529.プラウトについて



ラビ・バトラの予言といえば、知っている人がいるはずであるが、
この循環説を知っていますか??、そして、村山節さんの文明の研
究にある歴史循環の法則。この両人の説を紹介したいと思います。
            Fより

ラビ・バトラ教授の理論がプラウトであるが、これは一種の循環論
になっている。最初、この説に触れたときは、あまり感銘を受けな
かったが、だんだん歴史や社会の研究するうちに、この論はすごい
と思うようになってきた。

ラビ・バトラ予測では、資本主義は崩壊する運命にあるという。
なぜか??富の過剰な集中でそうなると。そして、今、世界では、
一握りの資産家に富が偏り、その偏った富が世界の金融経済を動か
しています。そして、一方では、貧しくて明日の生活の糧を得るこ
ともままならない人たちがたくさん存在しています。
富の集中している金持ちたちは、自分たちが大量に貯めた金を使お
うとせずに、より多く富を生むことを考え、貧乏人はもともとお金
がないため、消費できません。消費が動かなければ、いくら供給を
喚起しても駄目なのです。

もう1つ、自由貿易システムそのものが持つ欠陥です。国際間の競
争が激しくなると、生産者は競争力をつけるためにコストを下げざ
るを得ません。コストを下げるためには賃金を低く抑えることにな
る。賃金を低く抑えれば、結局消費は鈍化する。消費が鈍化すると、
経済そのものが回転しませんから、不況の原因になります。このた
め、ラビ・バトラは自由貿易に反対しています。

現状の日本のデフレの原因は中国からの安い輸入品により、国内産
業の衰退がおき、しかし、その衰退産業の雇用を移す隆盛産業がな
いことによっているのです。このため、一部一時期の自由貿易から
の離脱も視野に入れる必要があると思いますね。

ラビ・バトラのマクロ史観では、周期性があると言う。平民の時代
は混乱が続き、この混乱を武力で収めて主導権を握る人たちがでて
くる。これが、武人の時代です。社会が安定すると、知識人の時代
が来ます。知識人の時代が続くと、商人たちが財産を蓄え、社会の
主導権を握るようになります。こうなると、富裕者の時代に移行し
ます。しかし、富裕者の唯物主義的な価値観により、社会の大多数
の人たちがアイデンティティを失い、平民の時代に戻るのです。

米国の時代層は、この富裕者の時代が終わり、平民の混乱期になり
武人の時代になる可能性があるのでしょうね。中国は武人の時代に
なっている。日本は富裕者の時代の盛りでしょうか??
ロシアは武人の時代から知識人の時代に移行しているのでしょうね。

もう1つの周期の法則は村山節先生の「800年周期説」ですね。
800年毎に、東西文明は興亡を繰り返し、クロス期には大激動が
起こるという。今までの800年は欧米文明期であった。13世紀
に十字軍が聖地を目指して、その時にアラビア文明を習得して、
ルネサンスになる。しかし、その前は欧州は暗黒の中世、アジアは
宋文明などアジア・サラセン文明が花を咲かせた。5世紀より前は
ローマ帝国・ギリシャ文明で欧州の方がアジアより元気がいい。
この前は紀元前4世紀、アレキサンドル大王の遠征より前、これは
殷、周などの文明がアジアで栄えた。

このような2つの周期の法則があるが、21世紀はアジアが元気に
なる順である。そして、アジアは世界の工場となり、世界でも一番
元気がいい状態にある。しかし、どのような激動があるのか???
そして、その予兆が出てきたように思う。米国の変調です。米国と
欧州連合の分離、国連から米国が離れていく兆候など。今の状態は
世界の勢力変更を予感させる雰囲気がある。この論理的な説明が
必要なのかもしれない。


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