YS/2001.02.04 ■ブッシュ政権のよみかた 昨年6月19日、竹下登元首相の通夜にジェイムス・ベイカー元国務 長官の姿があった。しかし通夜に出るための来日ではなかった。訃報 (ふほう)に接したのは、日本に向かう飛行機のなかであった。来日の 目的は、米民間投資会社カーライル・グループの東京事務所のお披露目 パーティー出席だった。 ベーカー元国務長官は同グループの上席顧問を務めている。そしてこ のパーティーにはブッシュ前米大統領も姿を見せた。 ブッシュ政権を知る上でエンロンと並ぶもうひとつキーワードがこの カーライル・グループである。 カーライル・グループは日本でも今年3月をメドに企業買収やベンチ ャー投資のために500億から750億円の買収資金を調達する計画を 発表している。現在カーライル・グループの会長はフランク・C・カー ルッチ氏で、レーガン政権で国防長官を務めていた人物である。チェイ ニー副大統領やロバート・モスバッカー元商務長官、ブッシュ家のニー ル、マービンもクウェート石油事業でカーライルに雇われたことがある。 エンロンとも関係が深く、エンロンのケネス・レイ会長、チェイニー副 大統領、べ−カー元国務長官、そしてハント石油のレイ・ハント会長を 結び付けている。 今後日本でのカーライル・グループの動向に注目しよう。 ■ブッシュ政権の環境戦略 さてブッシュ新政権は、今のところ環境には優しくないようだ。1月 29日にはエネルギー政策閣僚会議を招集し、議長にチェイニー副大統 領を指名した。カリフォルニア州の電力危機のような事態が発生するの を防ぐため発電所の増設が必要だとして、クリントン時代の大気汚染な どに関連した環境規制の緩和を検討する。同時に、アラスカの自然保護 地域で原油や天然ガス開発を解禁にも乗り出すようだ。 今年のダボス会議でもブッシュ新政権の環境政策に対する疑問が強く 出された。「地球温暖化対策はクリントン前政権より後退する」という 見方が広がる。また、環境問題の分科会でも参加者から「ブッシュ政権 は経済活動を優先して環境対策を後回しにするのではないか」という意 見が多く出たようだ。 こうしたなか、2月1日に「メタンハイドレート」に関するニュース が飛び込んできた。未来の有力なエネルギー資源となる可能性が指摘さ れているメタンハイドレートの実用化研究で、2002年1月から、カ ナダで世界初の天然ガス生産テストを始める、と発表した。テストは日 本、カナダ、米国、ドイツの国際共同プロジェクトで、深さ約1200 メートルの永久凍土の掘削を主導する。 深海の地中に眠るメタンハイドレートは低温、高圧の環境でメタンガ スと水が結合して固体になったもので、日本近海のメタンハイドレート の埋蔵量は燃料に換算して天然ガス約100年分とされ、採掘できれば 21世紀の夢の資源になると期待されている。 最近の温暖化議論でもにわかにこのメタンハイドレートに注目が集ま っている。現在ヨーロッパ沖のメタンハイドレートが、水温上昇によっ て爆発寸前となっているが、爆発すると莫大な量の温暖化ガスが大気中 に放出されることになる。 残念ながら日本に掘削技術を求めるには無理がある。やはりハリウッ ド映画さながらに全世界が固唾を飲んで見守る中、チェイニー副大統領 がハリバ−トンのヘルメットをかぶり深海に挑む映像が浮かんでくる。 果たして心臓は大丈夫だろうか? その資金を支えるのはワールドウォッチ研究所と同じロックフェラー ・ブラザーズ・ファンドかあるいはロックフェラー財団かもしれない。 ここにアメリカの本質がある。 その時期は白金相場を見ているとわかる。現在の燃料電池の技術では 1キロワット当たり1グラムの白金を要し、自動車の出力には約50グ ラムの白金が必要となる。これがコスト高の原因となり、実用化にむけ た最大の課題となっている。最近、日本電池が必要な白金量を10分の 1に減らす技術を開発したとの情報も入ってきているが、今後の技術開 発で白金使用量を大幅に減らすことが燃料電池普及に欠かせない条件と なっている。 □参考引用 週刊「エコノミスト」2000/9/12号 奥村皓一 地域独占を崩す電力自由化の大波 「選択」2000年9月号・12月号・2001年1月号 日本経済新聞、共同通信、時事通信、毎日新聞、朝日新聞、 東奥日報、海外メディア多数、海外企業サイト多数 経済産業省 http://www.meti.go.jp ============================== 一日撤回。今の日本を象徴していますね。 YS 2001/02/09 22:48 New こんなことしてたらいつまでたっても何も変わらない。 しがらみが多いのはわかるけどもう子供じゃないんだから。 しかしこの記事もよく読むと最高に面白いですね。 どんな仕組で動いているかよくわかります。 日本企業の経営姿勢がにじみ出ていますね。 原発は建設凍結の対象外 東電、1日で方針撤回 (共同) 東京電力の南直哉社長は9日記者会見し、「(青森県や福島県の 原発)4基は計画通りに進めたい」と述べ、原発は発電所建設凍結 の対象外とすることを明言した。東電は前日、種市健副社長が原発 を含めて発電所建設を原則3−5年凍結することを発表していたが 、政府や関係自治体の強い反発を受けて1日にして原発の取り扱い 方針の撤回を余儀なくされたとみられる。東電が方針変更に踏み切 った最大の要因は原発銀座のひとつである福島県の反応だった。韓 国のソウル出張中の佐藤栄佐久知事が4月にも予定している福島第 1原発3号機へのウランとプルトニウムの混合酸化物(MOX)燃 料の導入に対して否定的な考えを示した。 ============================== 燃料電池をめぐる世界再編成 最新ニュース(どうやら節目ですね ) YS 2001/02/08 19:29 新規発電所3−5年凍結 東電、電力需要伸び悩みで (共同) 東京電力は8日、電力需要が伸び悩んでいることから発電所の新 設計画を原則3−5年凍結する、と発表した。原発も対象とするが 、二酸化炭素(CO2)の削減など環境対策面で重要なことから取 り扱いを慎重に検討する。3月下旬に公表する供給計画で具体的に 決定する。2001−03年度の単年度平均の設備投資額は1兆円 弱まで抑制する。東電の設備投資が1兆円を下回るのは1979年 度以来、22年ぶり。 ローソンが店舗に発電設備、光熱費3割減狙う(日経) ローソンは三菱商事、三菱電機、東京ガスと組んで、小型高効率 の自家発電設備であるマイクロガスタービンを使ったコージェネレ ーション(熱電併給)システムをコンビニ店舗に導入する。4社は 2月末から一部の直営店舗で実証試験を始める。ローソンは店舗の 光熱費が3割強削減できると見込んでおり、経済性や省エネ効果の データを確認したうえで、フランチャイズ全店に導入を呼び掛ける。 全国に7600店を展開するローソンなど大手コンビニへの導入が進め ば、電気を利用する場所で発電する「分散型電源」が日本で定着す る公算が大きい。 実証試験向けに導入するのは、三菱電機が開発したコージェネに 矢崎総業の小型吸収式冷温水機を組み合わせたシステム。都市ガス を燃料とし、出力30キロワットの発電能力を持つ。発電で発生する 排熱を冷温水機の熱源に使い冷暖房を賄うことでエネルギー効率を 高める。 燃料電池車が公道試験へ 国土交通省が初認定(共同) 国土交通省は8日、ダイムラークライスラーとマツダの燃料電池 自動車を、公道を走行可能な試験自動車として初めて認定した。両 社は今月中に公道走行試験に取り掛かる予定で、次世代のクリーン カーとして期待される燃料電池車の開発に弾みがつきそうだ。認定 されたのはダイムラーの小型車Aクラスをベースとした「NECA R(ネカー)5」と、マツダのプレマシーFCEVの2車でメタノ ールが燃料。昨年12月に申請があり、同省が安全性や排ガスなど の検査をしていた。 ============================== メタンハイドレートに関する記事 YS 2001/02/08 02:33 凍土解けCO2を放出 温暖化加速とUNEP報告(共同) 【ナイロビ7日共同】地球温暖化によって北極の永久凍土が解け 、そこに閉じ込められていた太古の二酸化炭素(CO2)が放出さ れ、温暖化をさらに加速する恐れがあることが7日、ナイロビで開 かれている国連環境計画(UNEP)の環境会議で報告された。報 告によると、北極地方の永久凍土は、過去数千年以上にわたってC O2やメタンなどの温室効果ガスを吸収。世界中の炭素の約14% が凍土中に閉じ込められている。気候変動に関する政府間パネル( IPCC)などの予測では、北極地方は今世紀末に最大10度も気 温が上がる地域もあるなど温暖化が顕著。このため凍土が解けて閉 じ込められていたガスが放出され、温暖化を加速させる悪循環が始 まる恐れが高いという。 ============================== 英電力 YS 2001/02/07 09:56 日経さんが反応してきました。本日の紙面でドイツの件も取り上 げていますね。 アメリカの電力系の取締役構成を調べればわかるのですが、 総じてエスタブリッシュメントが力を持っています。 デュポン一族なんかは2派に別れてあちこちで目にします。 これはアメリカに限ったことではなく、イギリス、ドイツも同じで す。 従って日本だけが特殊ではありません。 公益企業は電力に限らずどこも同じです。 航空、鉄道、通信などの企業分析をしても同じ現象が見られます。 電力と地域通貨との組み合わせは面白いかもしれませんね。 でも最大の障害が彼らの存在です。 簡単には離さないでしょう。 もう100年以上続いてきた手法だからです。 過去の検証は呉天降の論文で詳細を知ることができます。 これは日本証券経済研究所発行の「証券経済」「証券レポート」等 のバックナンバーにあります。 <国際総合> 英電力市場、プール制を廃止し相対取引に(日経) 【ロンドン6日=大西康之】英政府は3月をメドに電力市場を抜 本改革する。電力会社が発電した電力を強制的に公設市場に供給さ せ、あらかじめ設定した価格で配電会社などに販売する「プール制 」を廃止、発電企業と配電企業や需要家が私設市場で相対取引する 制度に切り替える。一層の競争促進で料金引き下げを狙う。英国が 1990年に導入したプール制は各国の電力自由化のモデルとなってき ただけに、新たな方式も今後、世界的に自由化の主流になる可能性 がありそうだ。 新たに導入する制度は卸電力取引制度(NETA)といい、契約 の翌日―1年後、24時間―3時間半後に決済する二つの先渡し・先物 取引市場と、3時間半―契約直後に決済する需給調整市場の三つの市 場で構成する。市場は政府から決済管理を請け負った送電会社のナ ショナル・グリッド(NGC)が運営する。