449−1.「顔の見えない国」



白鳥
人は他人のことはよく見えるが、自分のことは案外見えないもので
ある。
そういう意味では、外国人のほうが日本人よりも、日本という国を
よく理解していると言われても一概に否定はできない。

 諸外国からは、日本は「顔の見えない国」と言われている。なぜ
そのように言われるのかといえば、責任を追及しても、その責任の
所在が何処なのか最後まで分からないということがままあるからで
ある。そしてこの傾向は、大きな組織ほど大きく、従って、中央の
行政府官庁が一番この傾向がはなはだしいということになる。

 一般的には、私たちは責任をとりたがらない人に、仕事を任せた
りはしないものだ。ところが現在、私たちは一番責任をとりたがら
ない人々に、一番大きな仕事を任せているという間違いを犯してい
る。一番責任をとりたがらない人々というのは、ご存知の通りお役
人といわれる人たちだ。高級といわれる官僚とその下で働く一群の
人々は決して責任はとりたがらない。それはなぜかと言えば、彼ら
はアタマがいいからである。アタマがいい人というのは、慎重なも
のだ。アタマが悪い人というのは慎重ではないから、すぐにミスを
冒し、責任を背負い込まされ損をする。アタマのいい人は、自分が
損になるようなことは決してしない。従って大きなミスが発覚して
も自分に責任があるとは、口が裂けても言わない。

 組織というものは一般的には、大きくなればなるほど、公務員の
ような組織になって行く。いわゆる大企業病というやつだ。官僚体
質主義病と言い換えてもよいかもしれない。組織がこうなってしま
うと、組織の中に風が吹かなくなり、空気が淀みだす。空気が淀み
出せば、組織という体の細胞に酸素が円滑に巡らなくなり、一つ一
つの細胞が弱くなり、組織が全体として活性化しなくなり、組織の
老齢化現象が始まる。そしてその後は、人間の体と一緒でゆっくり
と死に向かって崩壊の道を辿ることになる。恐竜が絶滅したのも、
体が大きくなりすぎてエサが無くなったからではないかと私は私な
りに推測している。

 もともと責任がとれない者に仕事を与えるというのは、明らかに
間違っているのだ。だから時代が変わったにも係わらず、一国のリ
ーダーたるべき人びとを昔と同じ発想で採用し、今のような官僚た
ちに大きな仕事を与えてしまっているのが、そもそもの大きな間違
いなのだ。
 ひとは誰でも、顔の見えない人と一緒に仕事をしたいとは思わな
いし、ましてや契約書を交わしたいとは思わない。諸外国が現在日
本と付き合ってくれているのは、ただ単に日本が「お金を持ってい
る」からなのではないだろうか。成金と付き合いたがる人は、成金
の性格をよく知っている。ちょっと脅すかおだてれば金を出すこと
を知っている。子供をだましてお金を取るのは簡単である。成金と
いうのは金の使い方を知らないものだ。日本人の旅行ツアーが来る
と分かると値札を付け替えるのも知らず「安い、安い」と目を輝か
せて買い物に打ち興じる成金たちを見るアジアの人たちの思いとま
なざしを想像する想像力は今の日本人にはない。今の日本人はそれ
ほど苦労をしてはいないのだ。世界を巡れば、今日一日食うために
必死で働いている人々も大勢いるのだ。今の日本人は苦労をしてい
ると自分たちで勝手に思っているだけで、本当の苦労をしていると
は私には思えない。所詮、飽食の中の苦労というのは贅沢苦労だ。
今日一日のパンを求める苦労というものを今の日本人は忘れてしま
っている。
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国際戦略コラム愛読者一同様   白鳥
言より「行動」
私の活動にご協力を     
 (PSIUの活動)
         タレン党結成
    大地塾 
    その他
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shiratori_chu@hkg.odn.ne.jp


言葉の積み木遊びは止めにして「行動」を起こそう!
自分が責任を持てることのみを論議し、責任を果たすための「行動」
をしよう。

新しい時代の文化国家を子供たちのために
強い文化は強い人間を作る。
強い文化は「伝統」に根ざしている。伝統なき文化を「軽薄文化」と
いう。
伝統とは「心」なり。親が子に、師が弟子に託す「心」であり、子が
親を弟子が師を尊び慕う「心」である。
「心」は言葉で現そうとすれば軽くなる。心は本来「行動」と「態度
」で示すもの。
ごく近未来に日本が沈むという予言が当たるか当たらないかを論議し
てもしょうがない。明日死でも本望という生き方が人を強くする。
明日死ぬと分かったら、自分はどういう「行動」を起こすのか。それ
でも言葉遊びをやるのか。死ぬ瞬間に高らかに笑って死ぬのか、地団
太踏んでもがき苦しんで死ぬのか。よーく考えてみよう。
今、最もなさねばならないことをもう一度立ち止まって考えて欲しい。

白鳥 宙


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