423−1.燃料電池をめぐる世界再編成−第二章(1)



YS/2001.01.21

祗園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。

娑羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす。

おごれる人も久しからず、ただ春の夜の夢のごとし。

たけき者もつひには滅びぬ、ひとへに風の前の塵に同じ。

平家物語巻第一より、「祗園精舎」
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☆高騰続ける白金相場

 13年ぶりの高値水準にある貴金属、プラチナ(白金)の国際価格は、
今年に入っても高騰を続けている。用途の重なるパラジウムがロシア産
の供給不安から急上昇し、それに歩調を合わせてきたが、今後の焦点は
プラチナ自体の需給に向けられている。

 供給面をみると、プラチナは南アが80%、ロシアが10%強と、資
源の偏在が目立っている。今年はロシアからの供給量が昨年並みを維持
できるかどうか危ぶまれている。南アの鉱山は増産を計画しているが、
供給不安は無視できない状況となっている。

☆カリフォルニア電力危機

 昨年12月26日午後、グリーンスパン米連邦準備理事会(FRB)
議長は、ワシントンを訪問中のデービス・カリフォルニア州知事と会談
する。この時、卸売電力価格の高騰で経営が悪化しているカリフォルニ
ア州の最大手電力会社パシフィック・ガス・アンド・エレクトリック
(本社サンフランシスコ)と同2位のサザン・カリフォルニア・エジソ
ンの2社の状況について意見交換を行う。

 異例の早さで会談が実現したため、ただならぬ気配を感じていたが、
情報技術(IT)の最先端を走る同州の中部、北部で今月17、18日
に計画停電がそれぞれ約2時間にわたって発生した。

☆ブッシュ氏、第43代米大統領に就任

 21世紀最初の米国最高指導者となるジョージ・W・ブッシュ氏は1
月20日、首都ワシントンの連邦議会特設会場で就任式に臨み、8年ぶ
りの共和党政権を担う第43代大統領に就任した。

☆ワールドウォッチ研究所の警告

 米国の民間シンクタンク、ワールドウォッチ研究所は2001年版の
地球環境白書を発表し、21世紀に入って地球環境は「危険な岐路」に
差し掛かっていると警告し温暖化防止などで日米など主要国に一層の努
力を迫った。
 
 「2001年世界の状況」と題した白書は、世界の環境破壊が加速度
的に進んでいる半面、環境問題に取り組む政治的弾みが失われていると
して、昨年にオランダ・ハーグで開かれた気候変動枠組み条約第6回締
約国会議の失敗を批判。

 「政治指導者が国際的な諸条約を履行しなければ、これまで数十年間
積み上げてきた(環境面での)進歩は損なわれる」と強調した。

☆ブッシュ大統領のエネルギー戦略

 ブッシュ氏は18日、CNNなどのインタビューで、カリフォルニア
州の電力危機に関連して、同州の自由化政策に「欠陥がある」との見方
を示した。ただ、自由化そのものは否定せず、高騰を続ける電力卸売価
格に上限を求めてほしいとする電力会社の要請については「問題解決に
ならない」と否定的な考えを明らかにした。

 ブッシュ氏はさらに、「環境規制などのために発電能力を最大にでき
ないのも問題だ」と述べ、厳しい大気汚染規制などにも電力不足の原因
があるとの見方を表明した。また、同州では発電所の建設とともに、燃
料を発電所に送るための「パイプラインも必要だ」などと述べた。

 エネルギー問題全般に関連して、アラスカの自然保護地域での石油や
天然ガス掘削にも改めて意欲を見せた。「政府が所有するすべての土地
を調べ(掘削の是非などを)検討する」としている。
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■オイルマン政権の力学(米)

 ジョージ・ウォーカ?・ブッシュ大統領も父親同様、石油・ガス探削
会社出身でありブッシュ家自体がオイルビジネスとは切ってもきれない
関係にある。とはいえオイルビジネスの世界では輝かしい実績があるわ
けでもない。しかし名門一族とあって、そのオイル人脈は、極めて重要
な人物を政権に集結させる。やはりオイルこそがアメリカにとって生命
線なのだ。

 おそらくワールドウォッチ研究所の警告は、ブッシュ政権の特性を見
抜いた上で発信されたものであろう。しかしブッシュ政権は独自の持続
可能な経済政策を構築しようとしているようだ。ここに21世紀のした
たかな戦略が見隠れしている。

◇チェイニー副大統領
  
 これまでに大統領主席補佐官(フォード政権)、連邦下院議員(ワイ
オミング州)、国防長官(1代目ブッシュ政権、湾岸戦争を指揮)を経
て1995年に石油関連会社ハリバートン社のCEO(最高経営責任者)
に就任する。ハリバートン社は世界第2位の石油関連サービス会社で、
石油の採掘や技術供与などのサポートを行っている。
 またユニオン・パシフィック社やP&G、EDSの社外取締役を務め、
有力シンクタンクAEIやアスペン研究所のメンバーである。
 
  実質彼がオイルビジネス界全体を代表するインナーサークルの中枢に
いる人物である。

◇オニール財務長官

 製紙大手インターナショナル・ペーパーの社長を経て86年にアルミ
最大手のアルコア入りし、87年から99年までCEO兼会長を務めた。
 グリーンスパン米連邦準備理事会(FRB)議長もFRB入りする直
前にはアルコアの社外取締役であり、これまでふたりは長い信頼関係を
築いてきた。金融界出身ではないが、ルーセント・テクノロジ−社の社
外取締役を兼任し、アメリカの経団連と呼ばれるビジネス・ラウンドテ
ーブル、ビジネス・カウンシル、カンファレンス・ボードのメンバーを
務めてきた。チェイニー副大統領と同じくAEIや国際経済研究所、ラ
ンド研究所の役員でもある。
 
 従ってアメリカのビジネス界を代表するインナーサークルのひとりで
ある。

◇エバンズ商務長官

 天然ガス・石油会社トム・ブラウン社のCEO兼会長。ブッシュ家と
はビジネスパートナーとしての関係を超えた家族ぐるみの付き合いが続
いてきた。

 トム・ブラウン社は『ある会社』と関係が深い。

◇ゼーリックUSTR代表
  
 プラザ合意、日米構造協議、日米自動車摩擦など主要な対日政策にか
かわった知日派。ブッシュ陣営のフロリダ開票監視団相談役かつ広報責
任者を務めるジェイムス・ベイカー元国務長官がレーガン政権下で財務
長官だったときに抜擢された。

 ゴールドマン・サックスのインターナショナル・アドバイザーや『あ
る会社』のアドバイザリー・カウンシルを務めてきた。彼もアスペン研
究所のメンバーであり、CFRやブルッキング研究所にも所属している。

◆カード首席補佐官

 ブッシュ前大統領の下で首席補佐官代理や運輸長官を務めた父親人脈
の一人で、大統領選を控えた今年夏の共和党全国大会を取り仕切った人
物である。マサチューセッツ州の下院議員を経てレーガン政権時代に特
別補佐官としてホワイトハウス入り、88年のブッシュ前大統領当選に
大きく貢献した。以来、ブッシュ家の信頼が厚い。

 政権を離れた後、93年から98年まで米自動車工業会専務理事とし
て日本の自動車市場の開放で数値目標の設定を強く求め、閣僚から業界
ロビイストへの転身としても注目を集める。

 そして99年にはゼネラル・モーターズ(GM)の副社長に迎えられ
た。
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     燃料電池をめぐる世界再編成−第二章(2)−
YS/2001.01.24

祗園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。

娑羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす。

おごれる人も久しからず、ただ春の夜の夢のごとし。

たけき者もつひには滅びぬ、ひとへに風の前の塵に同じ。

平家物語巻第一より、「祗園精舎」
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■GM、トヨタそしてエクソン・モービル VS
 ダイムラークライスラー(米日VS独米日)

 米自動車最大手ゼネラル・モーターズ(GM)と日本自動車最大手ト
ヨタ自動車は1月8日、北米国際自動車ショーで、米石油最大手エクソ
ンモービルも加えた3社で次世代自動車となる「燃料電池車」の技術提
携で合意したと発表した。

 そしてその方式をガソリン改質とすることも発表した。
 ここに21世紀に向けたシナリオが鮮明に打ち出された。

 日本政府も時を合わせるかのように経済産業省が燃料電池分野での日
本主導により国際標準化を目指すとの方針を発表した。今月下旬に「燃
料電池実用化戦略研究会」がその概要を最終報告書にまとめる予定であ
る。

 この巨大連合に対して1月2日にはダイムラークライスラーが次世代
環境対応車とされる燃料電池を搭載したバンを2002年の予定を前倒
しして今年中にドイツ・ハンブルクの運送会社に試験的に納入する、と
発表している。また、2004年までに約10億ユーロ(約1090億
円)を燃料電池開発に投入する方針も明らかにした。
 
 このダイムラークライスラーが採用する方式はメタノール改質である。

 なにやら壮絶な情報戦が繰り広げられているようだ。そして世界標準
をめぐるガソリンかメタノールかの争いが各国政府を巻き込んで始まっ
たようだ。

■トヨタが巻き起こす変革の嵐(日)
 2000年は日本にとって経営革命の年であった。欧米流の取締役兼
任制が業界の垣根を超えて広がりつつある。その中核がトヨタ自動車で
ある。

 日本経済新聞からその経過を追いかけてみよう。(日付は掲載日)
00年 5月23日 さくら銀、豊田章一郎氏ら社外取締役に。
00年 9月27日 三和などの3行統合、社外取締役に奥田トヨタ会
          長。
00年11月16日 あいおい損保、社外取締役に張トヨタ社長。
00年11月30日 野村が経営諮問機関、奥田トヨタ会長ら社外の5
          人が助言。
01年 1月 4日 NECの経営諮問委、張トヨタ社長らが社外委員
          に
 また奥田トヨタ会長は、ウシオ電機の牛尾治朗会長とともに省庁再編
の目玉である経済財政諮問会議のメンバーにも選任されており経済全般
の運営や財政の運営、予算編成などの基本方針を審議することになって
いる。

 なんとも凄いことが行われているようだ。トヨタを軸にさらに大きな
再編が起こったとしても不思議ではない。

 このトヨタ自動車もインターナショナル・アドバイザリー・ボードを
設立しており、年2回の会合を行っている。メンバーには世界的な政財
界人が集結しているが、ここにポール・ボルカー元FRB議長が参加し
ている。

 当然のことながら「燃料電池実用化戦略研究会」にも渡辺浩之トヨタ
自動車常務取締役が委員となっており、茅陽一東京大学名誉教授が部会
長を務める「総合エネルギー調査会」総合部会にも奥田会長が委員とな
っている。

■燃料電池実用化戦略研究会(日米)

 「燃料電池実用化戦略研究会」は、小型燃料電池(固体高分子型)の
普及、実用化に向けての戦略について検討するために1999年12月
に資源エネルギー庁長官の私的研究会として設立された。

 そのメンバーを下に記す。

燃料電池実用化戦略研究会委員

茅陽一慶應義塾大学環境情報学部政策メディア研究科教授(部会長)/
阿部栄一日産自動車常務総合研究所長/雨宮肇旭硝子M取締役技術本部
長/石谷久東京大学工学系研究科地球システム工学専攻教授/遠藤彰三
大阪ガスM取締役副社長/大島壽之M東芝常務取締役電力システム社副
社長/太田健一郎横浜国立大学工学部物質工学科教授/鍵山一郎東京ガ
スM副社長/梶谷修一茨城大学工学部機械工学科教授/金谷年展青森県
立保健大学健康科学部助教授/川口融新エネルギー財団副会長/川鍋智
彦本田技術研究所取締役/河本博隆全国石油商業組合連合会専務理事/
児玉皓雄電子技術総合研究所所長/斉藤泰和東京理科大学工学部第一部
工業化学科教授/白土良一東京電力M常務取締役/大聖泰弘早稲田大学
機械工学科教授/千野境子産経新聞論説委員/寺田房夫三洋電機M取締
役、研究開発本部長/中原晟介日本LPG協会副会長(コスモ石油ガス
M)代表取締役社長/三木弼一松下電器M代表取締役常務/村瀬盛夫新
エネルギー・産業技術総合開発機構理事/福間康浩(財)日本自動車研究
所理事/藤元薫東京大学大学院工学系研究科教授/藤原康雄日石三菱M
常務取締役/弓削田英一石炭利用総合センター理事長/渡辺浩之トヨタ
自動車常務取締役/渡辺政廣山梨大学工学部化学生物工学科教授

  この燃料電池実用化戦略研究会の第4回会合(2000年4月18日)
が通商産業省国際会議室で開催され、この時にはゼネラルモーターズ
(GM)のルドルフ・A・シュレイスが「ゼネラルモーターズの燃料電
池施策及び燃料電池戦略についての概略」を発表した。その要旨は下記
の通りである。ここに極めて重要な内容が書かれている。

********************************

* GMでは「持続可能なモビリティ」というコンセプトで燃料電池プロ
 グラムを実施している。

* 今日輸送産業が直面している問題の中では「環境問題」のリスクが大
 きい。GMとしては環境問題の議論のテーブルから自動車を取り除く
 ことを目指している。

* 「エネルギー問題」は「環境問題」よりもリスクは小さいが、今後は
 発展途上国のインフラ整備とともに、政治的不安定国に対するエネル
 ギー依存度を低下させていく必要がある。

* GMとして燃料電池プログラムのゴールは、一般向け乗用車を大量に
 供給することである。そのためにはカスタマー側の要求性能を達成す
 るとともに、OEM側にも経済的なメリットがあることが必要である。

* ウォーレン(米)、ロチェスター(米)、マインツ・カステル(独)
 のGAPC(Global Alternative Propuls
 ion Center)で約300人の研究者が燃料電池開発に取り
 組んでいる。またトヨタ自動車等のエネルギー会社など多くの企業と
 提携関係にある。

* 燃料電池自動車が商業ベースに乗るための鍵となるのは燃料電池スタ
 ック技術である。ここ数年で大幅な技術革新があり、最高出力(kW)
 で約5倍、出力密度(kW/kg)で約4倍の向上が実現された。

* ガソリン燃料改質器については2000年末までにピーク効率を88
 %とすることを目標としている。

* メタノール燃料改質器についてはガソリン改質器よりも古くから取り
 組んでおり、1998年にはメタノール改質器を搭載したコンセプト
 カーを製作した。

* 2000年春に発表した水素燃料(液体水素)による試作車では、ス
 タックのパワーが向上し、システムを完全にパッケージ化することに
 成功した。

* 内燃機関と比較すると燃料電池の効率はかなり高く、この優位性が燃
 料電池の将来性を保証するものである。

* 将来的には燃料電池の燃料は水素となるべきで、その時のポイントと
 なる点は貯蔵である。
 
* 燃料電池自動車がマス市場で成功するためには、@お客様に受け入れ
 られること、Aエネルギー業界にとっても採算があうこと、Bクリー
 ンエネルギー性等の面で社会的な需要を満足すること、CGMなどの
 OEM業界にとっても採算が合うことの4つの「勝利」が不可欠であ
 る。

* GMの国際的な市場調査の結果、お客様の求める条件は品質、コスト
 面、燃料供給体制全てについて現状レベルを維持することである。

* 社会的かつ環境的な観点でいえば、将来的な水素燃料に向かって、過
 渡的にはクリーンなガソリン・ディーゼル燃料が適していると考えて
 いる。燃料電池に使用される「ガソリン」は現在のガソリンよりも低
 硫黄のクリーンなものが求められるが、この新しいガソリン(のよう
 な)燃料は現在の内燃機関車と燃料電池車の両方で利用可能であり、
 既存の供給体制も有効に活用できる点でメリットがある。

* メタノール燃料に関してはインフラ、経済性、安全性などあまりに多
 くの課題があり商業ベース上現実的ではないと考えている。特に安全
 性については、弁護士とも相談した結果、有毒なメタノールを自動車
 に搭載することは望ましくないという結論に至っている。

* 燃料電池の技術開発を早めるためには、特に新規格、基準制定が重要
 である。理想的にはグローバルな視点での世界統一基準が望ましい。

* GMとしては時期的なことは明言できないが水素の時代がくることを
 確信している。

(質疑応答)

* GMとして燃料電池自動車の商用化について目標時期は設定していな
 いのか?

 →GMとしては2004、5年ごろまでに技術的な面では燃料電池自
 動車を実用化したいと考えている。しかし商業的にペイするかどうか
 は、GMだけで決められるものではなくエネルギー業界や各国政府と
 の協調が必要であるため、明確な目標は設定していない。

* ガソリン改質器の商用化時期はいつか?また、効率が非常に高いが、
 これは実際にできあがっているものか?

 →改質器はシステムの一部であるため他のコンポーネントとの関係も
 あるが、やはり2004、5年頃までには実用化を目指したい。ガソ
 リン改質効率の88%という値はオペレーションポイント(運用段階)
 によっては既に測定されており、遅くても1年以内に公表できると考
 えている。

* 「クリーンなガソリン」の精製過程についてはどう考えているか?
 
 →ガソリンを燃料電池の燃料として利用するためには硫黄を削減して
 いく必要がある が、含有量としては3ppm程度になると予測して
 いる。この数値はかなり現実的である。

* 水素の生成源に関する長期的なビジョンはあるか?

 →水素はエネルギーの「運搬手段」と考えるべきである。従って経済
 的でクリーンな水素生成源がそれぞれの地域で選択されていくのでは
 ないか。

* GMの技術開発において燃料電池自動車が占める割合は?

 →難しい質問であるが、燃料電池の研究は30年前から実施している。
 また人員的にも300名程度を燃料電池に係っており、この他にも電
 気自動車の研究者などもいる。またトヨタ自動車など他企業との提携
 もGMのトータルでの研究リソースを拡大している。

* 水素の輸送手段(圧縮水素、液体水素)や貯蔵手段については?

 →プレゼン資料では「ブレイクスルーが必要」と述べているが言葉と
 しては強すぎるかもしれない。現実には既に有望な技術が開発されつ
 つある。
 →貯蔵についていえば、GMでは現在液体水素を利用しているが取り
 扱いが難しい面もある。輸送については、水素センターのような場所
 でまとめて水素生成を行う(CO2削減効果が優れる)か、あるいは
 スタンド改質で水素生成する(スタンドまでの燃料輸送に優れる)か
 などが考えられるが、各国の状況により(例えば既に天然ガスパイプ
 ラインがあるなど)選択肢が変わってくる。

* 日本のような官民一体となった燃料の議論の場が、また定置用と自動
 車用で共同して議論していく場が欧米でもあるか?

 →アメリカでは、エネルギー省と民間企業との間で協力体制が築かれ
 ており、供給実験なども実施している。定置型についても同様で官民
 協力がなされている。

 →欧州では、様々な国の集合体であるため様々な議論はなされている
 が実際の共同研究などは難しい面がある。個別にみれば例えばドイツ
 ではエネルギー業界と自動車業界が共同研究を実施し、究極的には水
 素燃料、過渡的には天然ガスとメタノール(これはドイツ政府の方針
 と反する)という結論を出している。
********************************
 この会合の最後には定置型に関する検討を目指して住宅メーカーなど
参加を呼び掛ける方針が打ち出された。

 今後具体的な研究開発は、財団法人「新エネルギー財団」が自動車、
電気、ガス、石油、住宅、商社など関連230社に参加を呼びかけ1月
末に数十社規模で「燃料電池実用化推進協議会」を設立し、研究を進め
ながら必要な政策を提言することになっている。

 さて彼らの究極の目標が、22日にネットで配信された。それは20
20年には原発10基分に相当する約1000万キロワットを家庭やオ
フィスなどで発電するとの過激な内容である。しかも事実上の政府目標
となるもので、大規模発電所から分散型電源への転換を加速し、長期的
な国のエネルギー政策にも大きな影響を与えることになる。

 20世紀を支えてきた原発に対する挑戦の姿勢があからさまに打ち出
された。とうとう日本も土台からなにかが動き始めるようだ。
(つづく)

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