425−1.フィリピン情勢



フィリピンの政局が激動した。エストラダ前大統領のワイロ疑惑か
ら、問題は大きくなった。Fより
フィリピンは純然たる民主主義国家である。前大統領も、選挙で選
ばれた。しかし、軍のクーデターの前にはエストラダ大統領も、奈
何ともできなかったようですね。議会の弾劾裁判の進行より、民衆
の怒りの方が早いためで、それに呼応した軍離反により政権が倒れ
ることになった。

これを、日本でやったら大騒ぎでしょうね。森首相は現在いないで
しょうが、国民の支持率が15%程度の内閣はないでしょうね。
国民は怒りより諦めの境地にいるようです。しかし、自衛隊は動か
ないでしょうね。それは、日本民衆の反軍意識が許さない。これは
、フィリピンは軍が国家エリートとして確立されているが日本は、
そうではない。
そして、フィリピン軍は国民の世論を見ている。フィリピンの歴史
を見ると軍による米国からの独立戦争、日本軍へのレジスタンスな
ど軍が活躍して、独立を得たためでしょうが、国民的な支持が軍に
ある。

しかし、アロヨ政権は脆弱である。まだ、10人程度の担当長官を
決められないで国家運営することになる。アロヨさんのCNNのイ
ンタビューを見ても、力強さを感じない。早く大統領選挙をして、
正式な大統領を決めるべきでしょうね。そうしないと、深刻な経済
危機は解消しないような気がする。
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国全体の立て直しなるか アロヨ新政権の政策と見通し  
 フィリピンのアロヨ新大統領が20日、誕生した。就任式で、新
大統領は政治、経済、社会など幅広い課題を取り上げ、前政権の
「負の遺産」からの脱皮を力強く訴えた。「貧民の味方」を掲げて
圧勝したエストラダ前大統領への失望は、そのまま新政権への高い
期待につながっている。深刻な経済危機からの回復をはじめ、取り
組むべき課題は山積している。
 就任式で市民から祝福を受けた新大統領は、直後の記者会見では
厳しい表情で「慎重に閣僚を選び、いやしのプロセスを始めなけれ
ば」と語り、アキノ政権で予算相を務めたアルベルト・ロムロ元上
院議員を新内閣の蔵相として挙げた。

 フィリピン大学のアレックス・マグノ教授は「アロヨ大統領は、
巨費がかかる大統領選挙を経て選出されなかった。その分、借りが
少なく、閣僚らは自由に選べる。良いスタートが切れるのではない
か」と話す。

 大衆民主主義研究所のジョエル・ロカモラ所長は、「最優先すべ
きは、国民の再団結だ」と話す。エストラダ前大統領の違法とばく
上納金疑惑の発覚後、国民はまっぷたつに分かれた。「貧民の味方
」を掲げた前大統領が、「これは階級闘争だ」とあおったこともあ
り、貧困層=エストラダ派、中上流層=反エストラダ派の構図がで
きた。

 前大統領が就任中、批判され続けたのが取り巻き優遇主義だった。
ばく大な隠し資産があったマルコス元大統領一家も、処罰を受けて
いない。「友情や恩義などに関係なく、間違いは裁くべきだ」とい
う声は多い。

 外交政策について、元比外務省幹部は「エストラダ時代は世界か
ら存在すら忘れられていた」と振り返った。「アジア経済危機で、
フィリピンはほとんど傷つかなかったのに、その好機を逃した。
グローバル化にいかに取り組むかが大切。アロヨ大統領は最適の人
物だと思う」と期待を口にした。

 経済政策については、新大統領が最も得意とする分野とみる人が
多い。しかし昨年、1300億ペソ(約3120億円)にまで膨ら
んだ赤字を抱えた財政のかじ取りは、最も難しい分野でもある。
就任式で述べた情報技術(IT)への取り組みや貧困撲滅への取り
組みを、国中が見守っている。

(1/2120:24asahi) 
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フィリピン無血政変の裏に国軍のクーデター計画  
 フィリピンのエストラダ前大統領を辞任に追い込む発端となった
国軍最高幹部の離反の裏で、国軍内の不満分子によるクーデター計
画が、昨年から進められていたことがわかった。複数の国軍関係者
が21日、朝日新聞社に対して明らかにした。計画が遂行されてい
れば20日に大統領府を占拠し、流血の事態も予想されたという。
前大統領に抗議して街頭に集まった数十万人の「ピープルパワー」
が、結果的にそのシナリオを実行前日にくい止め、無血の政権交代
を実現した。
 国軍関係者らによると、17日、「Dデー」と呼ばれるクーデタ
ーの決行日を、反エストラダ派の拠点だったエドサ通りでの集会参
加者がピークを迎えるとみられる20日に定めた。

 大統領府のあるマラカニアン宮殿を占拠、前大統領を拘束するの
が目的。陸軍最高幹部を計画のトップにかつぐ予定だったとみられ
る。18日にはマニラ首都圏の周辺に1000人以上の陸軍兵士が
待機。反撃に備え、国際空港近くに戦車や装甲車も配備していたと
いう。

 計画は、極秘裏に国家警察内の多数の有志にも伝えられていた。
計画にかかわった警察官の1人は「実行日には(エストラダ派の)
前警察長官を銃殺する予定だった」と明かした。

 前大統領追放の動きは昨年10月ごろから始まっていた。前大統
領の友人だった南イロコス州のシンソン知事が10月、「大統領が
違法とばくの収益約4億ペソ(9億円余り)を着服した」と暴露す
る以前に、エスピノサ海軍中将に「身の安全を守ってほしい」と依
頼。軍の待遇に不満を持っていた中将は引き受け、同志を募り始め
たという。

 11月ごろには軍の将官クラスと警察幹部の不満分子ら4、5人
が率いる個別のグループができたが、それぞれが極秘に動いていた
。「計画が漏れた場合の報復が恐ろしく、本当の腹心にしか声をか
けなかった」(陸軍大佐)という。

 状況が変わったのは、12月22日。弾劾裁判で銀行幹部が「大
統領が偽名で5億ペソ(約12億円)の取引をした」と証言したこ
とで、軍全体に「この大統領ではだめだ」という空気が広がり、ま
とまった動きになってきたとみられる。

 計画が実行されなかった理由は、レイエス参謀総長の前大統領か
らの離反だ。前大統領と親しかった参謀総長は「取り込むのは無理
」とみられ、自宅監禁する予定だった。しかし、1986年の「ピ
ープルパワー」にかかわったラモス元大統領が、「できれば今回も
無血で終わらせたい」と強く希望。親友の退役軍人に、「国軍全体
で大統領から離反すれば平和な辞任につながる」と参謀総長を説得
させた。

 参謀総長は19日朝に離反を決意。直ちに陸空海軍の幹部を招集
して意向を伝えたところ、拍手がわき、すでにほとんどの軍幹部が
造反組と知ったという。電話で離反を伝えられた前大統領は、「軍
は味方だと信じていたのに。攻撃されるのだろうか」とパニック状
態だったとされる。
(1/2203:22asahi) 


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