437−2.得丸コラム



得丸@財団法人環日本海環境協力センターです。

今年の冬の東京は、週末に雪が降り積もる。1月の日曜日だけで、
朝3回も雪掻きに参加した。
私の住んでいるマンションは、完成して2年足らず、昨年は幸いに
して積雪がなかったので雪掻きをするのは今年が初めてだ。

全部で44戸の管理組合は、1年2ヶ月前の最初の総会のときに、
用意周到に雪掻き対策を論じた。「雪掻きが大変だから、一戸建て
を売ってマンションに引っ越してきた」という老夫婦もいたし、「
管理費を払っているのだから、業者にやらせればいい」という意見
もあったが、「このマンションから大きな通りまで雪掻きしないと、
困るのは私たちだ」、 「大雪のときは東京中で雪掻きが必要とな
るので人をあてにすることはできない。自分たちでできる限りのこ
とをやっておくべきだ」という意見に大勢が流れ、総会では雪掻き
ショベルを4本追加で購入することが議決され、また若手が自主的
に雪掻き作業に出ようという話になった。

総会で期待した通り、雪が積もった朝は、管理組合の理事長さんを
始めとして、ボランティアで参加する若手住民が汗を流すという構
図になっている。裏と横の公道約100mと、敷地内の駐車場と自
転車置き場が対象であり、5ー6人がかりで2時間で片付いた。
近所に先駆けて、うちのマンションの周りだけ雪が片付くのを見る
のは、なかなか楽しいものだ。

先々週は、「おたくのマンションはよく雪掻きしていて感心だ」と
近所の方に言われたと理事長さんがうれしそうだった。先週も、別
の近所の方が寄ってきて、昔話や世間話をしてくれた。

 「ご苦労さま」というので、「雪掻きが不十分だったがために、
うちのマンションの前で転んだ人が、管理組合を相手に訴訟でも起
こしてきたら困りますから」と答えたら、「あそこに住んでいる弁
護士は悪徳でねえ」という話をしてくれた。
私は、近所に弁護士が住んでいるのは知っていたが、その人が悪徳
弁護士なのか良心の弁護士なのか知らなかったから、貴重なご意見
を頂いたことになる。

( これから日本で弁護士が増えてアメリカみたいに本来法廷で争
わなくてもいいものまで争うようになったらいやだなあ。原告も被
告も疲れ果てて弁護士だけが潤うなんてとんでもない社会だ。日本
人ももはやそこまで良識を失ってしまったかなあ、心配だなあ、と
自問した。)

週を追うごとに参加者が増えており、マンション内や地域のコミュ
ニケーション向上にも役立つので、雪掻きを楽しいと思いながらや
っている。

この話を、富山の論語の勉強会仲間に話すと、「富山では2,3年
前から、ブルドーザーの前面の形をしたプラスチックの板に、柄の
ついた雪掻き器が売られていて、これがあるとものすごく楽に雪掻
きができるんだ。買って東京に送ってあげると喜ばれますよ」と教
えてくれた。

その説明には心がこもっており、ものすごく説得力があったので、
ぜひとも買わなくてはという気持ちになったのだった。ちょうどア
ルミのショベルがアスファルトのせいで傷んできたので、雪掻き具
を買い足す必要があると理事長が言ってたことを思い出した。

さっそく、東京にいる妻に頼んで、管理組合の理事長に、「予算1
万円以内で、5本くらい買うこと」を検討してもらった。その許可
が一昨日下りて、なんでも揃う山田雑貨店にさっそく注文したら翌
日ものが届いたと連絡があった。

(民主主義とは、手続きをきちんと踏むことである。このような場
合に、理事長または理事会に、購入の可否の伺いをあらかじめ立て
ると、極めてスムーズにことがすすむ)

NYスノープレッシャーという商品名だった。話の通り、ブルドー
ザーの先端の押し板の形をしたプラスチック板(約20cmx40
cm)に、柄をさしこんで使う。
1本1300円、6本でひと箱で輸送も楽だというので、6本買う。
かなり大きな箱だったので、着払いで東京に配送してもらうことに
した。

これがマンションに配備されれば、きっと話題を呼ぶに違いない。
ますます雪掻きに参加する人が増えるかなと期待している。

スノープレッシャーにご興味のある方のために、山田雑貨店の連絡
先を下記します。雪掻き具は、雪の降る前に買っておく必要があり
ます。

お問い合わせ:
商品名 「NYスノープレッシャー」
価格  1本1300円、6本7800円税別、送料実費
山田雑貨店 
930−0007 富山市宝町2−3−6
電話;076−432−7282
FAX:076−432−7203
==============================
> そうした折も折り、わが国際戦略コラムでは若き思想家得丸氏が
> 論語を説き、儒に戻れという投稿を続けている。意気まことに盛ん
> で、ボクのような大正生まれにとっては、亡霊が帰ってきたような
> 、それでいて拍手喝采したいような心境でもある。
>
> ただ気になるのは、論語で説く孔子の教えが、総てみな現在にも当
> てはまる立派なものであるかどうかだ。たとえば前に触れた「比孔
> 比林」などの中国政府のかってのスローガンは、なぜしゅったつし
> 、なぜその必要性があったのだろうか。
>
> あるいは、ボクなどが大きく間違っていないと思う「教育勅語」が
> いまだに廃されたままになっているのは、いったいどの部分が不適
> 切だからか。 

> そうしたことを考え合わせると、得丸氏の仰せの論語や吉田松陰に
> は、すぐ従うわけにもゆかぬような気がする。

得丸です、言及いただき恐縮です。

Kenさんの疑問は「論語はどうして中国で批判されなくてはならなか
ったのか」(実際のところ今もなおきちんと再評価されてはいないよ
うだ)、「教育勅語はどうして廃されたままなのか」という点ですね。

結論を先にいうと、みんな、思想とは何かを知らないのだと思います。
また、論語に何が書いてあるのかについてもあまりに無知です。だか
ら、論語のすばらしさを理解できない。

実際にBBSで論語のことを書いても、若い人(50代以下?)の反応
は今ひとつというより全然ダメです。

おそらくみんな本を読まないし、漢字もあまり得意でないので、論語
を手に取ることすらしていないのだと思います。だから、実際に何
を書いているのか、知らない。

それに社会全体が、あまりに論語と縁遠くなってしまっているので、
自然と論語に触れることもなくなってきた。昔のテレビの時代劇で
は、かならずといっていいほど、街では夜になると子供たちが論語
の素読をしている声が効果音に混じって使われていたように記憶す
るのですが。

論語は自分の心を正すこと、まっすぐにすること、そして相手を思
いやることが基本なのですが、一番論語が理解されない理由は、
このように自分の心をコントロールする思想があまりに少ないため
に、人々に理解されないのではないでしょうか。

みんな思想というものを、紙に書いた言葉として捉え、それが客観的
に正しいかどうか、当たっているかどうか、と考えます。ファッシ
ョンのように思想を捉えているといえばいいでしょうか。新しい概念
やカッコイイ言葉に酔ってしまってその言葉を唱えるだけで思想活動
している気分になっている人もいるでしょう。

実は思想とはそんな着飾るためのものではなく、自分自身の意識を
形成するものなのです。自分がどのように感じ、考え、振る舞い、
行動するかを規定するプログラムなのです。

思想とは、自分の外にあるものではなく、自分の中に構築するもの
なのです。たとえていえば、パソコンにとっては、プログラムソフ
トウエアにあたります。

パソコンショップに行けば、いろいろなソフトウエアを売っていま
すね。パッケージ、内容の説明、マニュアル、そしてプログラムの
入っている媒体がセットになって、陳列棚に並んでいる。多くの人
は、それらを見て、ソフトウエアとは何かを議論してきたようなも
のです。

でも大切なことは、その陳列棚から、もっとも自分というハードウ
エアに適したソフトウエアを選び取って、きちんと機能するように
、注意深く、インストールして、チューニングすることではないで
しょうか。そうしなければ、どんなすばらしいソフトウエアも、
まったく機能しません。

人間がインストールする場合に、もっともインストールに適した
思想として孔子や孟子の思想があります。これらの思想は、万人が
インストールすることが好ましいけれども、わずか一人でもそれを
インストールして実践するだけで社会は明らかによくなります。

礼と礼が接すると和が生まれ、仁の心で接すると相手の心を打ち、
新たに仁の種がまかれます。これを地道に続けていけばいいのです。
それだけです。

西洋の思想である自由主義をみんながインストールしてしまうと、
お互いに勝手なことを主張して、戦いが始まります。平等主義を
形式的にあてはめると、人間の個性がつぶされ人々はやる気や意欲
を失います。これらの思想を万人にインストールしてしまうと社会
は混乱します。資本主義や社会主義が内在している問題は、これら
の思想的欠陥に多くよっています。

こういったことは、どうすれば皆さんに伝わるかなと、ずっと悩ん
でいます。

直接会うことのできないインターネットを通じてのコミュニケーシ
ョンでは、まあとりあえず皆さん、だまされたと思って「論語」
(岩波現代文庫、宮崎市定現代語訳が一番おすすめ)、「孟子」、
吉田松陰「講孟冊記」(講談社学術文庫)を読んでみてください、
としかいえません。

読んでみて思ったこと浮かんだ疑問をなんでもいいから、BBSで
ぶつけてください。できるかぎりお答えしますので。
(2001.02.07)

コラム目次に戻る
トップページに戻る