554.不労所得者と勤労所得者の概念の導入



元請け会社の破産で4カ月分の手間賃を払ってもらえなくなった建
設職人約170人に対し、厚生労働省が所管する労働福祉事業団は
「労働者性」が認められるとして、国の立て替え払い制度の対象と
することを決めた。「請負」「代理店」など出来高払いの働き方は
、労働者でも形式的に「事業主」となっているため、制度適用の外
側に置かれてきたが、実態は労働者であることを認めさせた初めて
のケースだ。

この問題では、日本の終身雇用が崩壊して、企業で働く人々は、
派遣社員に切り替えられ、直接労働者も、「請負」「代理店」など
出来高払いの労働形態が、定着したことがわかる。これは、日本版
レイオフが定着しつつあることを意味している。。

私は、レイオフを否定するものではない。しかし、雇用保険や、
今回の替え払い制度など、雇用者を優遇する制度は、個人事業者や
小規模事業者(有限会社など)をないがしろにしてきた現実がある。
いままでは、雇用者だけが労働者であるがごときの社会であったの
ではないか。

街の食堂の経営者や、農家の人々は、制度上、労働者としての社会
保障をもらえず、健康保険では割高となり、失業しても保証はない。
フライパンを振ったり、畑仕事に従事することが、労働ではないの
か。政府は、雇用対策には熱心だが、結局は、大企業の集約化を推
し進めているだけで、個人事業主や、小規模事業者は激減して、街
の活況はなくなった。

経済に活力を取り戻すには、山火事で、焼けただれた台地から、草
が一斉に生え出すように、個人個人の経済活動によって、活力は生
まれるのではないだろうか。杉の苗木をきれいに植えても、そのよ
うな山は、災害を呼び込むだけであることは、日本人はよく知って
いるはずだ。経済も同じであろう。雇用者の概念が大手をふってい
る社会からは、経済の活力は生まれない。

そこで、この雇用者という概念を捨てて、不労所得者と勤労所得者
とに分けることを提案したい。不労所得者とは、利子・家賃・地代
、そして株式の配当やキャピタルゲインによる所得を受ける人々で
あり、勤労所得者とは、勤労に基づいて直接受ける所得。賃金・報
酬・給与などの所得を受ける人々である。

勤労所得者は、いまの、雇用者としての権利を与えるべきだ。日本
版レイオフが、日本社会に根付いた今、労働者の概念も、時代とと
もに変えていかなければならない。勤労所得者層が、経済への活力
のキーマンであり、日本再生の原動力としなければならない。
UP5CH6
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(Tのコメント)
UP5CH6さん、面白い視点を提供ありがとうございます。その通りで
すね。個人企業が増える方向にあります。
それは、大企業の存立理由が社内ネットワークにより、多くの社内
専門家の協力により、効率的で質の高い仕事ができるためでした。
しかし、現在そのネットワーク・コストが大幅に下がり、個人の専
門家の結ぶ付きで機能転換できることになって、個人企業や小企業
でも大企業と同様な質の高い仕事が可能になっている。

私の周囲も個人企業、小企業の人たちが多い。アイデアの質が高け
れば、個人の方が対応が早いため、新規事業を進めるとき、どうし
てもこのような個人や小企業と一緒に進める必要があるためです。

大企業は革新の速度が遅い。リスクテイクできないためでしょうね。
勿論、実施と決定すると、大企業の対応は早くなるため、中小企業
は早く、確立する必要があるようですが。

この個人企業や個人ベース請負などの保障がないのが、日本の問題
でした。もし、そのような保障が可能であれば、より多くの個人が
企業を起こし、ベンチャーを始められるためにいいのではないでし
ょうか???


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