573.日本再生:『官の極小化』『発想の転換』



各位       2001-6-18    21世紀研究会 永田通
 前回の日本再生、「日本国の将来像―その2」、『政治指導者』
に続きまして、「日本国の将来像―その3」、『官の極小化』、を
送信申し上げます。
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◯ 「日本再生」   『官の極小化』 日本国の将来像その3
1、官とは―― 国、地方自治体のほか、これらの支配・影響下にあ
る法人及び団体を指します。詳しくは、後記をご覧願います。
2、何故極小化を要するか―― 官は、直接税(法人税・事業税・固定
資産税等)を全くと言える程負担せず、国富の創造に力なく、赤字財
政を一層悪化させる中核組織、つまり、最大のtax eater(税を使う
のみの存在)であるからであります。

3、現在のままを続けていると―― 遠からずして、新発国債・公債
の引受け手がなくなり、財政が破綻し、歳出の実行ができなくなり
ます。
3-1、国債等の日銀引受は、カラの融通手形発行に等しく、ほんの一
時しのぎにはなっても、直ちに国際的信用を失い、「円」の価値の喪
失に直結します。
3-2、一般会計の歳出規模で申しますと、「30兆円」規模で堪え忍ばな
いと、借金が返せず、財政再建はできません。財政投融資は、当分の
間停止します。もちろん、大不況となりますが、これが日本経済の
実力で、これまで背伸びし続けたツケが押寄せてきた訳ですから、
最終破綻するより、ここで我慢する方を選択すべきであります。

4、財政破綻国の末路―― 海外勢の実質的支配下に組込まれます。
金融敗戦でありますから、福祉や年金はどうなるか、分りません。
相手とその時の状況次第です。
4-1、これまで財政破綻した国々や集団が、アジアでもヨーロッパで
も、どれだけ多数消滅して行き、二度と復活できなかったか、歴史
を見ると明白であります。
4-2、我が日本民族は、国家を失った経験がありません。国のない人
々がどんなに苦労したかの実感がありません。かってのユダヤや現
在のクルド人(トルコ・イラク等に居住)等々が、その例であります。
4-3、1945年の敗戦で壊滅状態の日本は、朝鮮戦争・東西冷戦等の幸運
に支えられ、見事に復興を遂げましたが、21世紀に金融破綻した場
合の日本が、少子高齢化・有用人材の海外流出等もあり、復活する可
能性は非常に小さいと、言わざるを得ません。
4-4、財務ばかりが原因とは言えませんが、既に海外勢の傘下に組入
れられた企業が出てきております。自動車のマツダ・いすず・日産、
金融の旧山一・旧長銀・旧日債銀・幾つかの生保等であります。旧社員
は、次第に苦況に立つと推測されます。

5、「官の極小化、つまり小さな小さな政府」への、具体策を例示しま
す。
5-1、その前提として、一切の既成概念・過去の経緯を捨てて頂きま
す。全国民が、官に押しつける(例、災害・薬害対策)、何かを期待す
る(例、必要不可欠ではない公共工事)、補助金をあてにする、かか
る思いを捨てて、自律・自立する事が肝要であります。
5-2、官の色のある特殊法人・団体は、全部民営化し、直接税の
tax payer(税を負担する側)となってもらいます。
5-3、都道府県と市町村の2段階地方組織を1本化し、人口50〜70万人
規模の区域(地方)を全国で200個創り、議員・職員共に徹底的に簡素
化します。
5-4、税金の徴収は、国・地方を歳入庁で1本化し、それぞれに即座
に電子配分します。
5-5、官も固定資産税だけは、直ぐに負担してもらいます。納付先は
、「財政再建協力基金――新設する基金で、国・公債の返済専一口座」
、となります。これにより、官が効率の悪い不動産を保有する事を
抑制し、スリム化を図ります。
5-6、補助金・助成金の類は、国の内外共、原則全廃します。これに
より真の生活弱者となった人々は、医食住完全無料の施設(入所条件
なし)で救済します。
5-7、簡保・郵貯・郵便は、当然全面的に民営化します。職業紹介(ハ
ローワーク)も民営が適切であります。
5-8、公的年金は、全廃を前提に、拠出金(掛金)残高を計算して本人
に返還します。その理由は、国の貸借対照表を試算した際、最も不
確定であったのが、年金債務将来負担額でした。かかる変動の大き
いものは、将来の赤字財政再建のガンとなります。年金積立金等の
財政資金に頼っていた公的法人は、自前で資金を調達する事になり
ます。
5-9、医療は、ケガと病原菌・ウィルスによる病は、保険で負担しま
すが、加齢に伴う心身の不具合は、自己負担を原則とします。原因
がはっきりしない場合は、取りあえず折半し、明白となった時点で
修正します。末期延命治療は、全て自己負担とします。これで、
医療保険は黒字化すると考えられます。
5-10、法務局を民営化し、別に民間登記所を新設して競争原理を導
入します。不動産登記のコスト削減と譲渡等の活発化を支援します
。電電公社の民営化・複数電電会社の参入と同様の手法であります。
民営化の根拠は、登記に公信力 (登記を信頼して譲渡・担保等の法
律行為をした場合、真実の実体が間違っていても、登記の通りに保
護される制度・仕組) がなく、登記は、順位を保全する等の対抗要件
に過ぎないからであります。
5-11、弁護士増強を機会に、民事裁判の第1審(地裁・簡裁・家裁)を
、民営化します。刑事事件の第1審も、単純金銭事件(窃盗・詐欺・恐
喝・横領・贈収賄・買収等)、非組織の麻薬・覚醒剤事件や交通事故関
連事件等々は、民営組織の担当とします。かかる民営組織の人事権
は、最高裁事務局から切離します。家裁事件には非公開を残す、官
営のまま残った高裁の支部を少し増やす、最高裁を通常上告事件処
理の分野と憲法裁判所の2つに分ける、等の配慮をしつつ、裁判の迅
速化と訴訟関連総経費の大幅削減を図ります。
5-12、警察の仕事の内、運転免許・交通事故処理・警邏巡回・道案内・
青少年・生活相談・等々は、民営化します。機動隊や外国大使館警備・
皇宮警察及び広域悪質暴力団対策は自衛隊に移管します。自衛隊の
装備を活用すれば、警察での装備投資が不要となり、国家全体とし
ての経費削減となります。警察組織をスリムにして、本来の犯罪捜
査に専念して頂きます。なお、犯罪の広域化に伴い、単位を都道府
県でなく、全国統一組織の方が効率的であります。
5-13、1〜3度目の5-11に挙げた金銭犯罪等で、関係者に明白な争い
がない場合、刑事罰(懲役・罰金等=前科)に一切せず、「財政再建協
力基金」への強制寄付(出所は問わない)で即決処理します。財政再建
に貢献するに加え、裁判費用、拘置所・刑務所コストも大幅削減しま
す。起訴猶予で犯罪金額の5倍、初犯で10倍、類似犯罪2度目で30倍
、3度目で60倍とし、一定期間内に支払わないと、名誉ある死(自害
、臓器移植も)へ移行します。

「官の定義」 1、直接税(法人税・事業税・固定資産税等)の負担状況。
2、出資金・資本金等の出所。3、役員・高級幹部の出身母体。4、設備
・運転資金の調達先。5、減価償却の有無、財務会計観念・コスト意識
の程度。6、役職員の地位―収賄罪・公務執行妨害罪の成立如何。
7、破綻処理の適応法令―破産法?。等々で総合判断する事になります。
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各位       2001-6-22 21世紀研究会  永田通
 前回の日本再生、「日本国の将来像―その3」、『官の極小化』
に続きまして、「日本国の将来像―その4」、『発想の転換』を送信
申し上げます。
◯「日本再生」 『発想の転換』    日本国の将来像 その4
1、発想の転換とは―― ものの考え方の出発点を、旧来の延長線
上ではなく、一新して臨む事を指します。江戸(徳川)時代から明治
時代、1945年の前後の差異が、そうであります。天皇制を例としま
すと、有って無きが如き実の薄い存在から、神聖にして犯すべから
ずの現人神へ、そして人間天皇(象徴)へと、大変化し、又は、させ
られました。
2、何故転換を要するか―― 世界的規模で流動化が進み、特に、情
報・資金移動等は世界中が一体化しつつあります。現在の状況変化
は、明治維新や1945年敗戦時に匹敵するか、それを上回るとの堅い
認識が絶対不可欠であります。少しずつ変えて行こうとの、旧来延
長線型政策は、結局、財政赤字の累積というかたちのツケが回り、
国家運営がまさに行き詰らんとしております。

3、変えるべき発想の幾つかを例示します。日本再生の手がかり、叩
き台になりますと、幸いに存じます。個別問題では反対の方も多い
と予想されますが、実行が伴わず現状維持ですと、わが国が一歩一
歩破滅に近づいている、との認識をお持ち願います。
3-1、規制――緩和でなく、「廃止」を念頭において着手せよ!。
経費削減でも、販売増加でも10%とか20%では従来の延長線上になり
ます。ところが半分とか2倍、それ以上の変化を求めますと、旧来の
手法は通用しません。ここでは考え方の出発点を新たにしなければ
、目的を達成できません。
資格(医師・弁護士等々)や種々の規制を廃止するとどうなるか?、
資格や規制の恩恵を受けている者の為だけの仕組みではないか?、国
家全体・一般国民にとって、廃止した方が良いのではないか?、と
十分吟味する事が大切であります。
3-2、防衛――いざという場合、自国を守ろうとの国民の意志が肝要!。
 ローマは、パンとサーカス(現代風では福祉とレジャーとでも言え
ましょう)で衰退し、傭兵(外国人に自国の防衛を委託していた)制度
のため崩壊した。と言われています。
すぐに援助金・補助金を求め、観るスポーツや快楽・娯楽にうつつを
抜かし、防衛は米国頼みの現状日本は、かってのローマに似ておりま
せんか。戦争は絶対避けねばなりませんが、国家存亡の危機には、
自国民が銃を取る心構えと装備は除外できません。平和憲法では何
の支えにもなりません。
3-3、外交――確たる国家戦略を持って、交渉に臨む必要がある!。
大使館筋と外務・官邸筋とが、相談しつつ事を運ぶはのは不適切であ
ります。理由は、全ての通信は、海外勢により傍受済(解読されてい
る)との前提で、交渉を進める事が肝要となりました。対米戦争でも
、重要暗号を全て解読され、海軍壊滅の主因の一つとなりました。
 日本外交は相手国への配慮が多すぎ、自主・自律性が乏しく主張
すべき事をはっきり出していないと言わざるを得ません。外交交渉
は、発想はもちろん方式方法を、抜本的に見直す必要があります。
当方では既に、通信対策研究を実用化に近い程度に進めました。
3-4、金融――「システム」ではなく、「金融機能」を守れ!。
 金融システムは、都銀・地銀〜信組等の静態的組織が中核であり
、円滑な金融機能(事業者・国民側からみて余資運用・資金調達・
決済及送金の三大役割)のための手段的な存在に過ぎません。政府
大蔵等は、金融システムの維持を唱えていますが、これら組織は、
既に制度疲労を起して不適合となっており、今後、今までを上回る
公的資金(将来国民負担となる)を投入しても、土地・株式の下落・
低迷が長期化すれば、ザルに水を注いでいる如く、底なしでありま
す。発想を変え、組織保全を廃止し、機能の確保に焦点を絞らない
と、財政が破綻します。
3-5、農業――「制度」維持ではなく、非常時の国民の「食糧確保」
を考えよ!。
 1945年敗戦後に考案された(押しつけられた?)自作農増設・食糧
管理・農協・農業の企業化防止等々の農業制度は、機能不全で農業
対策歳出の無駄使いを招いているばかりか、万一の場合(海外からの
食糧供給が一時的にしろ、激減した場合等)の国民の食糧確保に、極
めて不十分であります。色んな作物の内、米が増産余地も高く、食
糧確保には最適です。
 「減反(農水省の圧力で稲の作付を縮減)を廃止し、国民にもっと
もっと米を食べてもらう。レストランや食堂は、ご飯はおかわり自
由で一切タダにする。官や学校では、主食は全て米を原料とする。
」のような発想の転換が必要であります。
3-6、福祉――広範囲(総花的)福祉政策ではなく、一本化を図れ!。
 あれもこれもと社会政策や福祉を拡げていたのでは、財政が持ち
ません。福祉歳出に伴う歳入増加が殆ど見込めないからであります
。又、30分の介護のため、準備に30分・移動に30分というのような
訪問介護の非効率は避け、集中方式を採用すべきと考えます。
 全福祉歳出を集めて、真の生活弱者の施設とその維持費に集中し
ます。日本国籍を有する人は誰でも、希望すれば資産や所得に関係
なく、施設で生活する事ができます。施設内での医食住のサービス
は無料となります。外出は自由ですが、現金は一切支給しません。
裕福な方の場合は、本人の自由意志で寄付を頂く事は宜しいと思い
ます。これに伴い他の補助金・助成金・官の分担金等々の福祉歳出
は、原則廃止します。
3-7、歳入増――体力・智力・金力・意力・徳力ある国民を増やせ!。
 財政を大盤振舞しても、景気上昇効果は、一時的かつ限定的(100
投入しても成果は30程度?)であります。国家を支える有能な国民を
多くし、国家の足を引っぱる(お荷物となる)連中を、極力少なくす
る事が肝要であります。
つまり、体力(健康でよく働く)・智力(新しい分野に対応できる柔軟
な頭脳)・金力(所得水準高い・資産多い)・意力(前向きに頑張る意
欲)・徳力(社会の規範を守る・人格が歪んでない)の持主となるよう
教育して行けば、税収は増加します。移民には単純労働者でなく、
上記のような有用人材を求めるべきであります。
3-8、幹線道路――国道・主要地方道は、車優先とし、交通コストを
下げよ!
車道・並木・自転車道・植込・歩道と盛り沢山の配置をしたのでは
、せっかく広い幹線道路も車の流れは悪くなります。幹線道路と
一般道路を峻別、幹線道は車線を多くして自動車専用に近づけて
物流・人流を良くし、交通の総コストを引下げます。そのかわり幹線
道から一歩脇に入った一般道に、自転車道・歩道・植樹部分を設置
すれば、騒音・排気ガス・塵埃も余りかぶらなくて済みます。
 幹線道の駐車違反は、一般道の違反に比べ、交通妨害の程度が全
く異なります。
道交法改正でも、全て一律ではなく、「幹線道駐車違反の反則金は
、従来の5倍に引上げる一方、一般道では従来通りに据置く。」の
ような発想の転換が大切と考えます。


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