563.米国の動向について



米国の対応は、だんだんモンロー主義になっていっている印象を受
ける。しかし、一方に米国は戦争を起こそうとしている。この矛盾
した動きがあるため、世界のパワー・バランスはどうなるのであろ
うかという疑問が出ている??   Fより

ライサさんとパウエル国務長官の黒人2人組は、米国の世界展開を
減らして、穏健的な動きをする方向であるが、ラムズフェルド国防
長官やチェイニー副大統領は、米国経済を立て直すため、中東での
戦争を仕掛けている。この強硬派は、国内の経済建て直しのため、
京都議定書にも反対しているようだ。政権内部でこの2派の戦いが
起こっている。

米国の周りでは、欧州が米国離れを起こし、特に環境問題でねじれ
た関係になっている。そして、日本であるが、
副島さんは、そのサイトhttp://soejima.to/で米国の日本担当者が
見ているが、アメリカが恐いのは、日本の国民大衆の不気味な動き
である。これが激発性(volatile ボラタイル)を伴って反米の大き
な国民的な動きに成長するのではないか、と心配しているのである。
だから、アメリカ政府は、今、黙って見ている。じっと耳をそばだ
て、目を凝らして日本の動きを測定し分析しようとしている。日本
国民の真意を量り兼ねているのである。「どうやら、民衆が従来の
族長ボスたちを嫌い始めている。ここまでは、私たちの予想の範囲
であり、私たちが仕向けてきた通りだ」と考えている。ところが
その後の展開が急激に変化して来た。「コイズミとマキコというの
は、どうも、自分たち帝国の敷いたゲームのルールに容易には従わ
ない奴らのようだ。コイズミとマキコは、どうやら、ヨーロッパ人
たちと連携して、彼らから入れ知恵されている」と踏んでいる。
だから、アメリカは音無しの構えである。と言っている。

その通りだと思う。米国は田中外相との会談を設定したが、日本の
意向を聞く方向にある。聞くのはパウエルとライサさんであり、
強硬派ではない。

もう1つ、欧州にブッシュ大統領が出かけたが、欧州の意向を事前
に把握しているため、欧州の期待を実現してから、出かけたようだ。
しかし、米国は欧州の要望を聞かない可能性は高い。欧州も一部諦
めている感じがする。欧州と日本の関係をどうするかですね??
米国、日本、欧州の関係は複雑になるでしょうね。環境では欧州と
日本は同一の方向に向かうでしょうが。
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朝鮮半島と中東想定した二正面戦略を米が見直す可能性 朝日

 米国防総省高官は14日、世界で同時に発生する2つの大規模紛
争に対処する「二正面戦略」の見直しを進めていることを認めた。
朝鮮半島と中東を想定したこの基本戦略を変える可能性を国防総省
高官が公に確認したのは初めて。新しい軍事戦略を踏まえた「4年
ごとの国防計画見直し(QDR)」の作業もピッチを速め、7月末
までに概要を固める見通しとなった。

 ラムズフェルド国防長官は統合参謀本部議長ら幹部と集中協議。
21世紀の米軍の戦略、規模、配置などを決めるQDRを03会計
年度で実施するため、法律に基づく9月末の期限を待たずにまとめ
ることを決めた。

 高官は、冷戦後一貫して米政策の柱だった二正面戦略は「間違い
なくテーブルに載せられた中心議題の一つだ」と表明。ただし「放
棄するかどうか、どんな代替策をとるかは決めていない」と語り、
まだ結論は出ていないことを強調した。

 高官は、米国はこれまで、朝鮮半島と中東での作戦計画という「
単一の次元で危険を測る傾向があった」と述べたうえで、バルカン
半島への部隊派遣など旧来の「戦争」や「勝敗」の概念には収まら
ない軍事行動も増えたと強調。今後は「あらかじめ想定できない事
態の広範な危険に備える」と指摘、コンピューターに侵入するサイ
バー戦争にも取り組む方針を示した。

 また、これまでの国防総省内の論議で確認された米軍の役割とし
て、(1)友好・同盟国の安全を守る(2)将来の敵対行動を思い
とどまらせる(3)現存する脅威の抑止と、強制への対抗(4)抑
止が失敗した場合の勝利――を挙げた。(18:57) 
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ブッシュ訪欧準備:政権の真の戦略は?  GWR
■訪欧のお膳立て:ブッシュ大統領は11日から5日間の日程でヨー
ロッパを歴訪している。海外旅行の経験さえ少ないブッシュ大統領
の初の訪欧について、週末の全米各地の新聞はそれぞれ関連記事を
掲載したが、どの記事も懸念色が濃い。各紙は一様に、「国家ミサ
イル防衛(NMD)計画から京都議定書、バルカン半島派兵まで様々な
懸案事項で、ヨーロッパ諸国の指導者を納得させること」「ブッシ
ュ大統領が同盟国の指導者として信頼に足る人物であると思わせる
こと」が政権の課題と設定している。だが予測は、「初の訪欧は大
統領にとって大きな試練となる」「ヨーロッパ諸国の反応は冷たい
ものになるだろう」と悲観を漂わせている。

ブッシュ政権もヨーロッパの冷たい反応を予想していないわけでは
ない。先週までの政権の外交的動きを見ると、欧州歴訪への「お膳
立て」が顕著だとワシントン・ポストは10日付けで指摘する。先週
1週間で中東への特使派遣、バルカン半島平和維持活動への米兵撤
退方針の軟化、凍結していた北朝鮮との対話再開の意向表明、地球
温暖化問題の容認など、ヨーロッパに受け入れられていた前政権路
線の継承を強調する動きに出たのだ。
政治アナリストらはこの動きについて、「イデオロギーが現実に直
面すると現実が勝つ」「新政権による外交方針修正は、長期的な国
益があり、同盟国は急変を好まないとの認識によるものでめずらし
くない」と分析している。

■「減税戦略」:だが11日付け同紙は、別の記者が書いた、上記と
は全く異なる、「減税戦略」という政権の対欧戦略を分析記事とし
て1面に掲げた。「減税戦略」とはつまり、反対派に耳を傾けなが
ら、究極的には自分の原案から絶対それないという「一方主義」だ。
この戦略は、超党派路線を強調しながら、結局は民主党への妥協は
あまりせず、巨額減税案を議会に通させてしまった例に見られるた
めそう命名したようだ。欧米間最大の懸案事項となっているアメリ
カのミサイル防衛計画についても、「米政権は欧州同盟国との事前
協議を強調しているが、計画自体を放棄する考えは全く持っていな
い」と同紙は指摘している。

実は、先週から今週にかけ、それを裏付ける動きも伝えられている。
1つは、国防省が2004年までの基礎ミサイル防衛配備に向けた計画
案を提出するよう、ボーイングなど防衛関連企業に呼び掛け、4月
にそのプレゼンテーションまで行なっていたという8日付けワシン
トン・ポストの報道だ。事前に必要条件を業者に提示して提案を出
させるという通常手続きをとっておらず、「現政権内にできるとこ
ろまで着手して、後にはひけないようにしておこう」という政権の
性急で強引な態度が見える。

■離脱の念押し:もう1つは、日本でも大きく伝えられている、ブ
ッシュ大統領による京都議定書離脱の念押し声明だ。ブッシュ大統
領が委託した諮問委員会が6日に「地球温暖化は現実問題で悪化し
ている」と発表したのを受け、リベラル紙では、政権の方針修正の
可能性への期待が高まった。だがその期待もつかの間、ブッシュ大
統領は11日の渡欧直前に「地球温暖化問題の存在は認めるが、京都
議定書に致命的な欠陥があるとの立場は変わらない」と発表したの
だ。環境派のロサンジェルス・タイムズ(12日付け)は「ブッシュ
、地球温暖化協定に背を向ける」と批判的な見出しで報道し、ワシ
ントン・ポスト(同日付け)も「欧日同盟国での対米批判に挑戦的
態度を見せた」と書いている。中国やインドなど温暖化ガスを大量
に排出する発展途上国が京都議定書で免除されている理不尽さを強
調したブッシュ大統領は、「アメリカが気候変動問題のリーダーシ
ップをとる」と訴え、温暖化ガス削減技術の研究開発費として2500
万ドルを新たに拠出する方針を明らかにした。しかし、世界の環境
よりも米経済優先の姿勢を示したことで、ヨーロッパの環境派の反
発に油を注いでいる。

このようなブッシュ大統領の強気な態度をヨーロッパが冷たくあし
らい、欧米間の対立が激化するのは間違いなさそうだ。一方で、
ブッシュ大統領に対するマスコミの期待がこれだけ低いと、帰国後
の評価が意外に高くなる可能性もある。とりあえずは、一貫したセ
ールストークをして、失言をしなければ及第点がもらえるのでは。


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