500−2.景気浮揚策はいかに



不良債権の整理を優先することも大事ですが、景気浮揚策もとる必
要があると思っています。
私は、地方で建築関連の仕事に従事しています。
過去には、住宅関連の仕事は、景気の波及効果が大きいといわれ、
毎年春になると多くの住宅が建っていました。

サラリーマンは、何十年分もの収入を前食いして、住宅を建ててき
ました。しかし、今は銀行がお金を貸しません。
サラリーマンの勤めている会社が、いつ潰れるか分からないからで
す。銀行は、不良債権を発生させないために、新規貸付を控えてい
るのです。

今、家を建てている人は、建築代金のほとんどを、自己資金でまか
なえる人だけです。こんな状態ですから、当然、夜の町も静かです。

今後の生活に不安を抱いた生活を強いられていれば、当然財布の紐
も締まります。国民のほとんどが、自己防衛のために消費を控えて
います。
100円ショップが利益を挙げていることなどは、デフレのあだ花
です。こんな状態の中で、新しい消費を喚起しようにも喚起できな
いでいるのです。
 
新たな不良債権が、ドンドン発生しているのです。ますます、銀行
は貸し渋ります。日産では、リストラを実行して、史上最高の利益
を計上したことは記憶に新しいことです。

しかし、日産の売上は減少しているのです。ほとんどの産業の収益
が低迷しています。完全にデフレスパイラルに突入しています。
国は、緊急経済政策のなかで、IT、医療、保育介護、循環型社会で
デフレを解消?しようと試みようとしています。

戦争以外の需要でデフレを解消できるのでしょうか?
第1次世界大戦後の日本のバブル経済をしっかりと退治できなかっ
たために、軍部の増長を許し、第2次世界大戦を引き起こしてしま
った歴史の教訓を思い起こすべき時期です。多くの人命を犠牲にし
て得た貴重な教訓です。アメリカでも、当時のデフレを解消するた
めに、さまざまなことをやったが、結局、日本の真珠湾攻撃を待っ
てデフレ解消策(参戦特需)にでたのです。

当時、日本においては、東洋経済新報の高橋亀吉氏だけが、緊縮経
済の誤りを主張していたが、取り上げられなかった。
現在、野村総研のリチャード・クー氏も、財政出動しか解決の道は
ないといっている。詳しくは著書「良い財政赤字、悪い財政赤字」
を参照して下さい。

いま、戦争に匹敵するぐらいの財政出動が求められているのです。
過去の負の遺産の清算だけに目が向くと、「構造改革、創造的破壊
」論になってしまうのではないでしょうか。
日本経済がおかしくなれば、アメリカ、東南アジア、EUの足をも引
っ張ってしまうのです。確かに、国の借金も増えすぎ、国民の総預
金量を食い潰してしまった状態です。
これ以上、余裕はないのです。

日本経済は、押しても切れる、引いても切れる「両刃の剣」の膠着
状態です。畏れていては、何もできないのです。
構造改革路線で、民間の活力?が出るまで待つか、財政出動で景気
浮揚策をとるか、どちらも危険な政策です。

この危険の政策の選択にあたって、政治家、官僚の「ことなかれ主
義」が問題の先送りを図っているから、消極的な構造改革路線がと
られているのだと思います。
私は、国民の命と生活に関わることを、丁半博打のようにいってい
るのではありません。日本の経済が、国民不在の政治のために、危
険水域まで追いやられてしまっているのです。

両刃の剣ならば、日本経済再生の可能性のある方に賭けるしかない
のです。
私は、大幅な財政出動だけしか、デフレ解消のないと思っています
。それは、ドイツで起こったような、ハイパーインフレーションを
招くかもしれない危険な道です。

そのコントロールは大変難しく、急ブレーキをかけても効かない可
能性があるのです。遅くなればなるほど、その危険性は高くなるの
です。
日本の選択が世界同時不況を招くようなことがあれば、ブッシュ政
権に戦争を引き起こさせる危険性があるのです。世界の人の命と生
活がかかっているのです。

日本の政治家とマスコミは、真剣に考えてているのか?
日本の選択が、世界の方向を決めるといっても、おおげさなことで
はないと思っているのは私だけなのでしょうか?
tanaka
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日本銀行金融研究所長 翁邦夫氏の論文
「実験的な金融政策には、政府の補完的対応が不可欠」

http://www.boj.or.jp/ronbun/kikou_f.htm

いよいよ、日銀もデフレ解消に、財政出動の必要性ありという論文
を発表
tanaka
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(Fのコメント)
今の議論を聞いていると、構造改革か財政出動かの2者選択をして
いるように感じる。しかし、この2つは相反することなのであろう
か??弱い産業を強くする必要があり、このため敗者を市場から撤
退させて、強い産業を興す、または規制緩和で進出可能にする。
このいい例が農業分野で、自由化したほうが活力が出て、農村に新
しい力を呼び込めると思うが???

これによる雇用の確保をして、新しい産業基盤に財政出動して、一
騎に作る。公共事業の非効率性とムダで非効率な施設作りは、中間
に公的セクターがあり、そのセクタ−がほとんど仕事をしないか
ムダな施設作りに金を毟り取ることにあり、この構造を変革しない
と、国家としてムダな金が多すぎるのです。最終市場の活性化を行
うためにも、真水を増やすためにも、この改革は必要です。

このため構造改革と財政出動を同時に行う必要があるのです。それがな
いと経済の効率性が落ちて、充分な財政出動ができないはずです。
郵貯資金には利子を生む必要がありますから、できた施設は利用さ
れて、充分な利益を生む必要があるのです。このような公共事業は
どんどん、やるべきです。いま、日本の公共事業は、儲かる施設は
作らずに、ムダな施設を作りそこに郵貯資金を投入するため、経済
効率が落ちているのです。東京は不便になり、地方は便利であるが、
利用者数が段ちに違い、東京に羽田と同等の施設を作れば、便利に
なり。かつ施設使用料でペイできるのです。地方は運営費も出ない
ほどの赤字です。

このような黒字可能潜在施設は東京や大都市には多いのではないで
すか??
たとえば、外環状の高速道路も早く作れば、運転者は空いている
その道路を利用することが確実です。むやみやたらと作るから、国
家は破綻するのです。地方の公共事業には赤字予測ができずに収支
計算を無理やりにやっているが、このようなことができない仕組み
が必要でしょうね。このためには民間が施設運営を行うことも考える
べきです。国鉄からJRになり、新幹線の作り方は変わったようで
す。収支の計算して、新幹線の変わりに地方幹線を廃止する方向
はいいと思いますね。こうすれば、無理をすると、その地域の住民
が損をすることになるのですから、歯止めがかかることになります。
新幹線がいいか旧来の鉄道がいいかをそこの住民が選択するのです。


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