470−1.ゲリラ、テロの分類



いつもご苦労様です。 supです。

自分で問題提起していながら、当問題があまりに戦術レベルの話に
なりつつあることを大変反省しております。
(当コラムは、国際戦略コラムであって、国際戦術コラムではない
のですから。)

また、軍事に関して自分の考えていた常識と皆様との考えがかなり
開きがあるのを感じることが出来たのは、今回の私に収穫です。

さて、ふる@鶴川さんの質問に対してです。

>supさん、ゲリラと占領下の住民の抵抗活動(欧州でのパルチザ
ンに相当)を混同すると、第三者に話が伝わりません。
以前、この国際戦略コラムにも書きましたが、「ゲリラ」は正規軍
の戦闘を補助する不正規戦部隊です。ゲリラは戦争の一形態で戦争
法の適用対象となりますから、ゲリラ活動で捕まれば国際法で捕虜
の取り扱いを受けます。
 しかし、そのためには少なくとも正規軍と同じ軍服ないしは敵軍
の部隊であることが明確に判る衣服を着て行動しませんと、ゲリラ
とはみなされず。テロ活動として極刑を受けます。
 英軍のSASや米軍のシールズの特殊部隊が、湾岸戦争の際、
イラク領内に潜入して、偵察・スカッドミサイルの破壊などを行う
のは「ゲリラ活動」です。従って、捕虜になっても、国際法に基づ
き一応処刑されないはずです。
 北朝鮮の特殊部隊が、日本に潜入して破壊活動を行った場合、
戦争状態でなければ、例え命令であってもテロ行為です。

まずこの問題についてです。この件については、混同については全
く申し訳ないと思います。確かに私の述べている部分を読み返して
みるとどっちの話なのかわからないと思われる所が多々あったと思
います。
不正規戦の分類は、実際において様々なものがありますので一概に
は言えませんが私個人的な理解の分類としましては国際法を遵守す
るかどうかという点での大きく二つに分かれると思います。

国際法内での活動にについては、ふるさんのおっしゃられる正規軍
による戦闘を補助する不正規戦でしょう。アメリカなどでは、これ
をLRP(ロングレンジパトロールの略 当初はLRRPロングレンジレ
ッコネサッンスパトロール後に偵察部分が取られる)と呼んだりし
ます。これは、グリーベレー及びシールズ等の特殊部隊があたりま
す。
ちなみにふるさんの話とちょっと違うなと思ったのは、私の世界で
はこれをコマンドと呼びます。コマンドはあくまで国際法上にのっ
とった活動であります。
国際法外の活動については、ふるさんのおっしゃられる言葉ならば
テロ行為をする武装集団です。1番と異なる点は、国際法上全く違法
の部隊であるということです。ちなみに、私の世界ではこれをゲリ
ラと呼びます。
現実レベルにおいては、こう明確区分することが出来ないのが難点
でもあります。
(たとえば、あるときは国際法内で別なときは国際法外でと行動さ
れるとかなりお手上げな部分があります。)

その他にも、軍に所属する部隊と私的な武装集団との分類方法と
種々ありますが一概にこれだという分類方法を私自身としては見つ
けておりません。複雑に絡み合うのが現状ですから。

なお余談ですが、今回、用語の定義というのが議論する前には必ず
必要だと言うあたりまえのことを痛感しました・・・

>旧日本軍の場合、戦争末期には貧弱な補給体系のために食料の現
地調達を行ったため、当初友好的だった民衆ですら憎しみをかいま
した。それと、撤退した連合国の宣撫工作以上の力が持てなかった
ために、連合国側の占領下の民衆の抵抗運動に悩まされました。
 何も旧日本軍に限らず、一端住民が抵抗運動を活発化となると、
なかなか鎮圧することは、どの国の軍隊でも押さえることができま
せん。その活発化となる元があるからです。そのため、占領下の
住民に叛乱の気力を失わせるほど過酷なまでの弾圧・粛正をおこな
うか、占領地において少数民族に多数民族を支配させて占領の憎し
みをそらさる政策を行って、抵抗活動を根本から押さえない限り力
による押さえ込みは限界があります。

>旧日本軍の評価としては、ゲリラ戦にも抵抗運動にも「長けてい
ない」が一般的な評価です。どんな事例・事件を元にして言われて
いるのか、根拠を示していただくと判り易いのですが。
今村軍司令官の統治は、彼の軍政が抜きん出て良かったからですし
、インドネシアで比較的にうまく軍政がいっていたのは、オランダ
人による奴隷のような扱いから解放した面と、インドネシア独立を
餌にした宣撫工作の成功ですので、軍事行動とは別です。

すいません 前回のインドネシアというのは完全な私の勘違いでし
た。そのとおりです。
 この件については、購読者皆様とかなりのギャップがあると感じ
ましたので、詳しい論拠については、最低でも2週間以内に述べよ
うと思います。
具体例で挙げるならば、南方作戦における対ゲリラ戦及び北シにお
ける治安戦等例があります。防衛庁防衛研究所戦史室著の戦史業書
を元としまして、述べたいと思います。

最後に、今回改めて戦史業書を読み返していますが、太平洋戦争
(大東亜戦争と呼ぶべきでしょうか)について、私自身まだわから
ないことがたくさんあるとも感じました。
というもの、軍政に関して師団レベルではむしろ忌避するべしと考
えていたこと(南方作戦に従事した部隊は特にこの傾向が強い)を
知ったこともその一つであります。

まだまだ、わからないことがたくさんある未熟者ですが、2週間以内
にみなさんに納得できるだけのものを出したいと思います。 
その問題が一段落したならば、ようやっとこの国際戦術コラムを終了
させることが出来ると思います。
それでは、
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(Fのコメント)
だんだん、議論すると、お互いの思い違いが修正されて、見解が一致
していくようですね。

ここでは、このコラムで過去、このゲリラ戦関係の記事が多数あり
ますので、その紹介をしたいと思います。
国際法(特に戦時法規)
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/kako/snhou.htm
ゲリラ戦と正規戦の違い
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/kak1/120201.htm
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/kak1/120211.htm
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/1303061.htm
読者の声にあるナマステさんの疑問から、この議論が出ている。
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/1302122.htm
読者の声でsupさんの反論
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/1302271.htm


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