595−2.米軍戦略の動向



米国の新戦略構想がだんだん見えてきたので、考察しよう。Fより

米国の軍事戦略の構想で、二正面作戦を止める方向と言っていたが
そうではなく、戦争の危険があるアジアシフトと、米国国民を守る
ミサイル防衛網の構築の2本立てになっている。それと、地域紛争に
備えることでありそうだ。日系2世のシンセキ陸軍参謀長になって
から陸軍の主流部隊の装備が戦車から装甲車に変更になり、歩兵部
隊の装備が地域紛争を想定したものになっている。

ミサイル防衛により、今までより軽減化される予定であった軍事予
算は逆に増額になる。それほど、ミサイル防衛構想は、巨額の研究
開発が必要である。この対ミサイル・ミサイルの目標国であるが、
米国は北朝鮮と言っているが、中国であることは間違いない。

中国のオリンピックが決まり、北京は大はしゃぎのようであるが、
台湾の独立の機会がきたと、週刊アカシック・レコードの佐々木さ
んは分析している。この見解に賛成である。
http://plaza12.mbn.or.jp/~SatoshiSasaki/

台湾政府も気がついたようで、反対の声明を出し、今後独立を進め
る方向を明確化させている。
しかし、中国の軍組織は、戦前の日本と同じで、それぞれの軍団が
中央の指示なしで、自由に行動できるため、中国の中央の意思とは
違う動きが出てくる可能性がある。米国はこの事態を今度の偵察機
事件で知ったはずである。これに対応する軍事策を考えて、ミサイ
ル防衛を真剣に考えている節がある。日本も中国の軍統制の分散化
には、要注意であると思う。特に広州軍団の独自的行動は、台湾と
の関係もあり、目が離せない。

ロシアと中国は、米国のミサイル防衛構想に対応した同盟を結ぶが
中国をロシアは警戒もしている。つい最近も中国の戦闘機がロシア
国境を越えて、問題になっている。さあ、どうなりますか??
中国はどうしてもロシアとの同盟は必要である。このミサイル防衛
は中国に対してだからである。
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米軍の新戦略は4つの任務が基本に 米紙など報道 
2001.07.14 
Web posted at: 6:48 AM JST (2148 GMT) 

(CNN)ラムズフェルド国防長官らが進める米軍の戦略見直しの
一端が明らかになった。13日付のニューヨーク・タイムズ紙は、
二正面戦略に代わって米本土防衛など4つを軍の主要任務にするこ
とが決まったと報じ、AP通信なども後追いした。 
   中東と朝鮮半島など世界で同時に起きる2つの戦争に勝利できる
ように、兵力数を約140万人と定めたのが二正面戦略だ。 

6月末に承認される 
ニューヨーク・タイムズ紙とAP通信によると、新任務を定めた
29ページの極秘文書が6月末に、ラムズフェルド長官、四軍司令
官、各地域軍司令官のそれぞれに承認されたという。 

新しい任務とは、(1)米国の領土を防衛する、(2)欧州、中東
、東南アジア、北東アジア、東アジア沿岸に米軍のプレゼンスを置
くことによって、侵略者の行動を抑止する、(3)一つの主要な戦
争に決定的に勝利する、(4)限られた期間の小規模な緊急事態に
対処する――の4つ。 

(1)の米国防衛が米軍の主要任務に組み込まれたのは初めて。主
にはミサイル防衛などを想定しているが、核や生物化学兵器を使っ
たテロへの対処も強化する。 

ニ正面戦略を見直すことによって、兵士の数を減らしミサイル防衛
に回す予算が増える見込み。ただ、(2)の任務のため、兵力を増
強する地域も出てくるという。 

(3)が4つの任務の中心。「決定的に勝利する(Win decisively)
」は初め、単に「勝つ(Prevail)」となっていたが、軍側の働きか
けによって、言葉使いが強まった。 

(4)は、ボスニア、ソマリア、ハイチでのような活動を想定して
いる。文書にはいくつの事態に対処できるようにするのかは明示さ
れてはいないが、海外の2、3カ所で紛争予防などのために米軍が
駐留することが想定されている。 

あいまいさは残る 
今回、承認された4つの主要任務をもとに、今後さらに詳しい戦略
見直しの作業が続けられる。ラムズフェルド長官は8月下旬か9月
初めまでに作業を終える考えだ。具体的には、兵力数をどのくらい
まで削減し、兵力を増強する地域とはどこなのかなどが注目される。 
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米 ABM条約抵触へ ロ・同盟国に衝撃 米「一国主義」鮮明に
(朝日 7月13日 朝刊) 
[要約]米国防省のウォルフォビッツ副長官は、ミサイル防衛網開発
で数ヶ月以内にABM条約に抵触することを認めた。しかしロシアに
ABM条約の改善を求める一方で、同条約を破棄する構えも示した。
ロシアは反発すると同時に、欧州や中国との連携で牽制するという。
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ミサイル防衛システムの迎撃実験に成功 米国防総省  朝日

 米国防総省の当局者は14日、同日深夜(日本時間15日午前)
に開始したミサイル防衛システムの迎撃実験に成功したと語った。
ブッシュ政権下では初めてだが、通算4回のうち、成功したのは2
度目。実験のペースを速め、ミサイル防衛構想を本格化させる方針
を表明している同政権にとっては重要な意味を持つ。

 実験はまず、カリフォルニア州のバンデンバーグ空軍基地から敵
のミサイルに見立てた大陸間弾道ミサイル「ミニットマン」を打ち
上げた。その後、約7700キロ離れた西太平洋のマーシャル諸島
のクアジャリン環礁の実験場から迎撃ミサイルを発射し、太平洋上
空でミニットマンを撃ち落とした。

 迎撃実験はクリントン政権時代の昨年7月に失敗した後、中断し
ていた。ブッシュ政権は、開発の遅れを取り戻し、04年から10
年以内に迎撃ミサイルの配備にこぎつけたいとしている。(12:56) 
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(5)冷戦時代を超える軍事支出  GWR  中村忠彦
 発足当時からベールに包まれていたブッシュ政府の軍事予算規模
が全貌を見せ始めた。軍事予算総体は、「ラムズフェルド国防長官
主導の総合的見直しを経て決定」と予算案中の不確定変数に閉じ込
めたはず。総合見直し発表はまだ影も形もないのだが、ラムズフェ
ルドは過日、プレスにも発表せず「本年度国防予算追加1080億ドル
」を省内予算案に繰り込ませている。本年度の暫定軍事予算はすで
に前年度を150億ドル超えているのだから、追加分を含め前年度予
算を10%以上上回る。ラムズフェルドの発言は就中「冷戦後のアメ
リカ戦略にとり、これまで維持した2方面同時戦争遂行姿勢は不要
」との明言がある。これを受け、国民は「軍事予算負担は軽減され
る」と解している。ブッシュ=ラムズフェルド=共和党右派=軍需
産業ラインで構成されるアメリカ軍事装備予算は得体が知れず不気
味だ。
 アメリカの軍事予算の配分は前方30%後方70%。つまりペンタゴ
ンや内陸で「いざとなれば機能し始める第2司令部、第3司令部、
後方支援、増幅能力」といった、第2次世界大戦や米ソ正面衝突を
前提とした戦争に対応できる態勢に加え、ペルシャ湾岸や朝鮮半島
での戦争同時発生との想定による航空母艦群や後方支援機能を維持
している。さらに1万発近い戦略核弾頭は「北朝鮮に占領された日
本の工業力が敵方支援に入った折にこれを壊滅させるため」にも数
十発が標的を合わせている。
 加えてブッシュは今週、14日に予定される第4回迎撃実験の結果
を待たず、「ミサイル迎撃システム構築を2005年を完成年度として
直ちに開始する」と宣言した。これに要する費用は上記増額分には
含まれていない。ここにも数十億ドルが必要になる。構築の理由と
してご丁寧にも「北朝鮮から飛来するミサイルを打ち落とすため」
と明記されている。
 北朝鮮はすでに「原子力発電に必要な軽水炉などの援助を得られ
ればこれ以上の核研究はしないし、そのような協力的な関係がアメ
リカとの間で築かれれば、ミサイル開発は全面的に断念・停止する
」と明言している。クリントン前政府はこれに対応し、閣僚級から
首脳レベルへの合意作りの最終段階に入ったが、任期切れになり、
後を新政権にバトンタッチ。新政権の当面の窓口であるパウエル国
務長官は「クリントンが手がけた北朝鮮政策を新政権は踏襲する」
と就任直後に、これも明言した。
 北朝鮮が、アメリカに到達する攻撃用ミサイルを1発も持たねば
、もちろん迎撃システムなどは無用になる。またアメリカ一国がシ
ステムで護られても残りの180数ヵ国は北朝鮮の核ミサイルの脅威
にさらされ、恐怖におののくのだから、世界人口5%のみが護られ
ても世界にとっては大した恩恵ではない。クリントン路線に従い北
朝鮮が開発を断念し、国連による年次査察でそれが確認される限り
、世界は安眠できるはず。ブッシュはしかし、南北統一の期待を担
って米新政権発足後最初の国家元首訪問者となって抱負を持ち込ん
だ金大中・韓国大統領に、「北朝鮮との対話続行」を拒否した。
金は自国民への面子まではがされて傷心帰国した。
 北朝鮮の首領は、「南北朝鮮統一が実現すれば、その時点から米
軍の朝鮮半駐留は差し支えない」と公言している。そうなれば、同
半島からアメリカや日本に核ミサイルが飛来する確率はゼロとなる
。「日本人拉致問題」で交渉を阻む日本や「言うことが信頼できな
いから、信頼できるという証拠を提出させてから交渉に入る」とす
るアメリカの有り様は、全力を挙げての南北朝鮮統一を阻む努力と
さえ映る。少なくともこれは欧州連合(EU)首脳複数人の発言に記
録されている。
 それでもラムズフェルドは先々週、「B-1爆撃機は現実に使い道
がないから配置機数を削減する」と発言した。議員、特にB-1製造
州の関連議員はたちどころに反対ロビーに動き出した。もちろんこ
れは産業界との二人三脚だ。爆撃機わずか数十機のお蔵入りでこれ
である。冷戦時代に培った壮大な軍事力を削減するとなれば、これ
の数百倍するロビー活動が起こるのは当然であろう。これこそがか
つて第2次世界大戦終了後に、世界を米ソ対決構造に追い込んで大
戦時の軍事予算安堵を図った最大理由であり、時のアイゼンハワー
大統領に「産軍合体こそがアメリカにとっての最大の脅威」と言わ
しめた所以だ。
 自らの国民や兵隊の飯も満足に支給できない北朝鮮を世界の脅威
に仕立て、第2次世界大戦や冷戦時代を上回る資産を、永久に使用
することのない軍備の予算に流し捨てることを、しかもそれを半ば
隠密裡に進めているのがブッシュ政権と見るのは、ひが目だろうか。

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台湾、北京五輪で中国の統一攻勢に警戒  日経
 【台北14日=村山宏】台湾では北京五輪を歓迎しつつも、中国が
五輪を理由に統一攻勢をかけてくることを警戒している。張俊雄行
政院長(首相に相当)は14日「中国はオリンピックの平和精神を尊
び、中台に平和の関係を築いてもらいたい」と祝福した。行政院体
育委員会の鄭志富副主任は中国側が計画する聖火リレーの台湾経由
について「中台が対等の立場ならば実現できる。中国が台湾を領土
の一部とみなすなら受け入れられない」とくぎを刺した。 
 中台間ではこれまでも北京五輪の中台共催や中台統一チームの結
成も取りざたされてきた。台湾の陳水扁総統も昨年は中台共催に前
向きだったが、今回の北京五輪決定では発言を避けている。五輪決
定のタイミングをとらえて銭其シン中国副首相が一国二制度を台湾
側に迫るなど、中国側が統一攻勢を強めていることに反発している
もようだ
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首脳会談 中露、友好条約締結へ
産経新聞社 7月15日(日) 1時55分 

江沢民主席きょうモスクワ入り
米ミサイル防衛をけん制
【モスクワ14日=伊藤正】中国の江沢民国家主席は十五日、二〇〇八
年夏季五輪の北京開催決定の舞台になったモスクワ入りし、四日間
のロシア公式訪問を開始する。十六日にプーチン大統領と首脳会談
を行い、善隣友好協力条約を締結、両国の半恒久的な平和と協力関
係構築を宣言する見通しだ。また、二十日からの主要国首脳会議(ジ
ェノバ・サミット)を前に、中露は戦略的パートナーシップの強化を
アピールし米国のミサイル防衛構想をけん制、弾道弾迎撃ミサイル
(ABM)制限条約堅持での共同歩調を確認するとみられている。

 江沢民主席のロシア訪問は一九九八年十一月以来で、プーチン政
権になってからは初めて。プーチン大統領とは六月に上海で開かれ
た上海五カ国首脳会議(上海協力機構に改組)の際に会談し、友好協
力条約を基礎に経済・貿易、文化、科学技術など各分野での協力発
展などで合意している。

 中国外務省高官によると、新条約は両国関係の安定と協力の推進
が目的であり、旧ソ連との旧条約のような軍事条項は一切含まれて
いないという。江沢民主席はロシアのテレビ局のインタビューに、
新条約は「いつも変わらぬ良き隣邦、良きパートナー、真の友人」
であることを宣言するものだと述べた。

 中国は、五輪招致の成功に続き、今秋にはアジア太平洋経済協力
会議(APEC)上海会合や世界貿易機関(WTO)加盟など本格的な
国際化を控え、ロシアとの関係をさらに安定させる必要に迫られて
いる。

 それには安全保障上の信頼醸成に加え、経済・貿易など実質的な
関係の基礎強化が必要だ。しかし両国の経済実力には大きな差があ
るため、貿易額も八十億ドル前後と米中貿易の十分の一以下にとど
まっている。ロシア経済の発展がなければ、貿易も投資も大きな伸
びは期待できない。

 江沢民主席はプーチン大統領に、ロシアの資源開発など、新たな
経済協力を約束するとの見方が強い。また中国は従来、年平均十数
億ドルのロシア製兵器を購入してきたが、ロシアのTu204、
Tu214型旅客機の購入にも前向きと伝えられている。


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