585−2.アメリカ人の対日感情について(1)



アメリカ人の対日感情について                     杉作 
   
>映画「パールハーバー」をアメリカで見た感想   Yamaoka 
>日本放映で削除されるのは、最後に主人公の女性が日本批判のセ
>フを吐くところだろう。 

 これは、その当時としては十分考えられることだと思います。と
いうのも、終戦直後のアメリカのギャラップ世論調査によると、「
戦争で生き残った日本人を皆殺しにすべきだ(日本民族を殲滅すべ
きだ)」という人が全体の13%いたわけですから。 

 同時にこれは日本人に対して脅威を感じている証拠でもあります。
というのも、現地の FOX NEWSチャンネルでは、開戦時の白黒映像で
、JAPの戦闘機が攻め込んでくるなどと盛んにJAP, JAP と当時のア
ンカーマンが連発していたので、強敵が攻め込んできて脅威に感じ
ている雰囲気を醸し出しています。 
 そして、終戦後マッカーサーが日本の空港に降り立つ時、武器を
携帯せず丸腰だったのも「もう日本人を恐れていないよ」という暗
黙のアピールであったという意見もあります。 

 しかし、開戦前の段階で、ハル国務長官の取り巻きが親中反日の
人間であったため、対日石油禁輸に当初反対していたハル国務長官
は、最終的にそのように踏み切らざるを得なかったようです。とい
うのもその取り巻きは石油が原因でアメリカに勝算があると考えて
いたからです。一方、日本では、当初反戦だった海軍の山本五十六
も、やはり石油が原因で「最初の1・2年は暴れ回ってみますが、そ
の後は確証が持てません」と言っていたようです。 
 参考のために申し上げますが、20世紀に入って戦闘機・戦車が登
場しましたが、これらは石油(ガソリン)を燃料として使います。
また、第一次大戦までは石炭と石油の混合であった戦艦も、第二次
大戦ではほぼ全艦船で石油(重油)が燃料として使われました。
そのため当時、「石油の一滴は血の一滴」に相当すると言われ、そ
の後も石油は自動車輸送や日本の産業全般に渡って不可欠となり、
「石油は近代国家の血液」などとも言われるようになりました。
同時に、第二次大戦は「石油に始まり石油に終わった」とも言われ
ています。 
 また、当初ドイツを敵視していたアメリカは、日本に輸出した
石油が同盟国のドイツに流れてしまうことを懸念していたことも
石油禁輸の背景事情としてありました。というのも、ブリタニカ
百科辞典に「太平洋戦争」の項目が独立して取り上げられていない
ことからも分かるように、アメリカは、太平洋の西部戦線よりも
ヨーロッパの東部戦線の方を重視していたという意見もあります。
それだけ当初からドイツを敵視ししていたわけです。 

 それと意外と知られていないのは、暗号技術の発達によりローズ
ベルト大統領は事前に真珠湾攻撃を知っていたが、その内容をハワ
イのキンブル大将に伝えていなかったということです。 
  
 また、沖縄戦でアメリカの日系人が住民の中に潜り込み、背後か
ら日本軍を攻撃したそうなので、日本軍が沖縄住民を信用していな
かったというのも無理もない話です(同時に、日系1世・2世はアメ
リカ寄り・反日的というのも分かる気がします)。 

 少し取りとめもなく書いてしまいましたが、話を元に戻すと、
以上のように、戦争の直後では反日感情は高かったと思いますが、
数ヶ月前のニューズウィーク誌によると、ここ数年のアメリカ人の
対日感情は良くなっている傾向にあるようです。 
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Re:アメリカ人の対日感情について      YS 

 杉作さんへ 

>第二次大戦は「石油に始まり石油に終わった」とも言われています。

この石油からみた第二次世界大戦の視点は重要です。 
十数年間、この関連での文献を探してきたのですが、あまりいいも
のがみつからない。ご存じでしたらぜひ教えてください。 

ちょうどこの時代は、金融界でもモルガングループにかわってロッ
クフェラーグループが台頭してきた時期でもあります。 
この点で下記文献は非常に参考になると思います。 
なかなか入手しにくいとは思いますが、ご興味があればコピー送り
ますよ。 

「アメリカ商業銀行の企業金融(1938年〜41年)」−ニュー
ヨークの大銀行を中心とする協調融資活動の分析− 呉 天降(当時
中央大学教授、日本証券経済研究所研究員)日本証券経済研究所発
行『証券研究 Vol.77 Feb.1986」に掲載 

このP43にChase National Bank(現在のJ
Pモルガン・チェース)の1941年12月時点の主要融資先リス
トが掲載されています。 
スタンダード系石油企業以外にも、ダグラス・エアークラフト、
ロッキード・エアークラフトなど軍需産業や電力・ガス等公益企業
に莫大な融資を行っています。 

いつの時代も米の「この方々」のやり方って何でもありで決して
紳士的とは思えないのです。感情的にどうしても私が京都議定書問
題でEU寄りとなっているのは、ここからきているのかもしれませ
ん。 
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沖縄戦での日系部隊??          ふる@鶴川

 歴史は、誤解が新たな歴史を生み出すことになるので、些細な事
ですがコメントします。 

杉作さんwrote 
>また、沖縄戦でアメリカの日系人が住民の中に潜り込み、背後から
>日本軍を攻撃したそうなので、日本軍が沖縄住民を信用していなか
>ったというのも無理もない話です 

 杉作さん、このネタは初耳です。戦史や当時の状況を考えれば、
あり得ない話なので、ぜひ、ネタ元をお教えください。 
  
<あり得ない根拠として> 
・米国日系人は、米国への忠誠のために、ヨーロッパ戦線では戦闘
部隊の一員として参加しています。第442連隊とか第110大隊
が有名ですね。一方、日本軍との太平洋の戦いでは、語学兵として
の情報収集が主でした。一つは、2世は日本語がしゃべられるだけ
でなく、日本の大学に留学した者も多かったので、日本語の文書が
理解できるからです。従って、太平洋戦線に投入された日系人は、
語学技能の選抜チームでした。それと、本当の理由は、日本軍と
対峙した場合、戦闘兵士として信頼できない、という人種的な偏見
があったことが、語学兵のみの編成の主たる理由です。もっとも、
戦闘部隊を密かに構成することは、アイデアとしては考えられない
ことではありませんが。。。if小説のレベルです。 

・「住民の中に潜り込み、背後から日本軍を攻撃した」と言う点で
すが、そのようなゲリラ戦術を行うために、上陸前から潜り込んだ
のか、上陸後の話なのかが重要となりますが、この場合、攪乱戦術
をとるには根本的に上陸前でないと不可能なのです。 
  
 なぜならば、上陸後にそのような攪乱戦術を採るには、敵の陣地
が判明していることと、攪乱するために攻撃する側の米軍との連携
が必要ですが、このことで、もう話が怪しくなるのです。 
 沖縄では、日本軍は米国の物量に対抗するために、隠匿された
洞窟陣地を多数設け戦略持久戦術を採りましたので、そもそも日本
軍の陣地が不明でした。陣地が不明な処で浸透戦術は採れませんね。 
 又、当時未開発地域の多かった沖縄では、土地勘のある地元出身
の兵士でなければ、そのようなゲリラ攻撃は不可能だからです。
戦史を良く読むと理解されるでしょうが、部隊が場所が判らなくて
右往左往する話がよく出てきます。簡単に攻撃すると言っても、
その攻撃地点まで間違いなくたどり着くこと自体が難しいことなん
です。 
 日系人は当然、米国で生活して育った人間ですから、土地勘を持
つには戦争前に沖縄でしばらく生活した者でなければなりません。
その上、戦争勃発前に米国に帰国する必要があります。どのくらい
の人が対象となり得るでしょう? 
   
・では、上陸前に住民の中に潜り込んだのか? 
 これも、不可能ですね。当時の住民の防諜意識は高く、少しでも
怪しい素振りがあれば通報されていました。 
 また、今でも地方の村によそ者が行けば目立ちますよね。ですか
ら、よそ者(日系人)が潜り込むことは不可能であり、もし地元出
身の日系人であっても、帰国したことはずの者が沖縄にいれば、
それだけで噂になります。この点で住民に潜り込むことは不可能で
す。

 考えられるのは、米軍上陸直前に本島に上陸(あるいは空挺降下
)、日本軍の小部隊を装って、迅速に移動し目的地において攪乱攻
撃をする。。。 
 でも、この方法も無茶な話です。そんなことをすべき攪乱の目的
が無いからです(笑)。当時の日本軍は陣地に貼り付いている状態
ですから、そんな相手に攪乱させようにも攪乱になりません。自軍
の背後から攻撃を受ければ、混乱はするかもしれませんが、そんな
一陣地だけを混乱させても全体への影響はありません。 
  
 「本軍が沖縄住民を信用していなかった。」と、言うことは、
日系部隊のことよりも、そもそも日本軍は帝国の国体を擁護する天
皇の軍隊(皇軍)であって、日本国民の生命・財産を守る部隊では
なかったことが、他の国の軍隊との根本的な違いですね。 
 国民を守る部隊ではないので、住民が部隊の位置を通報するので
はないかと疑ってみたり、避難している住民を洞窟から追い出した
り、考えられない傍若無人なことをしてしまったのです。 
  
> (同時に、日系1世・2世はアメリカ寄り・反日的というのも分かる
>気がします)。 
 これも一方的過ぎる見解です。当時の日本人は移民となっても日本
への愛国心(どちらかと言えば、天皇への忠誠心)が高かったです
から、日系1世はどちらかと言えば、気持ちは日本寄りです。言わ
れ無き人種差別で苦労もしています。かと言って、すでに米国で骨
を埋める気持ちですから、日本への思いは心にしまい込んだ人が主
ではないでしょうか。日本寄りと思われたから、収容所に入れられ
たのが事実ですね。 
 一方、2世は米国育ちのアメリカ人です。バックボーンに日本の
心があっても、祖国は米国ですから、米国寄りは当然ですね。それ
を反日と言うのをおかしい。 

 二枚舌のディズニー映画「パールハーバー」の問題、「正論」の
8月号で米国で活躍する日本人俳優が問題提起しています。 


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