553.日中、日韓関係について



国民不在の政治論争            ふる@鶴川

 既に歴史の一部と化した50年以上も前の日韓・日中関係の不幸
な過去を誰が、繰り返し蒸し返しているかを考える必要がある。 
   
 まず、中国はご存じ共産党一党国家である。日中戦争は、日本に
とってほとんど国民党との戦いであって、共産党八路軍はゲリラ活
動に過ぎず、日本軍は「赤匪」と呼び、山賊同様の扱いだったに過
ぎない。そして、中国大陸では日本は負けていないのである。 
 しかし、中国共産党にとっては、「党が日帝を大陸から追い出し
、中国の近代化を押し進めた!」と主張し続けることが、政権の正
統性を位置づけることとして重要である上、正統性とアジアの覇者
になるべく、経済大国である日本に対する敵愾心を国民に植え付け
ているのである。 

 しかしながら、経済のグローバル化で、共産党中国と言えども経
済を無視することはできない。WTO加盟、北京オリンピック誘致
のためには、江沢民政権としては、日米と協調していきたいのだが
、今だに残る革命保守勢力・軍部の保守層が対日・対米の圧力の声
を上げると、国民教育によって日本への敵愾心を植え付けられた世
論が同調するために、何かにつけ日本を非難せざるを得ない状態に
あるのも事実である。 

 一方、韓国であるが、今回の教科書問題も韓国マスコミが世論を
扇動した背景がある。金大統領も良好であった日韓関係が躓くのは
望んでいない。 
 ここで、韓国・中国にとって、歴史教科書問題、靖国神社の公式
参拝など本当に重要な政治問題であるのか?と言う点である。「過
去への反省」とか「両国民の真の友好」等というのは詭弁に過ぎな
い。 
 冷静にみても、日本の国内問題であって、背景がどうであれ両国
にとってすぐに政治問題とするようなネタではない。将来を担うお
のおの国の若者にとって、どうでもよい事である。 
  
 ただ、日本の一部マスコミが騒ぎ、自国メディアがそのことを取
り上げて問題視すれば、子供の頃から日本のことを快く思わないよ
うに「加害者日本」の教育を受けてきている国民も世論として騒ぎ
出すことは明白である。  
 外交手段として、過去を取り上げ非難すれば、日本政府が沈静化
のために国民から「どけざ外交」と非難されようとも下手に出て、
外交として有利になるのであるから、利用するのは当然である。
特に、現在、江沢民政権も盤石でなく、開放改革経済を押し進める
のには、保守派の増長は望む処ではなく、ガス抜きが必要である。
又、金大中政権も、政権末期を向かえ対日弱腰を野党に突きつけら
れたくなく、互いの政権の弱さがここに出て、日本非難への方向に
向かわせている。 
  
 もう一度、両政権の初期を思いだしてみよう。江沢民国家主席が
日本に来日した際、当時も保守派のガス抜きのために、宮中晩餐会
で過去の蒸し返しの演説をしたために、その姿勢に対して親中派で
さえ非難をし、対中ODAの見直しまでの意見が出た際、その後の
彼らの日本への気の使いようは今までに無かったことである。 
 又、日韓首脳会談後の金大中大統領の過去の清算宣言においても
、対日強硬派の意見が突出しただろうか。韓国国民も次世代に入っ
て、日本に対して好感を持っている人が増えているのである。 
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     勝手な未来予測            ふる@鶴川 
1 小泉内閣異常な支持率を背景に、内閣の公約の改革断行が実現
  的に! 
 非主流派、族議員も抵抗できず、野党も追認状態に。 
2 参議院選挙で衆・参同時選挙実施 
 自民党は単独過半数には至らなかったが、議席数回復。 
 公明、保守党惨敗、民主党も大幅に議席を失う。 
3 民主党内、選挙の敗北と、政策の違いから解党の動きが加速、
 安保・憲法改正で分裂必至! 
4 政界再編成へ、自民党及び民主党改憲派と合同、衆参単独過半
 数以上を確保、小泉内閣憲法改正・集団安全保障への政府見解の
 改訂へ 
5 田中外相、機密費問題の決着に次官更迭。その後、体調不良を
 理由に外相辞任(事実上の更迭) 
6 「新しい歴史教科書をつくる会」の扶桑社の歴史教科書、一般
 書店での販売でベストセラー本に、各地の教育委員会での採用の
 可能性が高まる。 
 朝日新聞社説、「教科書がベストセラーになることで、安易に教
 育委員会で採用せず、慎重に検討することを主張。多数の採用に
 よる中国・韓国の反発を懸念。」 
7 中国・韓国政府は、扶桑社の歴史教科書が多数の教育委員会で
 採用する動きに、両国間の関係悪化の懸念の声明を発表。 
 その後、この問題は日韓Wカップ開催、北京オリンピック開催の
 日本の支持表明によって自然消滅に・・・ 
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国際戦略コラムno.546-1読者の声への補足
kishizukaです。

日本の中国と韓国への謝罪外交についてですが、下記の文章を読ん
で考えてください。

「1992年の中韓国交樹立時、朝鮮戦争で中国人民解放軍が朝鮮
半島を蹂躙したことに対して、中国政府が謝罪をするという情
報が韓国外務省筋から流され、韓国マスコミが大騒ぎをした。
しかし駐韓中国大使・張庭延はテレビで「そんなことはあるは
ずがないし、これからも絶対に遺憾の意を表明する必要はな
い」と一喝し、それ以来、韓国マスコミは、謝罪に関して一切
報道しなくなった。
朝鮮戦争は韓国軍約42万人、民間人106万余人が命を失
い、1千万人の離散家族が生じたという韓国近代の最大の悲劇
である」(朝日新聞によると日中戦争では72万人程度の死者です。
ただし被害者は3千万人)

日本政府に対しては、韓国の政権が変わるたびに居丈高に朝鮮統治
に対して謝罪要求をする一方、中国に対してのこの及び腰は日本の
単なる謝罪では上手くいかないことを明確に物語っています。

明白な二重基準の根底に潜むのが韓国の特異な歴史観とこの点を知
らずに「日本が心から謝らないから、いつまでも許してくれないの
だ」などと考えているようでは、日韓のあるいは日中のすれ違いが
これから先も続くだけでしょう。誤るから、金を出すからまた言わ
れるというサイクルを知ることが、日本が外交音痴から抜け出すき
っかけになると思うのですが・・・・・


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