600.『国家戦略その2―現状認識、水準、意識』



各位       2001-7-18 21世紀研究会  永田通
 前回の日本再生、『国家戦略―外交、情報、技術、防衛、教育、
金融』に続きまして、『国家戦略その2―現状認識、水準、意識』を
送信申し上げます。
 原文が1行40文字、1頁40行、A4版2枚のところを、送信文に組入
れたため、改行等が少々乱れ、読みにくい箇所があるかと存じます
が、何とぞご了承の程願い上げます。
                 ntt007@mx12.freecom.ne.jp

◯ 「日本再生」     『国家戦略』 その2 
1、国家戦略とは―― 諸外国との関係を強く念頭に於いて、日本
の進路方向を、動的・前向き・企画的に策定した将来像、と申せま
しょう。

2、現状認識戦略――日本の現況・実体を、戦略的に、はっきり認識
しないと、方針を誤ります。一般に想定されているより、大幅に劣
化(重症に近い)しております。
2-1、不良債権は、民間金融機関だけではありません。政府系・公的
金融機関(住公・国金・中公・政投=旧開銀・漁公・国営企業金融公
庫等々)、資金運用部からの融資(住都公団・本四橋公団・道路公団
・関西空港・その他の特殊法人・第三セクター等に対するもの)及び
、政府開発援助(ODA)には、潜在的なものが今後次々に不良債権化し
、実質的回収不能は、相当多額にのぼる筈であります。
2-2、外貨準備金が、世界でトップクラスと言いましても、一人当た
りにすると、シンガポールや台湾等にも及ばないでしょう。予算規
模(歳出80兆円)から見て、外貨4000億ドル弱(約50兆円)は、1年分の
国家支出を賄い切れません。年支出規模800万円の家庭に500万円の
預金がある程度で、格段に豊か、とは申せません。
2-3、個人金融資産が1400兆円弱存在していますが、これらの多くは
、有効(国富増大・国益貢献・経済発展等)に活用されておりません
。パイプが詰まり、不良債権と表裏一体化し、腐敗しつつあります。
2-4、族議員、縦割り官僚(部局重視・省軽視・国益無視)、これらに
連なる圧力団体(◯△協会・△◯連合会・財団法人△△等々)、反国
益の市民運動等が、非効率(費用=支出に比べ効果=税収増・国富増が
ない)な歳出を要請し、赤字国債の一層の増大、更に日本崩壊・破滅
への先導役をしております。
2-5、志(ココロザシ)やambitious(大望を抱いた)な気構えを喪失し
た若者、身の周りだけの幸福で満足する小粒人間、忍(ニン)の字を
忘れ・耐える事を知らず・公や他人からの恩恵だけを期待・自分の
方からの貢献を放棄した連中、かかる日本人の増大・蔓延は、道義
心・公共心の低下と共に、日本を確実に3〜4流国へ没落させんと
しております。
2-6、国際競争力(生産性)が年々低下し、日本国内で物作りをしても
コスト高で、輸入した方が安いとされる製品が、あらゆる分野に及
んで来ました。将来の貿易収支赤字化の兆しであります。
2-7、不要〜有害外国人が、不法入国等で年々増え、環境の悪化・
犯罪の増加に拍車がかかって来ております。

3、水準戦略・意識戦略――市民生活・国家支出・自治体役割等々
様々な面で、当面如何なる水準を目指すべきか、どんな志(ココロザ
シ)・精神で事に当たれば克服でき、日本を再び、活盛国(活き活き
とした盛んな国)へ再生できるか、であります。
3-1、今回のバブル崩壊は、金融・経済敗戦と言っても過言ではあ
りません。変革すべき規模・範囲は、明治維新と1945年の敗戦に匹
敵します。
3-2、明治維新では武士、1945年には軍人、いずれも当時、事実上一
番権力を握っていた人々が、一旦完全に失業しました。統計はなく
とも、失業率が一時期、2ケタ(10%〜?0%)に及んだと推定されます
。成長率は大きくマイナスになった筈であります。GDP(総生産)も
、半分以下になったかも知れません。かかる混乱や廃墟の中から、
大志と夢を抱き、逞しく前進したからこそ、欧米先進国に追い付い
たのであります。
3-3、バブル後の日本人は、甘えが充満しております。日本が危機的
状況にあるとの認識が極めて弱く、失業率がコンマ何%上がったと騒
ぎ、不況だからと補助金や支援金を官(国家政府・自治体)に要請し
、自律・自立の精神は何処へやら。これでは、「再生」を初めから
放棄していると言わざるを得ません。
3-4、国民は景気回復を期待と、世論調査に出ますが、これは、「気
分」と短期(目先き)総需要の増大を指しております。赤字国債を乱
発し続けますと、当面その期待に近づけますが、将来は一層悲惨に
なります。「経済の堅実な持続的発展」を景気が良いと定め、自助
・自立に励み、今はその基盤整備に注力する雌伏の時期であります
。人気取りの大盤振る舞いは、最低の選択となります。
3-5、景気が回復(プラス成長が定着)したら、構造改革・財政再建
を始める、との考えでは、何年待っても時期は来ません。国債発行
を実質的に引受ける人や機関(日銀は論外)が無くなると、日本財政
はサドンデスとなります。
3-6、「660兆円の国債・公債を全部デフォルト(支払い停止)し、
元本だけを長期分割払いで全額返済する。もちろん以後は、国公債
は一切出さない。」としても、完済するには何十年も要する訳であ
ります。この位の思い切った抜本的改革意欲がないと、日本は再生
しません。
3-7、一時、国民所得が半分に減っても、失業率が30%に達しても、
2ケタのマイナス成長になっても、忍耐するとの堅い意志がないと、
日本再生の見込みはありません。
その理由は、世界から見た日本の真の実力・国際競争力が、そんな
所に落ちてしまっているからであります。
3-8、身の程を知る事が肝要です。身の丈に合った行動をする事です。
背伸びは続かず、おだてられた経済大国の化けの皮はすぐに剥がれ
ます。足をすくわれ倒されます。水ぶくれの水準を早急に落し正常
に戻さないと、突然死が迫っております。
3-9、国家の破綻とは、国家運営の実体が海外勢の言いなりになる事
です。既に、外資の傘下に入った金融機関や企業が続発しており、
人事・去就(採用解雇)・利益分配・解散の権限も移動していますが
、かかる自主性・自立の喪失が普遍化し、日本人の多くが奴隷化・
家畜化されて行く事であります。
3-10、本来優秀な日本人は、その気になって意識革命をやれば、必
ず出来る国民であります。1ヶ月の間に8%から80%と、内閣支持率を
10倍に上げる事すら可能なんです。信念の伴わない小手先の改革で
は、すぐに息切れして、今回の難局は乗り切れません。
3-11、日本の指導的(世論をリードにする)立場にある、大臣・国会
議員・官僚・マスコミ・有識者・教育者等々に、頑張って頂き、
日本人の意識を新たにする事が、日本再生への最良・最短の道であ
ると確信しております。


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