549.環境と文明の世界史(1)



「環境と文明の世界史」 石弘之・安田喜憲・湯浅赳男 洋泉社新書
「環境と文明の世界史」洋泉社新書を読んだ、その紹介と発展系を
考えましょう。日本とのつながりがわかる所までを今回紹介する。
興味がある方は本を買ってください。  Fより

1.新しい年代測定法の発見
 クリーブランドの氷床にボーリングをして、氷河中に「年層」を
発見した。この「年層」は冬は真っ白、春先から夏は汚れ層と年輪
のような紋様を作る。

そして、その「年層」を調査すると過去の気温が50年の間に、
一気に7〜8度もドーンと上がることが分かったのです。今までは
気候は千年、万年の単位でゆっくり変わると考えられていたので、
世界観の変更となっている。しかし、、緯度の高い地域の方が、低
緯度の地域より激しく温度が上下する可能性がある。

このため、「年層」に変わる「年縞」を福井県の水月湖で発見した
。これで日本の気象変動が分かることになった。この「年縞」は、
春先に珪藻が繁茂し、秋から冬にかけては真っ黒な粘土鉱物が湖底
に堆積する。このように1年で白黒の層を形成する。この「年縞」
を調査することにより、1万年プラス・マイナスせいぜい10年ぐ
らいで過去の環境変動がわかるようになった。

14炭素法が今までの年代確定法であったが、700年のズレが
あることが判明している。700年早まることになった。

2.イースト・サイド物語
アフリカ大陸のエチオピアからケニア・タンザニアまで走る世界最
大の大地溝帯(グレート・リフト・バレー)
現在ではこの東側のアフリカが人類発祥の地だということになって
いる。なぜ、この東アフリカがそうなったのか??
人間とチンパンジーは同じ祖先。そして、大地溝帯の東側ではヒト
の化石だけで、チンパンジーの化石は発見できない。これは、大地
溝帯の東側が上昇し、巨大な壁ができ、西側から吹いてくる湿った
空気が雨になって全部西側に降り、東側は乾燥していた。
この東側の乾燥地に取り残されたチンパンジーであるヒトの祖先の
中から二足歩行をし始める者が出現し、人類に進化したのであろう。

猿人から原人への変化も同様で、ヒマラヤを境にして、東側が湿潤
な地帯、西側は砂漠・乾燥気候であった。(90万年前)
そして、東側の原人は小型の石器しか残していない。西側の原人は
ハンドアックスといって巨大な石器を残している。恐らく、大型の
動物を捕獲するために大型の石器を使用したのであろう。この西側
の原人が猿人を滅ぼしたのであろう。どうも乾燥地域のほうが人類
の文明史を発展させたようだ。

3.縄文時代から弥生時代へ
 1万4500年前、氷河時代が終わり、後氷期といわれる温暖な
時代へと気候が変化し、マンモスが絶滅。その時から縄文時代が始
まった。「定住革命」で家と土器を作る。土器は森の産物で温帯の
森の資源利用に欠かせない。もう1つの意味が食糧革命である。
ドングリなどの硬い食糧を煮て食べることができるようになったこ
とと、いろいろな材料を混ぜることにより、違う味に仕上げること
ができる。定住した家の目的は火の保持が大きい。火がないと煮る
ことができないし、土器を作れない。

農耕の開始は1万2000年前から、西アジアで麦作農業ができ、
また中国の稲作が1万年前から開始した。定住から農耕、そして牧
畜の順に進化したと考える。

長江文明の発見は、大きい。6000年前の稲作を伴う都市が発見
されたのであるから、その前4000年以上から稲作は開始してい
たであろう。そして、中国史の中に、1つの文明がもう1つの文明
を圧殺した歴史が潜んでいるようだ。この圧殺された文明の末裔が
、日本の弥生時代を作った可能性が高い。やっと、今までこのコラ
ムで論じていた江南の人たちと関係があるようだと言っていたが、
それを明確化することができたようだ。

長江文明を作った人たちは日本・朝鮮半島に逃げた人たちと雲南か
らタイに逃げた人たちがいるようだ。中国では苗族と言っている少
数民族なのである。上海語とか呉語というのは漢民族の北京語とは
違うのも、この理由なのであろう。
このため、この日本文化と雲南・タイ文化の2つの地域の文化は良
く似ているのでしょう。長江文明の文化であった道教が稲作文明の
基本的価値の基礎を作ったようだ。日本に来て、神道になった可能
性が高い。

この長江文明には金属が発見されません。このため、黄河文明の漢
族に滅ぼされることになるのです。この長江文明は森の文明でした。
そして、稲作+漁労の文化です。黄河文明は麦作+牧畜の文化です。
4000年前にできた黄河文明は、金属を必要とし、長江文明は木
を必要としていたが、長江文明は戦いに敗れることになるのです。
これと同じことが世界各地に確認できるようです。


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