531.財政垂れ流しを仕組んだ官僚達



                     馬借 、BBSより
始めまして。
現在の日本社会を破壊しようとしている財政破綻。これを引き起こ
した財政出動の垂れ流しは、アメリカによる圧力と、それに便乗し
た官僚・政治家・財界によって、中曽根行革による財政再建の撤回
とともに始まりました。本来なら好況時に減らされて債務を削減す
べきものが、外圧要因によって強化されつづけ、バブルを引き起こ
した挙句に不況に陥ると、さらなる財政支出を要求される。これで
は財政破綻は免れませんが、業界にとってはまさに「心強い味方」
だったでしょう。もし、こうした悪循環の始まりに、誰かの意図が
関与していたのだとしたら、それは許されざる犯罪行為です。 

 86年に書かれた「新・日本の官僚」(田原総一郎著・文春文庫
)という本に、通産官僚へのインタビューで、こんな台詞が出てき
ます。「中曽根行革は、口では経済摩擦緩和に努力するといいなが
ら、行革で、公共投資をはじめ、内需をムチャクチャに抑えている
。これでは輸出が増えるのはあたり前で、中曽根首相はウソつきだ
、と。」そういうアメリカの要求に答えて財政を拡大し、自国のこ
とだけを考えない世界国家として「第二の開国」を受け入れよ・・
・。で、そのためには「経験のある通産省に任せろ」って本音があ
る訳ですが・・・ 

 あの当時、長年の開発努力によって力をつけた企業の間で「もう
通産省の指導はいらない」との認識が広がり、通産省が存在意義を
失いかけていたそうです。 
それに対して、権力の維持を図る通産官僚の中に、アメリカの圧力
を利用して、利権を再構築しようという動きがあったというのが、
田原氏の説明です。上の発言は、そうした官僚のものです。 
 そのために彼等は、アメリカの貿易摩擦を煽り、他省分野に対す
る外圧を利用して、縄張り争いを展開したと・・・。通信摩擦で入
れ智恵したり、通商外圧の種本を作って渡したり・・・。 

 そういう中に、半導体摩擦が出てきます。 
 85年秋の半導体日米交渉に関する「チップウォー」(フレッド
−ウォーシェフスキー著・株式会社経済界刊)での裏話は衝撃的で
す。商務省のプレストウィッツが交渉のさ中の時期、夜中に相手の
通産省幹部に極秘で呼び出されて「通産省なら行政指導によって
20%のシェアを保証できる」と持ちかけられたのだそうです。
これが悪夢の始まりでした。悪かろうが高かろうがいらない種類だ
ろうが「とにかく2割を買え」という、とんでもない条項を呑まさ
れたのです。 
 この交渉では、もちろん国内でも、通産省内部でも大きな反対が
ありました。そうした反対派を騙しつつ、交渉とその運用は進めら
れました。交渉中の反対派は通商政策局、推進派は機械情報局です。
そしてその推進派の意図は、通産省の行政指導に従わなくなった「
半導体産業という暗黒大陸を征服する絶好の手段」として利用する
ためだったと、手嶋龍一氏のインタビューに応じた当時の担当者 
が答えています。(「ニッポンFSXを撃て」新潮社刊) 

 当然、行政指導による押し売りなど簡単には進まず、87年2月
、アメリカによって、見え透いた囮操作による半導体制裁が始まり
ます。その圧力の中で半導体輸出の規制によるシェア低下や日本企
業による出血サービスの技術協力・購入努力。メーカーはガチガチ
の統制経済に絡め取られ、通産省の業界支配は復活。 
そして延々と制裁は続き、再三の「ガット提訴決定」もポーズだけ
で実行に至らず。アメリカ企業での日本側のサービスに対するホク
ホク状態と日本側に募る不満が続く中で迎えたブッシュ政権の早々
に始まったのが、89年のスーパー301条問題でした。最初は「
日本をスーパー301条に指定しない」という方針だったのを、覆
したのが摩擦議員とSIA(アメリカの半導体業界)でした。 
 このスーパー301条での通産省は、「平成日本の官僚」(田原
総一郎著・文芸春秋社刊)によると、実際に特定された三分野が他
省の管轄だと、通産省内部では満足状態。しかも実は、「候補」が
発表される一週間前に機情局某課長が本指定結果を知っていた(つ
まりアメリカ側ともツーカーだった?)・・・。 

 そして「構造協議」が始まり、430兆もの公共事業を約束させ
られる。ジェトロは外国企業の対日輸出サービス機間として、半導
体の「輸入拡大自主努力」は通産省の指導の元で全産業に拡大され
る。それで得た絶大な支配権と十兆円規模の「新産業資本」予算で
、指揮した棚橋祐二氏(91年から事務次官)は「通産省中興の祖
」とまで呼ばれているとか・・・。 
 
中曽根行革が覆されたのは、87年4月の「緊急経済対策」で決め
た6兆円規模の財政出動で財政再建が棚上げされた時です。これは
2月に始まった半導体制裁に対処すべく、G7に合せて訪米した中
曽根総理がアメリカを説得するための「手土産」として作られまし
た。まさに半導体摩擦を梃子に、通産省の「念願」が実った訳です。
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竹中流はリナックス方式 経済財政諮問会議 
2001.05.13 
Web posted at: 4:28 AM JST (1928 GMT) 
竹中平蔵経済財政担当相は、経済財政諮問会議の運営を、インター
ネットを利用して幅広く外部の意見を取り入れる「オープン・ソー
ス・ムーブメント」にしていく意向だ。 

この方式は、マイクロソフト社のウィンドウズに対抗する新しい
ソフトウエアのプログラムをつくる時に、リナックスが採用したこ
とで有名になった。ソフトの内容をすべて明らかにして、外部の人
から同時進行的に改良してもらう手法だ。 

竹中担当相はまず、同諮問会議の専門調査会がまとめたサービス産
業による雇用創出の緊急報告を素材に、ネットなどを通じて情報を
公開。外部の専門家らの意見を広く求め、今後の議論に反映させて
いく方策をさぐる。 

「できるだけ多くの人に参加してもらうことでより良いものができ
る」と竹中担当相は語るが、同諮問会議は「聖域なき構造改革」を
掲げる小泉政権の戦略的な議論の場でもある。改革に抵抗する勢力
に対抗するには「世論が頼り」ともいえ、オープンな政策論議をあ
の手この手で展開する構えだ。


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