあり、和平交渉を再開して軌道に
乗せられるかどうかは微妙だ。
 会談場所は政府側が1998年11月、軍を撤退してFARCに
与えた同国南部の緊張緩和地域内のロス・ポソス。マルランダ最高
司令官がパストラナ大統領を出迎え、肩を抱き合う和やかな雰囲気
で会談は始まった。大統領が和平交渉の再開と約500人に上る捕
虜の解放を求めたのに対し、マルランダ最高司令官は右派民兵組織
による農民虐殺や、米国からの麻薬対策としての13億ドル軍事支
援などを問題にした模様だ。

 政府側は会談の開始直前から右派民兵組織の大規模な取り締まり
作戦を開始しFARC側にアピール。しかし米国からの支援問題に
ついては「妥協の余地はない」として歩み寄る姿勢は見せていない。

 パストラナ大統領の交渉戦術に対しコロンビア政界では「緊張緩
和地域を与えるなど譲歩のし過ぎ」という批判も出ている。大統領
はFARCから何らかの譲歩を引き出し、交渉を進展させたい意向
だ。
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イベロ首脳会議:「パナマ宣言」採択し閉幕 パナマ 
2000.11.19 
【メキシコ市18日吉田弘之】中南米諸国とスペイン、ポルトガル
の21カ国が参加した第10回イベロアメリカ首脳会議は18日、
パナマ市で2日間の討議を終了、貧困の犠牲となっている子供達の
教育、福祉に地域を挙げて取り組むことなどを内容とした「パナマ
宣言」を採択して閉幕した。
 国連児童基金(UNICEF)の統計によると、南米の約2億人
の子供のうち半数が貧困家庭に育ち、約10%は労働しており、
中南米諸国が抱える最大の問題となっている。宣言は2015年ま
でに全ての子供に初等教育を受けさせることを目標として掲げる
一方、教育現場のコンピューターなどの積極導入、各国で深刻化し
ているエイズ対策も盛り込まれた。

 また、会議では米国のキューバ経済制裁問題や、米国が13億ド
ルに上る支出を決めているコロンビアの麻薬・左翼ゲリラ対策
「プラン・コロンビア」が周辺各国に麻薬栽培やゲリラ紛争を拡大
する可能性などについても話し合われた。
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米大統領:コロンビア援助 人権条件を適用せず 
2000.08.24 
【ワシントン23日中井良則】クリントン米大統領は23日、コロ
ンビアの麻薬取締り援助に軍事訓練を含む13億ドルを支出する決
定を発表した。7月に成立した援助法の実施条件として議会はコロ
ンビア政府による人権改善措置など7項目の条件をつけたが、
大統領は「米国の国家安全保障に関わる」との理由で、人権条件を
適用せず、支出に踏み切った。議会の一部や人権擁護団体は「人権
軽視」と非難した。大統領は30日、コロンビアを訪問しパストラ
ナ大統領と麻薬対策について話し合う。
 クリントン大統領は記者団に「パストラナ大統領は人権問題に正
しい取り組みをしている。麻薬から米国民を守り、コロンビアの
民主主義と人権のためにパストラナ大統領が成功することが重要だ
」と述べ、パストラナ政権を全面的に支援する姿勢を示した。

 米国の援助は、麻薬密輸組織や麻薬組織を保護する左翼ゲリラと
戦うコロンビア政府軍の支援が中心で、米軍事顧問による政府軍特
殊部隊の訓練も含まれている。議会は7項目の人権改善条件が実現
した時か、大統領が国家安全保障上、必要と判断した時に、援助を
実施できると付帯条項をつけた法律を可決した。

 ホワイトハウスが発表した支出決定に関する22日付けの国務長
官あて覚書によると、7条件のうち、実現が確実なのは、コロンビ
アで人権侵害を犯した軍人を軍法会議ではなく一般の裁判所で裁く
ためのコロンビア国内法改正だけ。ほかの6条件は実現していない。

 覚書は大統領が安全保障上の理由で支出を決めたことについて「
米東海岸で消費されるコカインの75%はコロンビアから来る。
麻薬により米市民は毎年5万2000人死亡し、米社会は1100
億ドルの費用を負担している」と説明している。


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