480−1.マケドニア紛争



民族自立の限界がここ東欧ではっきりしている。  Fより
20世紀の原則は、米国大統領ウイルソンが大西洋憲章で宣言した
諸国民の民族自立、独立ですが、東欧の特に旧ユーゴ地域はこの
原則を遵守すると、民族間紛争になるのです。

米国、NATOは、コソボではアルバニア系民族解放戦線(NLA)
を支援して、コソボからセルビア人を追い出したが、このNLAが
力を持ち、隣国のマケドニアのアルバニア民族の独立を助け始めた
ため、再度混乱が起きている。

この紛争の裏は、この民族自結の原則であるが、この地域は複数民
族が、住んでるため民族自結は即、紛争に直結する。そして、敵と
味方がその時々で変化するため、よく分からない。コソボでは、
可愛そうなアルバニア民族。その独立を支援しようとなるが、今度
マケドニアでは、アルバニア民族は拡大主義者と非難されることに
なる。この目まぐるしい民族評価の変化は全体像を考え直さないと
無理があることを教えているように思う。

それは、民族自結の原則を止めることである。20世紀的な国民
国家概念を止めることであり、複数民族の地域での融和を図り、共
に共存する仕組みが必要であることを歴史は言っているでしょうね。

次の国家概念は、市場経済と自由民主主義を基盤とした他民族地域
国家となるでしょうね。その実験がEUでしょう。東欧はドイツ人
が広範囲に分散している。この分散範囲をドイツはEUの範囲とし
ているように思う。しかし、アルバニア人には許されない。国力が
ないため、武力で大アルバニアを構築しようとしているためである。

その点、ドイツは工場を東欧に進出させて、経済でEU化を推進さ
せている。EU化=ドイツ化ですよ。これはサッチャー元英国首相
が言ったことです。そして、ドイツも米国の意向と一致させて、
この政策を実施している。この点を日本も見習うべきではないでし
ょうかね。もう1つ、コソボには、ドイツNATO軍がいる。
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2001年3月20日(火) 15時14分 (ロイター)
マケドニアとアルバニア・ゲリラの衝突に懸念=米大統領
 [ワシントン 19日 ロイター] ブッシュ米大統領は、アル
バニアの民族ゲリラとマケドニア軍の衝突について懸念しており、
米政府は、マケドニアを援助するための「非軍事」行動を検討して
いる。 ホワイトハウスが明らかにした。 
 北大西洋条約機構(NATO)はこの日、マケドニアがユーゴス
ラビアのコソボ自治州から潜入したと思われるゲリラの抵抗にあっ
ているため、コソボ南部のマケドニアとの国境に、追加の部隊を派
遣することを明らかにしている。 
 ホワイトハウスのフライシャー報道官は、「大統領はアルバニア
の過激派の行動を懸念しており、これが大統領とNATOがコソボ
軍によるパトロールの増強を許可した理由のひとつだ」と述べてい
る。 
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アルバニア系武装勢力が一方的に停戦を宣言 マケドニア  
 マケドニア北部で戦闘を続けてきたアルバニア系武装勢力は21
日夜、「無期限かつ一方的な停戦」を宣言し、マケドニア政府に
和平交渉に応じるよう呼びかけた。しかしトライコフスキ大統領は
直接対話を拒否、「武装勢力を放逐しなければならない」と語り、
22日朝から攻撃を再開した。
 政府は武装解除の猶予期限として22日午前零時(日本時間同日
午前8時)を設定。武装勢力が武器を捨てるか、マケドニア領土か
ら去らない場合は総攻撃を加えるとの最後通告を突きつけていた。
攻撃再開が、この総攻撃にあたるかどうかは不明だ。

 一方的停戦は猶予期限が切れる約5時間前、武装勢力がユーゴス
ラビア・コソボ自治州のアルバニア系テレビ局を通じて発表した。
「2つの民族は戦うよりも対話を行ったほうがよい。血が流れれば
対話の余地はなくなる」といった内容だ。「もし軍や警察が攻撃す
るならばわれわれの闘争は続き、拡大するだろう」とも述べ、当面
は武装解除や投降の考えはないことを明らかにした。

 これについて大統領は「まず軍が国境を掌握する必要がある。
そのあとも合法政党などを通じた交渉に限る」と述べ、武装勢力の
提案をはねつけた。

 マケドニア軍の情報筋は朝日新聞に対して「総攻撃を恐れたため
の時間稼ぎではないか」との見方を示した。マケドニア国境に近い
コソボでは21日にも国際部隊として展開中のドイツ軍が武器の
密輸現場を発見。狙撃用ライフルや自動小銃、地雷などを押収して
いる。武装勢力が停戦を口実に戦闘態勢を整えようとしている可能
性もある。

 首都スコピエでは21日、車に乗った男が自動小銃で警察官に向
けて発砲、1人が死亡、1人が重傷を負った。武装勢力が首都でも
テロ行為を始めたのではないかとも疑われるなど、緊張が続いてい
る。(19:51) 
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2001年3月19日(月) 10時20分 
<アルバニア>マケドニアは、バルカン地域安定の重要な柱 首相
(毎日新聞)
 アルバニア系ゲリラとマケドニア政府軍との交戦について、隣接
するアルバニア政府は18日までに、ユーゴ連邦コソボ自治州から
越境したゲリラ組織「国家解放軍」の拡大主義的な行動を非難。
メタ首相はマケドニアの存在を「バルカン地域安定の重要な柱」と
位置付け、マケドニアの主権と領土保全を尊重する姿勢を示した。 
[毎日新聞 3月19日]


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