464−1.米国と日本の比較



米国は、3ケ月で40万人の失業、リストラが起こっている。
しかし、日本では、倒産による失業が出るだけで、あまりリストラと
いうことも聞かない。この違いはなんでしょうか??? Fより

日本は、流通業界の世代交代と建築業界の淘汰がないと、浮上しな
い。この状況に米国のハイテク不況が、日本の強い電子部品業界を
直撃している。この状態で日本は最終的な外科手術をする決意が、
出来たようです。金融の不良債権整理。これの意味する所は、流通
と建築業界の整理ですから、今後もこの業界は再編のアラシが吹く
はずです。弱い企業の退場を促すしかない。

米国はまだ、不況入りを認めていないようだ。グリーンスパン議長
の証言がそれを物語っている。しかし、リストラにより企業が従業
員解雇をしているため、消費者の購買力に大きな影響が出るでしょ
うね。米国は新しい産業にその雇用をシフトでできるかですが、
規制緩和は1980年代から始まったために、新雇用を作るために
は、米国政府が本来行う刑務所運営やエネルギー産業の一層の自由
化など、あまり大きくない。日本はまだまだ規制分野が多く、規制
緩和をして雇用創造できる分野が多くある。ここが日米で違う。
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Fさん
お返事有難うございます。米国の家計が赤字であることは、昨年始
まったことではないように思います。米国の家計は黒字になったこ
とがあるのでしょうか。マクロの説明とミクロ的な観察が何時も一
致しないので実は御伺いしたものです。家と車をローンで買って毎
月その返済に終われているのは確かです。その時株を売ればローン
の返済がなくなるとの説明ですが、赤字で借金返済に終われている
家計で売る株を何時持つことができたのでしょうか。
事務職は簡単にクビをきれることは確かでしょうが、米国ではその
他の業種でも簡単にクビを切ります。米国が1970代以降製造拠点を
海外に移動させ空洞化したことも確かです。しかし鉄鋼、自動車、
航空機、といった製造拠点が米国にありますし、海外企業からの米
国への工場移転もあります。さらに、その空洞化を踏まえた上で
米国は経済成長を継続してきました。また、労働人口は海外からの
移住が貢献して増加しています。
ハイテクの将来性を見こんだNASDAQのバブルがはじけた現象
は確かに10年前の日本と似ています。
しかしながら、米国と日本とその国民性、歴史、社会構造が全て異
なると言っても過言ではない程違います。従って日本でバブルが
ハジケ、その後10年も経済が低調であったという経験から、
NASDAQのバブル崩壊を持って米国に10年不況の恐れがあると
いう説にはどうも納得いかないのです。
一番違うのはその対応の早さです。企業は収益力を回復させる為に
、あらゆる方策(人員削減、部門・企業の売買,政治力)を短期に
実行します。規制が少ないので新規のアイデアが商売として成り立
つ環境は日本より整っています。要するにダイナミックであり、
社会がその変化の早さに対応出来る体制、個人がその変化を受け入
れ対応する精神的タフさを持っています。
日本の製造技術の高さは、異論をはさむ余地はありません。但し
その高水準の技術が、職人芸と言われるほど個人に所属している、
また同質の価値観を持つ土壌でしか発揮できない高水準技術でなり
たっているように思えてしかたがありません。しかも、もし日本が
その技術で群れをぬくものであるならば、なぜ空洞化を恐れるので
しょうか。アイデア、デザイン、技術を売り、安いところで作る、
これしか賃金の高い国が生き延びる、あるいは、低賃金国と共存す
る道はないように思いますが。勿論日本の多くの企業はそれを既に
実行しています。しかしながら、高水準技術を要しない産業も多く
あり、賃金だけの競争しかない産業は米国の繊維産業のように消え
て行くでしょう。ただ米国の強みは、労働移民による豊富な労働力
がある分日本より強いかもしれません。
異質の国民から成り立っている米国と基本的には同質の日本を例え
経済現象という局面だけに限っても同じ土俵では比較できないよう
に思います。
今年の米国経済は低成長になることは間違いないでしょう。実質
GDPの減少もあるかも知れません。しかし、これから10年の不況
のおそれとなるとどうも根拠が薄い気がするのですが。もっとも、
日本のことはニュースやFさんの情報といった情報だけの認識しか
ない為生活実感からの意見が皆無で、日本の先行きに不安感がぬぐ
いされないのと同じでFさんの米国についてのご意見も同様かなと
いう感じです。但し、Fさんの分析の方が正しいのかも知れないと
言う思いは今ももっております。
在ミシガン 水田 幸直
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(Fのコメント)
1980年代の米国経済危機の時代には、日本の品質や生産技術が
米国製造業を直撃して、崩壊の危機になって、日本から品質改善の
田口メソッドを導入して、復活したのです。それに、日本の部品メ
ーカとアセンンブルメーカの垂直統合を見て、その構造を取り入れ
る方法として、インターネットを利用して原価削減・開発期間の
短縮を果たして、1990年代は日本の製造業と並んだのです。
それと、海外からの安い部品を導入したことです。日本は部品産業
とアセンブル・メーカが分かれていたために、高品質で比較的安価
な製品を供給していたのですが、米国は部品から製品まですべて自
前で製造することが当たり前でした。T君がIBMで働いていた時
、IBMの状況を教えてもらって、ビックリしたものです。

1990年代にIBMの製品上に他国製部品が入り、今では80%
が、購入部品になっているのではないでしょうか??その分、雇用
は減りました。30万従業員のIBMが13万人になっています。
雇用は日本、中国、アジアの部品メーカにシフトしたようです。

このため、雇用確保にため、規制緩和を各分野で実施して、競争を
促し、新企業を起こしました。しかし、現在米国の規制開放分野の
寡占化が進み、今後の雇用増加は期待できないように思います。

また、1995年にインターネットの民間利用が本格化して、米国
の産業はサイバーにシフトして、雇用を確保したのです。このイン
ターネット企業の崩壊は米国雇用に大きな影を落とすと感じます。
40万人の雇用がなくなっていると報道されているのですが、この
受け入れ先はあるのでしょうか??
米国株下落で400兆ドルの資産がこの数ヶ月で、無くなっていま
す。この影響を楽観視するのは危険です。この影響は土地価格の
下落を引き起こすことになり、ドル暴落が起きるとインフレの可能
性もあります。日本は債権国であり、米国は債務国の違いにより、
日本は、不況になるとデフレが起きますが、米国は不況になると
インフレになり、益々国民が苦痛を味わうことになります。

日本も同様です。日本の次の産業を見つける必要があります。そこ
に雇用をシフトするしかないのです。日本は規制分野が多く、その
開放による新分野があり早く、その新分野を開放して、雇用創造を
図る必要があると思います。

米国の国民は、ローンの返却で、株を買えないということを、水田 
さんは、コメントしているが、私の付き合う米国の会社は、必ず 
株のオプションを従業員に与えている。これは、成果給みたいなもの 
で、30ドルで12月に買えるオプションを貰っている。 

そして、今までは、オプションを行使して、ボーナスみたいな感じ 
で、受け取っていた。または、オプションで株を買い、そのまま 
持ちつづける人もいたのですが、この株安で、オプションの行使 
ができなかったために、去年の暮れは、購買が減ったのです。
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日銀総裁、円安誘導も選択肢   nikkei
 速水優日銀総裁は7日東京都内のホテルで講演し、「(デフレ圧
力緩和に向け)思い切った政策をトライするという意味では、為替
相場を介入により大幅な円安に誘導するという政策も考えられる」
と語った。速水総裁は円高論者と見られてきたため、外国為替市場
では意外感が広まり、円売り材料になった。 
 総裁発言について、日銀の事務局は「一般論を述べただけで、
円安誘導の意図はない」と説明している。総裁も講演で「介入で為
替相場の人為的なコントロールがどこまで可能なのか、輸入コスト
の上昇やアジア諸国へのマイナスの影響をどう考えるかといったこ
とをさらに慎重に考える必要がある」と述べている。為替介入権限
を握る財務省は速水総裁の発言を否定しており、日本の通貨当局が
本格的に円安政策を採用するかどうかは不透明だ。 
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1月家計調査、全世帯消費支出0.5%減
 個人消費が低調だ。総務省が8日発表した全世帯の家計調査による
と、1月の1世帯あたりの消費支出は2カ月ぶりに前年水準を下回っ
た。衣料品の購入や、旅行などの娯楽への出費を手控える動きが鮮
明になっており、先行きへの不安から個人が消費を抑制する傾向が
鮮明になってきた。1月の全世帯の消費支出は1世帯あたりで30万7952円
。物価の変動の影響を除いた実質では前年同月比0.5%減少した。
今年度に入ってから消費支出の前年比の増減率は一進一退を続けて
おり、総務省は「個人消費は低調な動きを続けている」(統計局)
と分析している。 
 消費支出を構成する「10大項目」のうち、1月の消費支出のマイナ
スへの影響が最も大きかったのは「被服及び履物」だった。前年比
では実質8.9%の減少で、なかでも婦人用の洋服や和服などの購入手
控えが目立つ。衣料品をめぐっては個人の低価格志向が依然として
強い。2月の東京都区部の消費者物価指数(生鮮食品を除く総合)が
過去最大の下げ幅を記録したのも衣料品価格の大幅な低下が背景に
ある。 
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経済指標相次ぎ発表 設備投資急減、個人消費低迷示す  

 先行きの設備投資の急減や個人消費の低迷を示す指標が8日、相
次いで発表された。特にこれまで景気回復をけん引してきた設備投
資は、先行指標となる「船舶・電力を除く民間企業からの機械受注
額」(季節調整値)が1月は前月比で11.8%も減少。景気失速
への懸念が強まっている。
 内閣府が発表した1月の機械受注統計によると、船舶・電力を除
く民需の受注額は9669億円。前年同月比でも0.8%増にとど
まり、昨年10月の25.4%増、11月の22.0%増、12月
の13.5%増と比べると、急ブレーキがかかった。景気の先行き
不安を背景に、企業が発注を手控えたためとみられる。内閣府は
これまでの「増勢が続いている」という基調判断を「このところ一
進一退の傾向にある」と、5カ月ぶりに下方修正した。

 製造業では17業種のうち13業種が前月比マイナスで、特に
情報技術(IT)関連の電気機械が19.7%減と落ち込んだのが
目立つ。このうち主力の半導体製造装置では発注の一部キャンセル
も出ているという。

 非製造業も運輸、電力、金融・保険業などの前月比が軒並み2け
たマイナスとなった。

 一方、総務省が発表した1月の家計調査(全世帯、速報)による
と、1世帯当たりの消費支出は30万7952円。前年同月比は
物価変動の影響を除いた実質で0.5%減と、2カ月ぶりにマイナ
スに転じた。「価格破壊」が続く衣料品やパソコン、ビデオカメラ
など教養娯楽関連や食料の支出が減っている。

 また、サラリーマン世帯の実収入は45万2510円と2カ月
連続の実質前年同月割れ。世帯主の定期収入、配偶者の収入など
すべてがマイナス。これは1999年11月以来で、消費は回復し
にくい状況のままだ。
(3/821:55asahi) 
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「経済は落ち込んでいない」 GWRより
 ウォールストリート・ジャーナル(1日付け)は、 28日に下院銀行金
融委員会の公聴会で証言したグリーンスパン連銀議長が、「ここ数週間で
経済は悪化していないが、消費者信頼感が落ち込み続けており、まだ危険
に瀕している」と述べた、と伝えている。同時に、「インフレよりも不況
の方が経済にとって危険との見方を明らかにし、今月20日の連邦公開市場
委員会(FOMC)の定例会で金利が引き下げられる可能性を示唆した」とも
報じる。 
 グリーンスパン議長は、米経済の現状に関して、 2週間前の上院銀行
委員会での証言では、「昨年末の劇的な経済弱化は1月にまでは持ち込ま
れていない」と証言し、 28日には、「その弱化状態は2月には不透明で
ある」との見解を表明したが、「経済はかろうじて不況を回避している状
態で、経済成長率は実質ゼロである」との 見方を示した。 
 同議長はさらに、2日にも下院予算委員会で証言しており、1ヵ月 に
4回の証言をしたことになる。その度に株式市場は変動してきたが、「経
済は不況にはないが、顕著に成長しているわけでもなく、ペースも早いわ
けではない」という議長の中核的メッセージは変わっていない(同日付け
同紙)。 
 しかし、10年続いてきた米国史上最長の景気拡大で最大の功労者と言わ
れてきたグリーンスパン議長への高い信任に陰りが出始めた。それを1番
よく反映しているのが、アメリカの株式市場といえる。株式市場は、今
月20日のFOMC定例会以前、早ければ今週にでも金利の緊急引き下げがある
かもしれないと期待していたが、28日の同議長の発言に多くの投資家は、
「裏切られた」と感じたようだ。
 ワシントン・ポスト(1日付け)は、この状態を「ウォール街は、1990
年代の偉大な雄牛(強気)市場はついに熊(弱気)市場に変わったのか?
という疑念に包まれている」と報じている。それもそのはず、昨春の最高
値から半減しているハイテク株中心のナスダック指数は言うまでもないが
、S&P500やダウ平均も下落傾向にある。FEDによる利下げ観測が最近の株
価を押し上げていたのだが、28日のグリーンスパン議長による議会証言に
対する失望から、株価は下落した。 
 株式市場の予測は非常に難しく危険だが、S&P500 の最高値からの20%
下落や、下落株に対する上昇株の割合が過去2年間で最低レベルにあるこ
となどが大きな懸念材料とされている。「熊市場にいることは疑いない」
と断言するアナリストもいる。多くの市場専門家たちは 年初、「FEDの利
下げによって市場は底をつき回復に向かうだろう」と予測していたが、実
際には1月の2度の利下げにもわずかな反動を示しただけで、株式市場は
相変わらず低迷を続けている。 
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日銀総裁が構造改革の具体策提言 政府に取り組み促す  
 
 日本銀行の速水優総裁は7日、東京都内で講演し、景気回復が一
段と鈍化しているとの見方を示したうえで、日本経済の再生策とし
て金融機関の不良債権の最終処理促進など、「構造改革」の具体策
を提言。政府に早急な取り組みを求めた。また、その結果生じる
企業の倒産や雇用問題には「(日銀が)金融政策面からできる限り
貢献を果たす」と述べ、政府が構造改革を推進することが金融緩和
の条件になることを示唆した。
 日銀総裁が、構造改革の具体例を明確に示すことは極めて異例。
金融政策が手詰まりとなる中で、政治圧力を受け続けてきた日銀が
、動きの鈍い政治に強い注文をつけた格好だ。

 速水総裁は景気の現状について、物価の持続的な下落が企業収益
を圧迫し、景気を後退させる「デフレ・スパイラル」には陥ってい
ない、としたものの、「物価動向はこれまで以上に入念に点検して
いく局面にある」と述べ厳しい認識を示した。

 こうした状況下で金融政策の効果を引き出すため、金融システム
問題の解決をあげた。日銀が金融機関向けの短期金融市場に潤沢に
資金を供給しても、金融機関が不良債権を抱えたままでは、新規の
貸し出しを増やせず、波及効果が限られるためだ。

 速水総裁は「この10年間、金融政策や財政政策をフルに投入し
ても、なお経済の回復が確実なものとならない理由を直視すべきだ
」と述べた。

 同総裁は、不良債権の最終処理の推進策として、経営の思わしく
ない企業は会社を分割して、健全な部門は生かしたまま、不振部門
を別会社にしてその部分だけ清算するなどして償却する方法や、
企業向けの融資(ローン)を市場で売買する貸し出し債権売買市場
の整備を求めた。

 銀行経営者に対しては経営破たんの恐れはないものの不良債権化
する可能性がある「要注意債権」について十分に引き当てを積むこ
とが極めて重要と指摘。その結果、企業の淘汰(とうた)や雇用問
題などマイナスの影響が出た場合は「金融政策面から支える」とし
た。

 また、個人の金融資産を預貯金などから投資へと転換していくこ
とを課題に挙げた。個人資産を証券市場への投資に振り向けること
に成功したドイツの例を引き合いに出し、投資信託の商品性の改善
など、特に家計が安心して、投資できる環境づくりが急務だとした。

 自民党の一部が求めているゼロ金利政策の導入や日銀が長期国債
を買い取る「買い切りオペ」については、構造改革の進展に加え、
「それらを必要とする経済や物価の情勢にあるかどうかが大前提」
と述べ、情勢判断をしたうえで、政策運営を考えていく方針を改め
て強調した。

 あわせて、「追加的な金融緩和」の効果と副作用を分析。長期国
債の買い切りオペは「期待インフレ率が高まるかもしれないが、か
えって長期金利が上昇する可能性も否定できない」と説明、円安誘
導については輸入コストの上昇やアジア経済へのマイナス影響を考
える必要がある、とした。
(3/723:05asahi) 


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