509.中国と日米の紛争



日米と中関係がおかしいので、検討しよう。 Fより

日本と中国との間では教科書問題があり、中国はこの問題を韓国に
任せていたが、台湾の李前総統のビザでは直接、日本に圧力を掛け
た。日本は中国の野菜やタオルなどの実質輸入制限になるセーフティ
ガードが施行されて、日中関係には暗雲が立ち込めている。
米国と中国との関係でも、偵察機の機体返還の交渉をしているので
関係は悪化しているが、この上に李前総統のビザ発給問題が出てい
る。これは日本と同じ。日米が共同歩調を取ったと、中国は思う仕
掛けになっている。この件は恐らく、日米協議があった可能性が大。

しかし、国務省は、最終的にイージス艦の台湾供与をしないと言う
ことで、中国との一層の悪化を避けた。これは賢明である。パウエル
国務長官のバランス感覚はすごい。どこまで、中国と悪化させるか
を読んでいる。対中強硬派のラムズフェルド長官が中国に対して、
強硬な意見を言い、それによって、パウエル長官が中国の対米強硬
意見との妥協点を見つける。このような役割を両者で行っているよ
うに見える。これって、ライス補佐官の理論だと感じる。日本もこ
の理論が可能であるような気がするが??

日米ともに中国との経済関係は大きくなっているため、関係の悪化
による経済的損害を念頭に置いて、行動している。中国も同様で、
米国や日本との関係悪化は中国の経済的な損害も大きいことは知っ
ている。特に日本からはODAで3兆円程度の資金を援助されてい
る。そして、この資金により近代化を進めている。

中国は指導者の世代交代が4年後にある。江沢民や朱首相が退任し
て、次の指導者、おそらく胡錦濤になるであろうが、当分、中国内
での権力闘争があるようだ。江沢民は明快な方針を持った国家戦略
を提示できなかった。ケ小平との大きな違いがある。そして、この
江沢民が、あまり政策を提示しないために、国内各権力機構がバラ
バラに意見を言い、政策を実行している。この国内のとりまとめが
できない状態は、戦前の日本と同じような感じがする。特に軍事的
な背景が江沢民はないため、軍部に気を使いすぎのきらいがある。
このため、中国国内の軍部や不平不満を対外強硬政策でカバーする
ことが多い。
米国や日本の対中政策や台湾との関係をその材料としていた。
この1つがユーゴの大使館誤爆であり偵察機問題、教科書問題なの
であろう。

中国が真の大国になるためには、国内民主化を進めて、強硬な対外
政策をしないで済む国家になってほしいと願いたいですね。
次の指導者の胡錦濤に期待したいですね。
==============================
2001/04/19−17:34 時事
 20日に、ビザ発給決定へ=人道的見地から決断−政府 
政府は20日、台湾の李登輝前総統にビザ(査証)を発給する方針
を正式決定する。政府部内には中国の反発を懸念し、発給に反対す
る意見もあったが、李氏が訪日目的を「病気治療」としていること
から、森喜朗首相が人道的見地に立って最終的に発給を決断した。
==============================
2001/04/19−21:24 時事
 李登輝氏へのビザ発給拒否を=中国 
【北京19日時事】中国外務省報道局の章啓月副局長は19日の定
例記者会見で、台湾の李登輝前総統の訪日問題に言及、日本は「一
つの中国」の原則を守る「義務」があると指摘した上で、「訪日を
認めないことを望む」と述べ、ビザ(査証)を発給しないよう強く
求めた。 
==============================
李登輝氏、来月訪米へ ブッシュ政権 ビザ発給は確実
産経新聞社 4月18日(水) 15時22分 

【ワシントン17日=西田令一】米コーネル大学(ニューヨーク州イ
サカ)は十七日、台湾の李登輝前総統が五月二日から四日まで同大学
を訪問する計画だと発表した。同大のウェブサイト上に掲載された
発表によると、李前総統の訪問は、現在、同大で学んでいる孫娘を
訪ねると同時に同大の学生や教職員と会うのが目的という。また、
同大側ではこの機会を利用して、科学研究に当たる「李登輝研究所
」の創設を発表するという。発表では「(李前総統の)演説や(李前総
統を迎えての)行事は予定されていない」としている。
 李前総統は同大に留学し、一九六八年に農業経済学で博士号を取
得しており、現職当時の九五年に同窓会出席のため再訪して演説す
るなどしたことから、中国側がこれに激しく反発、クリントン前米
政権下の米中関係が悪化した経緯がある。

 米国務省では十七日夜現在、李前総統側からの訪米ビザの申請は
まだ行われていないとしている。しかし、すでに私人となった李氏
による私的訪問であるうえ、クリントン前政権よりは親台湾のブッ
シュ政権だけに、申請されればビザの発給は確実との見方が強い。

 米議会では、米中軍用機接触事件での中国側対応を不満として、
李前総統へのビザ発給などの“対中報復措置”を求める声も上がっ
ており、これも追い風になりそうだ。
==============================
2001年4月18日(水) 11時15分 
<イージス艦>台湾への売却見送りか 米CNNテレビが報じる
(毎日新聞)
 米CNNテレビは17日、米国務省と国防総省が台湾へのイージ
ス艦供与を今回は見送るようブッシュ大統領に勧告することで一致
したと報じた。台湾への武器売却問題は今月内に決定されるが、ミ
サイル防衛に有効な「イージス能力」を持つ別の駆逐艦を供与する
ことも検討されている模様だ。 
==============================
GWRより
 ワシントン・ポスト(同日付け)やクリスチャン・サイエンス・
モニター(同日付け)は、国務省の役割について書いている。これ
まで国際危機管理では、国防省や安全保障担当補佐官が中心だった
が、本件では国務省、特にパウエル国務長官の主導で事態収拾が図
られたからだ。前者は、政権による国際・安全保障問題への今後の
対応のヒントになると伝え、後者はもう一歩突っ込み、ブッシュ外
交はパウエル長官の穏健派路線に変わるかもしれないとやや期待気
味だ。だがこのような国務省主導は、国防省、特に対中強硬派とし
て知られるラムズフェルド長官を表に出して中国側の態度を硬化さ
せてはならないという配慮があったため、とニューヨーク・タイム
ズ(同日付け)は伝えている。事実、乗員が米国に帰還した13日、
ラムズフェルド長官は中国軍機による攻撃的な飛行をとらえた過去
の映像を使いながら、「事故発生は中国側の責任」と断じ、対中姿
勢を一気に硬化させている。
==============================
矢吹HPより
アメリカ商務省の統計から、米中貿易と日米貿易を一瞥してみよう
。昨2000年のアメリカの対中輸出162億ドルに対して、対中輸入は
1000億ドルであり、対中貿易赤字は838億ドルである。ちなみにアメ
リカの対日輸出は652億ドルに対して、対日輸入は1465億ドルであり
、対日貿易赤字は813億ドルである。わずか25億ドルの差にすぎない
が、2000年はアメリカから見て戦後初めて対中貿易赤字が対日貿易
赤字を上回った年として歴史に記録される。むろん米中貿易と日米
貿易とは、その構造が異なる。たとえば米中貿易は往復1163億ドル
であり、日米貿易の往復2118億ドルの約半分である。この文脈では
、米中経済関係と日米経済関係はその内容を異にしていることはい
うまでもない。しかし相互依存関係の深さは明らかである。もはや
ブロックをもうけて対峙した時代とはまるで異なる。
==============================
「韓国の雰囲気は厳しい」帰任の崔大使が教科書問題で 朝日
 日本の歴史教科書問題を巡り一時帰国していた韓国の崔相龍駐日
大使が19日帰任し、外務省に河野洋平外相を訪ねた。
 崔大使は韓昇洙外交通商相からの親書を手渡し、「韓国国内の雰
囲気は非常に厳しい。(検定に)合格した教科書の詳細な分析をし
ており、その結果に基づいて政府の立場を日本に提示する。積極的
かつ誠意ある対応をしてほしい」と述べた。河野外相は「大使の話
を非常に重く受け止める。多くの人の努力でよくなった日韓友好関
係が損なわれないよう今後も相談したい」と応じた。
==============================
外交部副部長、日本の駐中国大使と緊急会談
  外交部の王毅副部長は20日夜、日本の阿南惟茂・駐中国大使と緊
急会談し、日本政府が台湾の李登輝の訪日を許可したことに関して
、中国側の厳正な立場を伝えた。 

  王副部長は「中国側は各種ルートを通じて、李登輝の訪日問題は
深刻な政治的要素をはらむものであり、日本側に対して、『中日共
同声明』や『中日共同宣言』の基本原則を順守し、李登輝の訪日を
認めないように繰り返し求めてきた。非常に残念なことに、日本側
は中国側の再三の働きかけや厳正な立場を顧みず、李登輝の申し入
れを受け入れた。中国政府はこうしたことに対し、強く抗議する」
と述べた。 

  王副部長は更に、「李登輝は『台湾独立』勢力のトップであり、
中国分裂活動を一向に止めようとしない。彼はかねてから様々な口
実にかこつけては訪日を企んでおり、今回もまた『治療』という隠
れ蓑を使っているが、『台湾独立』の主張を売り込み、日本での支
持をとりつけることを目的としていることに変わりはない。今回は
、台湾当局の要人も一斉に李登輝を援護し、これはいわゆる『国家
全体の問題である』と公然と述べた。こうしたことから、李登輝の
訪日は、決して一介の『民間人』による訪問ではなく、又いわゆる
『人道的問題』にもあたらず、正真正銘の政治問題だということが
明らかになった。 

  日本政府は『中日共同声明』で、中国政府の台湾問題に関する立
場を十分理解し、尊重すると明確に公約している。また、一つの中
国の原則を堅持し、『台湾独立』を支持しないことを繰り返し表明
してきた。両国の相互交流では、信頼が何より大事だ。日本側は、
『両国論』をでっちあげ分列活動を行う李登輝の訪日を認め、『中
日共同声明』の原則に著しく背き、自らの公約を破棄し、中日関係
の政治基盤を損なった」と指摘。 

  王副部長は最後に「日本側は、教科書問題で中国人民に当然なす
べき説明を行わないうちに、今回また台湾問題でもひと悶着起こし
た。中日関係の政治的基盤や『中日共同声明』、『中日共同宣言』
の厳粛性を守るために、中国側は相応な措置をとらざるを得ない」
と強調した。 

  阿南大使は直ちに日本政府に中国側の立場を伝えるとした。その
上で、「日本側は李登輝氏の訪日を治療目的に厳しく限定する意向
で、日本政府は日中共同声明の原則を堅持する立場に変わりはない
」と述べた。 
  「人民日報日本語版」2001年4月21日 


コラム目次に戻る
トップページに戻る