440−1.国際戦略の評価はいかに



Kazuo
436−1.国際戦略の考え方2に対して
 (Fのコメント)
>日本の実力を過小評価する人たちが多いが、日本からアジアに移転
>した工場の総生産額は、中国一国分のGDPより多いのではないで
>しょうか??日本企業の実力は、いまでも大きいのです。米国の電気
>機器の店に行くと分かるが、ほとんど日本製です。日本にいると分
>からない。カリフォリニア州ではトヨタ(レクサス)とホンダ車が
>多いし、存在感がある。日本は、軍隊が海外派兵するわけではない
>ため、ニューズになりにくいので、見えないだけです。
> 
>文化面でも、日本料理店がオープンしたことがニュースにならない
>ため、見えないが、どこにでもある存在になった。特許等のパテント
>の輸入・輸出では、日本は断然輸出が2倍多いことになっている。
>これも、報道されていない。日本の経済実力は見えないように、さ
>れているのです。
>
>米国の報道を見ていると、日本の悪い・おかしい面だけが強調され
>ていることが多い。非常な意図を感じてしまうのです。
>
>日本人を感じるのは、私も米国にいるときですが、日本人特有の感
>じ方、宗教感覚を自覚する時がある。日本は明示的宗教ではなく、
>暗示的宗教民族ではないかと思う。この面は、得丸さんあたりが、
>論じて欲しいですね。
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上記においてFさんはGDPという概念の意味をお理解されており
ますか???
GDP(国内総生産)とは、ある一定期間に国内において生産され
たすべての財・サービスの付加価値の合計額を意味します。

『日本の実力を過小評価する人たちが多いが、日本からアジアに移
転した工場の総生産額は、中国一国分のGDPより多いのではない
でしょうか??』とありますが、日本からアジアに移転した工場の
総生産額は、確かに中国1国分のGDPよりも多いいかもしれませ
んが、アジアで生産された商品の総額は日本のGDPには含まれま
せん。つまり日本人の所得にはなりません。

「米国の電気機器の店に行くと分かるが、ほとんど日本製です。
日本にいると分かない。カリフォリニア州ではトヨタ(レクサス)
とホンダ車が多いし、存在感がある。」
とありますが、それは「日本にその発生を由来する企業」の製品で
ありますが、それは米国製やシンガポール、タイ、マレーシア製で
はないですか。
議論のすり替えをしてはいませんか。

米国でみた電気製品、例えば、松下のビデオデッキやアイワのコン
ポ、自動車、トヨタ(レクサス)とホンダ車(アコード)など日本
ではない国で生産されて米国で販売されていれば、それはそれぞれ
の財が生産された国におけるGDPにカウントされ、その国に住む
人々の所得になります。日本のGDPにはカウントされず、日本人
の所得にはなりません。

例えば、トヨタ(レクサス)米国製、ホンダ(アコード)米国製、
松下(ビデオデッキ)マレーシア製、アイワ(コンポ)シンガポー
ル製など、多くは「日本にその発生の由来する企業」の製品であり
ますが、日本で製造された製品を米国で販売しているわけではあり
ません。
もちろん日本で製造され輸出される自動車、DVDデッキなどたく
さんありますが、「日本にその発生を由来する企業」が米国で販売
している製品は日本で製造され輸出された製品より多くの製品を日
本以外の国にて製造しています。
その事情は日本国内にても拡大してきています。

確かに日本に発生を由来する企業の存在感は大きく、その実力を私
は認めています。
しかし、「日本にその発生を由来する企業」の実力が日本の国力、
GDPとイコールではありません。したがって「日本にその発生を
由来する企業」がどんどん外国にその生産拠点を移して、日本で物
を造らなくなれば、日本の生活者の仕事がなくなり、失業者が増え
、GDPは低下し、国力も低下することになります。

ですから、日本の企業という時は、注意が必要です。
日本の企業という時文字どおり意味するのは、日本で財を生産し、
輸出して外国で販売するか、国内で販売する企業を意味します。
外国で財を生産し販売する「日本にその発生を由来する企業」とい
う意味ではありません。だから外国の企業であれ、日本で財・サー
ビスを生産し、日本で販売したり、輸出したりして販売すれば、
日本のGDPにカウントされ日本の所得増になるのです。
例えば、IBMが日本でノートパソコンを生産し、それを米国や
日本で販売すれば、日本の所得の増加となるのです。

GDPの概念と「日本にその発生を由来する企業」の意味をお理解
された上で、私の希望をお読みなると意味がお解りになると思いま
す。

コスト競争力維持などの理由から生産拠点を海外に移す企業が増え
れば、日本人の職が減り、所得が減ってGDPが低下します。
また、英語など外国語が堪能であって優秀な日本人が、「日本にそ
の発生を由来する企業」が海外に拠点を作るごとにその海外の拠点
にて仕事をしたり、「米国にその発生を由来する企業」など「日本
にその発生を由来する企業」ではない他で、なおかつ米国など日本
以外の国にて職を見つける日本人が増えてきています。
そういった動きが加速すればする程日本という国の国力が低下しま
す。

なお、ご友人や執筆者の方で経済学部や商学部にて経済学を学び
理解している人に伺うか、ご自分でマクロ経済学の入門書(注1)
を読み確認の上もう一度本文を読んで御理解していただいて、
当MLを全文MMに掲載した上にて訂正をお願いいたします。

もしもご反論がおありになるようなことがあるのであれば、MLに
て御反論おうけいたします。
KAZUO
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(注1)書店で買える代表的なマクロ経済学入門書
N・グレゴリー・マンキュー著、足立英之他訳『マクロ経済学』
東洋経済新報社
中谷巌著『入門マクロ経済学』日本評論社
吉川洋著『現代経済学入門マクロ経済学』岩波書店
浅子和美、加納悟、倉澤資成著『新世社経済学ライブラリー3マク
ロ経済学』新世社
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(Fのコメント)
kazuoさん、ありがとうございます。しかし、ご指摘のことは、この
コラムの各所で指摘していることです。過去の経済系記事をみてい
ただけますか。国際戦略としてみる場合は、拡大日本をどう進める
かを議論したいと思っています。あまり、細かい議論をしていませ
ん。比較に中国のGDPを出したまでです。

それより、国内での製造費では、到底中国には、かなわない事実が
あります。戦略構築は事実を基盤とするしかないのではないですか
??希望を優先すると、第二次大戦前夜の日本の状況と同じになり
ます。現時点の日本の評論家と同じです。日本の今後の行くべき
リーズナブルな姿を提示できていない。提示している今後の姿には
どこかにムリがある。ばら色過ぎたり、悲観過ぎであったりします。
このような現状があるため、日本の問題点の指摘しかしないような
雰囲気が評論家の間にできています。これが一番まずい。

どうすればいいかを議論するべきだと思います。日本は世界の経済
大国であり、輸入を止めることはできません。保護貿易化は自分の
首を締めるようなものです。勿論、工場の流出も止めることができ
ません。もし、止めると日本企業の力を弱めることになり、最悪は
倒産につながるからです。
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/kak1/120413.htm

それでは、今日本で採算の合う工場とは何かでしょうね。
残念ながら、アセンブリの製造業はすべてムリです。人件費コスト
があまりにも違いすぎます。製品に占める人件費コストが小さいも
のしか日本でできないようになっているのです。それより、中国の
日系工場を見たことがありますか??
ここの品質管理担当者、工場長等のキー・パーソンは全て日本人で
すよ。これと同じ事態が世界にあるのです。拡大日本ですね。この
人たちの給与は日本国内の給与と同じか高い。中国人の同ランクの
人の3倍以上、最高12倍以上もらっているのです。日本人は豊か
ですね。世界に出ても。これは、T君の上海事情をお読みください
。脇に逸れた。
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/1211111.htm

日本工場で可能なものは、大量生産が利き、かつ人が必要ないよう
なものになっている。この基準に合うのか部品類です。コンデンサ
や半導体などや、同一規格でいいバッテリーや電池などでしょうね。
アセンブルラインは、日本消費分しか生産できないと思う。それも
難しい状況になっている。このため、フリーターが大量に出てきた
のです。企業もこのフリーターをサービス産業に雇用するしかない
のです。このため、地方の工場ではなく、大都市に雇用を確保する
ことになるのです。貧冨の差拡大です。これも、コラムがあります。
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/kak2/1208072.htm
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/kak2/1208181.htm

もう1つが、研究開発です。日本の工場は実験施設をも兼ね備えて
いる。日本の工場は現在、ガラーンとしている。人がいない。生産
はすべて、アジアや中国などの諸外国に移転しているためであるが
、日本にも工場がある。これは、次世代の人の教育と研究、それと、
新製品の生産ライン構築のためで、当初の生産を日本で行って、
ラインの不具合を改良するようだ。ラインの構造ができると、その
まま海外に移転させるのです。

今後、日本の産業が復活するためには、日本でITと同じようなボ
リュームのある分野を根こそぎ研究開発し、世界に提供する必要が
あるのです。たとえば、ゲーム機器のようにです。このような分野
の1つとして、エネルギー(分散電源)があるのではないでしょう
か??

このため、YSさんを中心に電源系の動向を研究しているのです。
環境問題も解決策が出れば、この分野も大きいことになるのです。
需要創造が重要なのです。ムリして、コストが嵩む工場を日本に置
いておく必要はないようにするべきでしょう。

それよりは、より人件費コストの安い地域に、日本企業が工場を
移転できる環境をODA等で整備することが重要なのです。これは
その地域の安定にも寄与することですから、それが日本の役割なの
です。日本は世界が平和であることが重要なのです。この平和を
定着させるのが日本の役割なのです。平和を作るのは米国等の欧米
諸国に任せた方がいいようです。彼らは、暴力装置を使うのが好き
ですから。それと、その暴力装置を作る軍事産業をムリして日本が
行う必要はないでしょう。軍事は任せましょう。日本があまり強く
なるのは、米国は望まないためです。防衛の自立は必要ですが。

KAZUOさん、経済学者たちと話すと産業の現場を知らな過ぎですよ。
マクロの議論はそれなりに重要ですが、最後は現場に立脚した議論
をする必要があります。どうも、GDPのことばだけを細かく議論
するのは、良くないと思います。それは、学会でやってください。
このコラムは経済学の研究者のコラムではないのですから。
日本はどうするべきかを議論しましょう。マクロ・ミクロ経済学は
多くの本を読みましたが、小室さんの本が一番分かりやすいと思い
ますが。学者になるのでなければ。

その他、参考のなるコラムです。
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/kak2/1209081.htm
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/1301021.htm


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