460−1.ゲリラ戦における日本軍の評価



いつもご苦労様です supです

>日本を解放軍として、向かえた国や民族は日本の味方になるはず
です。ゲリラ戦においても優位です。当たり前です。
この議論が始まったのは、ナマステさんからの疑問からです。

この件については、かなり悩みました。
本論から外れるのは十分わかっていましたが
どうしても???という部分が多かったのであえてコメントさせて
いただきました。(???の部分は後に述べる軍政と戦術の話です。)

>マレーシアは、日本に好意的なはずです。しかし、そこでこのよ
うな事件がおきたことをどう解釈するかですか。一般的議論ではダメ
です。

一般的議論をしなくてはいけないと思ったのは、Fさんと私の前提条
件が異なっていたためです。前提条件(背景)がきっちりしたもの
でなければ、様々な事象に対して正しい分析ができないからだと考
えたからです。現場というのは、特異事象しかないといってもいい
でしょう。このようなことを論議する思考過程としては、前提条件
の確認→特異事象の本質→特異事象に対する対応→結果→考察 と
いったような過程が必要になると思います。

>もう1つ、ゲリラ戦というより、軍政がいい所と悪い所があった
事実を無理していませんか??
フィリピンは、米国軍やゲリラが日本軍に隠れて、行動できたよう
ですし、中国も同様です。反対の場合もあるのですから、いい面だ
け、見るのはおかしいでしょうね。

そのとおりだと思います。今回については、その軍政の部分が最も
大事なのです。ところがFさんの論述を見ていると、どうも軍政の
部分と戦術の部分を明確に分けて述べられていないと感じてしまっ
たのです。具体的に言うならば、ゲリラ戦に対して日本軍が不向き
であったという表現をしてしまうとどうしても戦術面の事柄のよう
に受けてしまうからです。この件に関しては、私自身の読解能力の
なさにも起因することではありますが

>日本の太平洋戦争はアジア民族の解放に役立ったと認識していま
すが、だからといって、日本の全軍がすべてよかったという認識に
は抵抗感がある。程度として、全体的レベルは高いとしか言えない
と思うのです。インドシナでは、多くの民衆を餓死させた事実があ
り、戦争の悲劇はあるのですから、日本が全ていいとは言えない。

そのとおりだと私も考えます。極論を言うならばアジア民族解放と
いうのは、所詮太平洋戦争の副次効果でしかないでしょう。そのた
めに太平洋戦争を実施したわけではないのですから

こっからさきは いつものごとくおまけで・・・

>今村軍司令官の統治は、そこの民衆に評判がいいが、その他の
日本軍統治はそれほどでもないと思うが。それと、下士官に日本は
国際法を教えていない。ここにも問題があったと思う。勿論、高級
将校レベルには、教育していたと思うが???

そうなんですよねー そうかんがえてもおかしくないんですよねー
 普通の人ならば、こればっかりは経験しないとわからないですよ
ね(全ての経験が理解につながるとはいえませんが)
軍隊というのは、任務分担がはっきりしています。
兵は実際に行動をし、下士官は行動をさせるため兵を駆り立て、
将校(士官ここらへん陸と海で呼び方が違いますが)は、判断する
というように明確に任務分担がされているのです。
人間の体にたとえるなら、将校は脳 下士官は脊髄 兵は手足とい
ったところでしょうか
つまり、下士官以下には責任が所在しないのです。
何をいいたいかといいますと、下士官は、基本的に独自の基準で動
くことがないということです。
(もちろん、戦闘中将校が戦死した場合は、指揮を継続するために
というのはありますが)
ゲリラにおける国際法問題は、下士官が国際法を知らずに罪を犯し
た場合でも軍隊内での責任はおいません。
そのような指揮をとった将校が処罰の対象になるだけです。
(もちろん、将校が明確な方針を抱いているのに命令違反をした場
合は別問題ですが)
太平洋戦争のときの問題点は、国際法違反にたいして将校は重要な
問題意識をもっていなかったためにこのようなことがおきたという
のが私の見解です。
もちろん、下士官に国際法の教育を受けさせることは、全く効果が
ないとは思いませんが、しないよりはましという程度の問題だと思
います。
 
将校に対する国際法の教育がなされていたかどうかは、私も不勉強
のためわかりません。ただ、国際法がどれほど必要かという部分が
欠けていたのだろうと考えます。
(その辺の意識の差は、日露戦争時と比べればわかると思います。
日露戦争時の日本は、国際法の優等生だったのですから)

最後におまけのおまけです。
こっから先は、今までよりも感情的な話になりますので聞き流して
ください。個人的に、太平洋戦争時代の将校嫌いです。(もちろん
例外の方もいますが)
あの人たちは、プロの軍人というのもおこがまし方々ばっかりです。
2正面作戦は、平気でする。戦力の分散も何も考えずにする。
等々挙げればきりがありません。
これが私の基本姿勢でありますので、旧軍弁護はというわけではあ
りませんのでご理解ください。 おねがいします。
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Yoichi
マレーシアの件についてお答えしてくださった皆様、どうもありが
とうございました。
機関銃やその他の武器で遠くの人を撃つ瞬間くらいは自分の心をだ
まらせて置くことはできるかもしれませんが、間近にいる人の首を
切り落とすことは、私としては平時には考えることすらできないこ
とです(kishizukaさん、私は欧米と比較したわけではなく、ただ
驚いたのです)。
当時の日本兵の方々も、今よりもずっと遠い異国でずいぶんと追い
詰められてしまっていたのですね。
戦争は本当に悲惨ですね。

書いている途中に最近ふと思った疑問を思い出しましたのでここで
また質問させてください(脈絡がなくてすいません)。
以前、テレビ(報道番組?)で日本の軍事力はアジア・極東でダン
トツの一位であるという話をしていました。
陸・海・空軍の所有している戦隊を比較しての話でしたが核兵器や
、無人の兵器(長距離弾道弾など)は含まれてはいないようでした
が。
比較対象の国にはロシアや中国も含まれていましたがその軍事力は
日本に比べると相当低いものでした(実際に戦闘可能な潜水艦数や
最新鋭戦闘機の機数、戦艦数など)。
総合的軍事力については詳しくは分からないのですがここで疑問が
わきました。
番組の内容に誤りがなければ日本は中国・ロシアに軍事面でも遜色
がないことになるのですが世界の流れの決定権の強さではそれらの
国にずいぶんと遅れをとっており相当な益を逃しているように感じ
ます。
これはやはり外交の下手さ加減からくるものなのでしょうか。
それとも情報網が貧弱なせいでしょうか。
軍事力の拡充は可能(軍事費は世界第二位だとか)なのに情報収集
能力を今より少しでも上げるということはできないものでしょうか。
日本の世界貢献も日本の世界情勢の決定権にもう少し強力に作用し
てもよさそうなものなのだと感じるのですが、、、
冷戦時代のソ連ほどの影響力は望めないかもしれませんが今の影響
力は弱すぎるように感じます。
日本が戦争に巻き込まれないようにするためには、火種になりそう
なものにさっさと水をかけるか、湿らせておく必要があると思うの
です。

このコラムは本当に面白いです(←よい言葉が思いつきませんでし
た)。大変な忙しさだと思いますがFさん、これからもがんばってく
ださい。
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(Fのコメント)
通常兵器のレベルで比べると、中国や極東ロシアの兵器はたいした
ことはない。特にソ連崩壊後の太平洋艦隊は見る影も無い凋落ぶり
です。巡洋艦2隻しか稼動できない状況です。日本の脅威として、
認識できません。中国の空軍より、台湾の空軍の方が最新機が多く
、台湾の方が勝つでしょうね。よって、日本の脅威は、ロケットと
日本のシーラインでしょうね。SS20とか東風とか、この対抗手
段として、TMDが出てきたのです。純粋なロケット防衛です。
これに対して、中国は反対しています。ロケットが無効化するため
ですね。日本はTMDを勧めるべきでしょうね。ロケットが無効化
するためにです。

もう1つのシーラインですが、南砂諸島に中国の基地ができて、
この近くを日本のタンカーが通るのです。それと、中国海軍の増強
は、近年急ピッチです。そして、日本の防衛ラインを日本政府は、
日本近海と定義しているため、遠洋での行動を想定していないよう
なのです。補給などの体制がないのですから、いくらイージス艦を
持っていても、宝の持ち腐れですね。空母もないですしね。

中国シンパは、またもTMDを批判しています。TMDは攻撃的な
兵器ではないのですから、日本の防衛力が向上します。
私は、レーザー兵器を米国と共同開発することも、必要だと思うの
ですが、どうであろうか??
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453−1の読者の声で         ふる@鶴川 
 
supさん、ゲリラと占領下の住民の抵抗活動(欧州でのパルチザ
ンに相当)を混同すると、第三者に話が伝わりません。 
以前、この国際戦略コラムにも書きましたが、「ゲリラ」は正規軍
の戦闘を補助する不正規戦部隊です。ゲリラは戦争の一形態で戦争
法の適用対象となりますから、ゲリラ活動で捕まれば国際法で捕虜
の取り扱いを受けます。 
 しかし、そのためには少なくとも正規軍と同じ軍服ないしは敵軍
の部隊であることが明確に判る衣服を着て行動しませんと、ゲリラ
とはみなされず。テロ活動として極刑を受けます。 
 英軍のSASや米軍のシールズの特殊部隊が、湾岸戦争の際、
イラク領内に潜入して、偵察・スカッドミサイルの破壊などを行う
のは「ゲリラ活動」です。従って、捕虜になっても、国際法に基づ
き一応処刑されないはずです。 
 北朝鮮の特殊部隊が、日本に潜入して破壊活動を行った場合、
戦争状態でなければ、例え命令であってもテロ行為です。 

>異国でのゲリラ戦は、特に農村部に潜伏したゲリラを殲滅しよう
とすると、そこの住民全員を抹殺するしか方法がないと思います。 
 これは、戦闘部隊が住民と同じ格好でいるからですね。占領下の
住民は占領軍の指示に従う限り保護を受けますが、抵抗運動を行う
ことは国際法での保護対象となっていません。従って、占領軍にと
ってはテロ活動ですから、テロ活動を行った者は刑法犯となるので
軍法会議などで極刑が主です。 

 ベトナム戦争でも北ベトナム軍の兵士は捕虜になりますが、ベト
コンは南ベトナム軍によって処刑されていました。 
 このように違いがはっきりしないと、supさんのおっしゃりた
いことがはっきりしません。 

 旧日本軍の場合、戦争末期には貧弱な補給体系のために食料の現
地調達を行ったため、当初友好的だった民衆ですら憎しみをかいま
した。それと、撤退した連合国の宣撫工作以上の力が持てなかった
ために、連合国側の占領下の民衆の抵抗運動に悩まされました。 
 何も旧日本軍に限らず、一端住民が抵抗運動を活発化となると、
なかなか鎮圧することは、どの国の軍隊でも押さえることができま
せん。その活発化となる元があるからです。そのため、占領下の
住民に叛乱の気力を失わせるほど過酷なまでの弾圧・粛正をおこな
うか、占領地において少数民族に多数民族を支配させて占領の憎し
みをそらさる政策を行って、抵抗活動を根本から押さえない限り力
による押さえ込みは限界があります。 

> 日本軍ほど対ゲリラ戦に長けていた軍は存在しない 
 旧日本軍の評価としては、ゲリラ戦にも抵抗運動にも「長けてい
ない」が一般的な評価です。どんな事例・事件を元にして言われて
いるのか、根拠を示していただくと判り易いのですが。 
今村軍司令官の統治は、彼の軍政が抜きん出て良かったからですし
、インドネシアで比較的にうまく軍政がいっていたのは、オランダ
人による奴隷のような扱いから解放した面と、インドネシア独立を
餌にした宣撫工作の成功ですので、軍事行動とは別です。 
 そもそも、日本軍が対ゲリラ戦に長けているのなら、中国で八路
軍(共産党)に悩まされることはなく、早期に紛争は解決していた
でしょう。 


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